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【ルシャ視点】お人好し

「それで、将来って言ってたのか」


「うん。私の父に話すにしても、他の手段を選ぶにしても、まずはルシャの意見を尊重すべきだろう? だから今日はその話をしに来たんだ」


なんてお人好しなんだ。


穏やかに微笑むレオニーを見つめる僕の胸の内には、驚きと若干の呆れが共存していた。僕が悪いヤツに騙されるんじゃないかと心配してるレオニーの方が、やっぱりどう考えても人が良くて騙されやすいタイプな気がする。


「レオニーはどうした方がいいと思う?」


「なんで? 私の意見はどうでもいいだろう。技術を持っているのはルシャなんだから」


「うん、まぁそうなんだけど。でも僕はこの国の事どころか森の外の事もあまり知らないからさ、アドバイスを貰えると嬉しいかも」


なーんてね。


さすがにそこまで世間知らずじゃないけど、レオニーがどんなアドバイスをくれるのかにはちょっとだけ興味がある。ワクワクを抑えて困った顔をして見上げてみたら、レオニーもおんなじくらい困った顔をして悩んでいた。


「うーん、困ったな。それこそルシャがどうしたいかによってアドバイスって変わってくると思うんだけど」


「例えば?」


「そうだなぁ。私はルシャが今の宿を出てひとり立ちしたいって言ったから、生計の手段を得られる方法を提示したつもりだったんだ。でも……ねぇルシャ、宿を出たいのってもっと自由に錬金できる場所が欲しいから?」


「うん。本当はおっきな錬金釜が置けて、本棚とか薬品を並べられる棚とかがいっぱいあって、あわよくば音とかニオイとかしても大丈夫な家に住みたい」


「ははは、急に現実的だな。ニオイや音の問題があるなら、街中よりは森や丘みたいな、町外れがいいと思うけど、王城やアカデミーからは遠くてもいいの?」


「遠くても全然平気。むしろ森の中とか最高! 新鮮な素材も入手しやすいし、人が少ない方が集中できる」


「なるほど。ルシャは錬金をもっと極めたいってのが強いんだね」


「そりゃそうだよ。この国に来るのを決めたのだって、知らない素材に出会えそうだったからだし」


多くの素材や技術を知れば、その分新たな発想を得られるし未知の物を生み出せる可能性が増える。そんなチャンス、見逃すわけにはいかない。


ただ残念ながら、現時点では一人で勝手に街を出ることは禁じられてるんだよね。街で買える物で錬金し尽くしたら、ギルドで冒険者とかを雇って森へ採取にも行ってみたい。


「そうか。ルシャは探求者なんだな。それなら商売に時間を使うより、錬金できる時間を確保する方が大事なんだね」


「もちろん」


気がつけば、レオニーにそうやって僕の望みを聞き出されていた。

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