もう一度の生活
10才になりますた。
え?いきなりなんだお前アタマおかしくなったかって?いや、そんなこといわれても生まれてからここまでの人生、特に語るようなことなかったし。
いやね?最初は『異世界転生ギター(゜∀゜ 三 ゜∀゜)』みたいな?『かわいい幼なじみは?ケモ耳幼女は?エルフっ娘は?優しくてエッチなお姉さんはー!?!?』とか?『そうかこれはスキルとかでチートもらえるやつやな?ステータス見たらあらビックリ!的なー?カモン、ステータスオープン!!!』ってやってたんですよ。
ほかにも体の中に何か魔力的なもの感じないかとか、そうか、これはガキの頃からの特訓でチートな成長力発揮してくタイプのあれか、何かのきっかけで才能が開花するんだな?ふっ…やはり俺は天才となる運命なのだ……ってやってたんです?
しかし何をやっても俺のニューボディーはうんともすんとも言わず。必死に覚えた魔術も精霊術も体術も剣術も並み程度。そしてその過程を面白おかしく文字に起こす作者の文章力はあるはずもなく全面カット。
結果、今の肩書きは『ちょっとそういうのに憧れちゃってる若干痛い男の子』である。
なお、ファンタジーに欠かせないエルフと獣人的なのはいる模様。最近また太ってきたお母様(普通のおばさん、not美人)に聞いた。ただ、そういうのまとめて『森の民』とか『森林族』とかもっと短く『森人』なんて言うらしい。別に森以外にも普通にいるけど。ただ、所謂『人族』は彼らを普段『亜人』とか言って差別する地域も多いとか。
いまいる街、というかこの国では彼らと友好的な関係を築いているお貴族様がおおく、商売をしたり兵士や役所の職員として働く森人も多いので、亜人なんて外では口にしてはいけないよと親父殿(腹の出たおじさんnotイケメン)に言われた。まぁ彼らを見かけたのなんてほんの数回程度で、お友達どころか今まで会話もしたことはない。
そんな俺はいま、実家の中古魔道具屋の手伝いとして配達の途中だ。数年前から体を鍛えるために走り回っていたら、ついでに配達してこいやといわれ始めたこの仕事。一桁才児にそんな高そうなもん持たせてうろちょろしてたら強盗に会いやしないかとびびっていたが、我が第二のふるさとである、石の城壁に囲まれたこの街はかなり治安が良い(なお異世界基準)らしい。警備隊の汚職で犯罪組織がーって言うのも、少なくとも一般的な領民が知る範囲では無く、街のすみにあるスラムをはじめとしたちょっとお上の目の届かないところでふらふらしてなければ大きな犯罪に巻き込まれることも少ない。
ついでに言うと、俺の運ぶ魔道具も高価なものは少ない。火付け石、1リットルほどの水を不思議空間へと吸いこんで持ち運ぶ石、発光して照明になる石、数百メートル離れても会話ができる石、二個で一組等をよく配達する。大体5個くらい一セットで銅貨数枚だ。屋台なら串物一つ、汁物を買うには、ものにもよるが少し足りないくらいか
いや、よくよく考えればこれ石ばっかりだな。
こいつらは基本使い捨てとか数日から数ヵ月で効果がなくなるものばかりだ。効果がなくなれば新しく買っていく。その時、効果の切れた石ころをうちで引き取り、ちょっと特殊な道具と魔法で再度使えるようにすると、なので『中古』魔道具屋なんだそうな。
ここ、テストに出ません
ついでに、通貨は普段金、銀、大銅、銅の四種をよくつかう。銅貨100枚で大銅貨、大銅10で銀貨、銀10で金貨だ。銅貨1万で金貨だな。
一応、金貨10枚分の大金貨とか、もっと大きな額の貨幣もあるらしいが、大商家や、貴族でも真ん中以上の方々でないと目にすることはないだろう。うちのような三人家族なら金貨一枚あれば何とか一月生活していけ、二枚もあればこの街の平均以上の生活ができる。
この街の中心部にあるデカイ館に住んでいる領主様は、この国でもそこそこの階位の貴族階級であり、そこで平均以上の暮らしができるのならば国全体でみれば相当裕福ななのではと、配達先の警備隊詰所へ駆けながら考える。
今日の荷物は火付と会話用の石だ。
鞄の荷物を取り出しながら、詰所へとはいれば、俺に気がついた知り合いの警備隊員が受け取りに近づいてきた。
父は元警備隊の現在実家の魔道具屋で何とか代目、膝に矢を受けて引退した。剣の達人とかそういう設定はない。
母は元軍の精霊術師隊で負傷兵の治療担当、立ち寄った街で旦那に一目惚れ、引退。100年に一度の天才とかそういう設定はない。並み以上のうではあった。就職は軍人の実家のコネ。