君は秘密は守れるか?
「ジュール!? なぜ、ここに……!?」
「遅くなって申し訳ありません。手合わせについては先輩方が満足するまでお相手しましたので、殿下のお側に馳せ参じました」
驚きを隠せずに面白いくらいあわてている殿下に、にっこり笑って返答するジュールを見て私はホッと息をつく。私からの合図もしっかりと気がついてくれたらしい。やっぱり自慢の弟だ、この場はもうジュールに任せていいだろう。
「姉上、ありがとう!助かったよ」
「いや、気にするな。あとは任せたよ」
「お、おい、待て……」
「殿下、あとは僕がしっかりとお守り致しますので、ご安心ください」
有無を言わせぬ笑顔で、ジュールが殿下を牽制する。殿下が何も言い返せないところを見るに、相変わらず殿下はジュールに圧倒されているらしい。だからこそアッサイ様達を使ってジュールから逃げてみたんだろう。結局は逃げきれなくてご愁傷様だ。
しかしあまり殿下に苦手だと思われるのも将来的には困るかも知れない。家に帰ったら少しジュールと話してみないといけないかも知れないな。
笑顔の圧でがっちり護衛を再開したジュールと途端に元気がなくなった殿下、変わらぬ愛らしい笑顔のフルール嬢を見送ってから、私は待ち合わせの門へと急ぐ。全速力で走ればちょっと遅れるくらいで済むだろう。
***
門番に通行証を見せ無事に門を通過してしばらく行くと、いつもルシャと待ち合わせしている大きな木の下に既に二人が到着していた。
さっきはなんとなく険悪そうに見えたけど、ちゃんと会話出来ているようでホッとする。
……と思ったけれど、近づいてみたらやっぱりダグラスは苦虫を噛み潰したような顔のままだった。ルシャは相変わらずにこやかだけれど、いったいどういう会話になれば、こんなにも表情の温度差ができるんだろう。
「やあ、待たせてすまなかった」
「あっ、レオニー! 気にしないで。彼も気になることがあったみたいで二人で話せてちょうど良かったよ」
「それならいいけど」
「ただ、なんでオレとレオニーがよく一緒に出掛けてるのかって気になってしょうがないみたいでさ、悪いヤツじゃないみたいだから、話してもいいかな」
ダグラスの目の前でそうハッキリ問われると、もはやダメとも言いにくいが。
「……ダグラス、君は秘密は守れるかい?」
「ひでぇな。レニーが言うなって言うなら何があっても口はわらねぇよ」
「ふふ、そうか。ありがとう」
不貞腐れたようなダグラスに少しだけ笑ってしまった。私はルシャにひとつだけ頷いてみせてから、二人を促して歩き始める。
「時間が勿体ない、歩きながら話そうか」




