第五話 十年後である今から...始まるたそうだ
今俺が生活して居るこの世界の名は レ・ガリア、ちゃんと地球のように一年に十二の月があり、四季もあって、そして違いも無く一つだけの太陽に一つだけの月があるのだ。
四季は同じく春、夏、秋、と冬の順で回しいて、三ヶ月で一季となっている...これも地球のと同じだ。
そして地球と違い科学の発展は遅く、その代わり魔法と言う力がこの世界で生活して居る人々を支えているのだ。
地球と違う力があったとしえもこの世界の生活基準は低い。建設物も中世期の、その時代のヨロッパと似た作りをして、材料も石と木材が殆どで、偶に魔法的の施しをする程度のものばかりだ。
そう今の レ・ガリア はまだ食料が不足していて、その所為もありで戦争が珍しくも何とも無いそんな世界だった。
そんな世界で俺は暮らし、あの日、俺が初めて父さんに打たれた日から時は 時間は放たれた矢のように瞬いただけでその一瞬の内に過去って、その日から十年もの月日が流れたのだ。
十年...五歳だった俺は十五歳になり、そして今俺生活して居るこの世界 レ・ガリア では十五歳になって初めて成年として扱われる。つまりは今年でようやく俺は未成年じゃなくなるで事だ。
前世でも成年する前に俺は死んだんだしな。
しかしだ、この世界の神さまは本当に優しく無いようで、何か良い事が有ったらまた直ぐに悪い知らせが飛んでくる。
十五歳になった日俺が成年したその日俺は突如に発作を起こし、倒れ込んだ。
それから俺の病気の発作は更に頻繁になり、一月ごとから半月ごとになってしまい、その上引き起こす症状も酷くなったのだ。
そんな出来事が原因で俺は俺自身の部屋でじっとしてる事が多くなり、しかしそれでも平和と言える日々が続いた。
そこらか時は更に前へ進み、俺が十五歳になったその年の十月になった。
その月の最初の日 十月一日 の朝、いつものように自然と目を開けた俺はベットから降りて、久し振りに気分爽快で部屋からでようとした。
「おはようございます、お坊ちゃま。」
俺は部屋のドアを開け、丁度俺の部屋の前に到着したミランダさんが挨拶して来た。
「おはよう、ミランダさん。」
俺はミランダさんと挨拶を交わす。
「お坊ちゃま、いつも言ってますがわたくしなどただの侍女貴方様は将来屋敷の主になる御方です、だからさん付けなんで必要ありませんのです。」
ミランダからいつも聞き慣れてる言葉が聞けた。
「そう言うミランダさんこそ、俺の方からもいつも言ってるのになんで改めようとする?貴女は俺が産まれた時からずっとお世話してくれていて、言うなれば第二の母親のようなものだ。例え立場上とかの理由に付けられて敬語を辞めにしただとしてもさん付けするのは俺の最低限の礼儀だといつも言ってるだろ?」
俺もいつも言い慣れた言葉で返した。
「...こんっ、今回はこちらが引き下がる事にします...ゴホン、それより、お坊ちゃまはどちらに向かうとしているのでしたか?」
ミランダさんは少し顔を赤くしたが直ぐにそれを誤魔化そうとわざとらしく咳払いをして、俺に質問した。
「俺か?珍しく今日の体の調子か良いから、これから母さんの所に行くつもりだ。」
俺は俺の予定をミランダさんに話す。
「そうですか、でしたらお付き添いします、お坊ちゃま。わたくしもこれから奥方様の所に向かうつもりなのです。」
ミランダさんは 付き添いします と言い出した。
「屋敷内に居るのに、相変わらす心配性だな。」
俺は平常の音量で呟いた。
「何のことでしょうか、お坊ちゃま?」
心当たりがある筈のミランダさんは敢えて白を切る。
「いいや、なんでもない。じゃ一緒に行こう。」
そう言って俺は先に歩き出した。
「はい、そうさせて頂きます。」
俺の後ろからミランダさんは付いてきた。
今となれば屋敷の構造が判り易く感じ、大体の形を知れば迷う事はないので時々二歳児だったとは言え前世の記憶持ちなのに迷った事を少し恥ずかしく感じた事があったのだ。
俺の部屋から母さんの部屋に行くのはそれなりの距離があり、屋敷の構造からして玄関から先へ行くと階段が二つに分けるように両側に繋ぐことになっていて俺の部屋は右の方の突き当たりで母さんと父さんの部屋はその正反対左側の突き当たりにあるのだ。
ものの数分で俺とミランダさんは母さんの部屋に辿り着いた。
こ こ こ
「母さん、俺だ、ベリオットだ。」
俺はノックして、部屋の中に居るであろう母さんを呼びかける。
「入って良いわ、ベリオット。」
以前の十年ほど前の母さんの声より一段と軟らかくなった今の母さんの声が中から伝わってきた。
「じゃ入るよ...母さん、昨晩は良く眠れた?」
俺は中に入り、一人の女性が俺の所に向かって来た。俺はとても三十代には見えないその女性に、母さんに聞いた。
「...あらやだ、昨日の夜はくっすりと眠れたわ。」
母さんは口元を隠しながら、まるで冗談を言うように俺に答えた。
「...やはり、母さんは嘘を吐くのが下手のようだ。」
俺は母さんの目の下に浅い隈が出来た事に気が付き、そしてその原因は言うまでも無く俺である事に罪悪感を感じた。
「もう、本当の事なのに...まぁ良いわ、それでどうしたの、部屋で休まず、此処に来るなんて。」
母さんは誤魔化そうと困ったように微笑みながら話の逸らした。
「今日は久しぶりに体の具合が良いし、母さんの所に来ようかと思って、それでばったりとそこで会ったミランダと一緒に此処へ来た。」
誤魔化そうとする母さんの狙い通りに俺は追求せずに、ただ返事を返した。
「もう、具合が良いからあんまり無理しじゃ駄目よ。それに思い付けば母さん て、そんな母さんにべったりとして居ては結婚した後でお嫁さんに笑われちゃうわ。」
母さんはそう言いで更に俺に近付き、十五になる俺は身長的に母さんより少し高いにも構わず、微笑みながら俺の頭に手を乗せた。
「それくらい大丈夫だよ、母さん。相手も居ないのに結婚なんで、先のまた先の話だ。」
俺は母さんの目を真っ直ぐに見詰め、その手から伝わって来る温もりが心が落ち着く感じがした。
「そんな事ないわ。貴方はもう十五なのよ、貴方のお父さんは貴方と同じ年でわたくしと婚約を結んだの、だからきっと貴方もそう遠くない将来に相手が出来るわ。」
母さんは俺の頭に乗せている手を下ろし、少し真剣な顔で俺に話した。
「遠くない将来なんでどうでもっ!」
遠くない将来 と言う言葉は俺の心に刺さり、感情を暴走させる。俺は暴れようとする気持ちを必死に押さえ、拳を握り締めながらも気持ちだけが先行し感情に流され言葉が勝手に飛び出た。
「入るぞ、シェリア...なんだ、ベリオットも一緒だったのか。うん?二人どもどうしたんだ。」
俺の言葉が言い切る前に父さんが部屋の外から中に入って来た。予想外の状況に俺は思わず父さんの方に視線を向け、どうにか落ち着く事が出来た。
「どうしたの、あなた?こんなに速く書斎から出てこれるなんて。」
母さんも視線を父さんの方に向け、いつもと違う時間で部屋に来る父さんに少しは疑問を感じたように問いかけた。
「あぁ、別に何かがあった訳じゃない。いつものように徹夜で書類のチェックをして、知らず知らずの時に眠ってしまったが、さっきミランダが起こしに来たんだ。ベリオットの体調が良くなったでな。」
父さんは母さんに説明をしながら、俺と母さんの所に寄ってきた。
「ミランダさん?」
俺は開けっ放ししているドアの隣にスンと真っ直ぐに突っ立て居るミランダさんの方を見た。
「ミランダ、貴女、何時の間にそんな事を?」
母さんも同じくミランダさんを見詰めながらミランダさんに聞いた。
「...わたくしめはただ日を弁えずに寝坊する寝坊輔さんを起こしたまでです。」
ミランダさんは母さんの質問で少し沈黙し、とんだ辛口を言った。
「...はぁ、相変わらず私には厳しいのだな。」
父さんは侍女でありながら辛口を言うミランダさんを責めず、ただ溜息を吐いた。
「そんな事より二人共これからようっ」
バン バン バン
父さんの言葉は下の方から突如に響く雑音に覆い被された。
「誰か、ドアを開けろ!領主様に大至急の知らせがある!」
知らない男の声は響く。
バンバンバン
更に玄関の扉が叩かれた音が響いた。
「誰か!速く開けろ!はやっ」
男の声がまた俺達の所に伝わってきて、どうやら誰かが扉を開けたように最後の所に小さくなった。
「どうやら私に用があるようだ、ちょっと下に行って見に来る。」
父さんはそう言いながら部屋から出ようとする。
「えぇ、判ったわ。いってらっしゃい、あなた。」
と母さんが去って行く父さんの背中に向かって、そう言った。
「気を付けて、父さん。」
俺も父さんの背中を見詰めながら、そう言う。
俺と母さんの言葉に返事もせずに父さんは下へ降りて行き、あの声の主となんの話をしてる内、父さんは珍しく大声を上げ、そしてそのままあの声の主と屋敷から出て行き、その日の夜に父さんようやく帰って来た。平和の日々が終わると言う知らせを連れてな。