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第十九話 力を手にすれば試練は必ず来る、それが手に入れる前か後かの違いだけだ

真ん中のやつの一言で他の二人は左右に散開し、真ん中のやつを視界の隅に置きながらどんどん左(俺から見る)へと離れていくやつを目で追い、脳内地図で右へ散開していったやつを確認した。


左へ散開してるやつの速力を俺は見切れ、他の二人が接近して来ない事を確認しながら俺は地を蹴り、こちらからそいつに急接近した。


俺からの接近が予想外だったように左のやつは一瞬驚いた、しかし戦う事がなれた所為かそいつはまた直ぐにそのような邪魔になるものを排して、その場で足を止め、俺を迎い打とうとした。


しかし既にそこまで近付いてきた俺に対しそれは遅すぎたとしか言いようが無く、直接人を殺めた事が無い俺は思わず少し手を抜き上段から切り落とした。


『シールド!』

戦い慣れしてる今俺の前に居るこいつは間に合わないと知り、両手をクロスさせながら魔法の名称を叫んだ。


キン


硬いガラス いや この硬さならダイヤに例えた方がいいだろ。正にダイヤに斬りかかった音が響き、俺の視界には赤で埋め尽くされていた。


血ではない、やつの魔法で作り出したルビーのような半透明で赤い輝きを持ったバックラーと同じくらいの‘盾’が俺の視界に現れたと同時に俺の一撃を防げた。


『サウザンドスピアー』

俺が今目の前にあるものが何なのかを理解したとほぼ同時に後ろからまた一人、別の魔法の名称を口にした。


数十 百 数百の光り輝く矢を作り出し、暗くも星と月の光しかない夜空を照らせる程異常な光が輝いた。


いち早く異様を感じ取れた俺は一瞬だけ振り返った。その短かった一瞬で俺は何か強烈な攻撃魔法が来ると知り、拮抗してる手から力を抜けずに右足を一歩前へ踏み込み、その後直ぐに手から力を抜き、右足を軸に体を回して、素早く俺の目の前に居たこいつの後ろに回り込んで、デュランダルをやつの左肩に乗せた。


「動くなよ、お前には盾になって貰う。」

俺はこいつに言い聞かせた。


向こうにいる片手を天に突き出して魔法を発動させたやつは既に魔法が完成されずつも俺に盾にされた仲間の事が気掛りとなって魔法を打ち出す事を躊躇した。


その事が直ぐに察したように最初からその場所から動かなかったあの真ん中にいたやつは懐から何かを取り出した。


向こうに居る二人の動向を観察してる俺はやつが取り出したのは杖である事はすぐに判り、何をするつもりだ と思った瞬間、やつはそのまま杖の上に乗ってる宝珠を天に翳した。


『レスキュー』

やつは魔法の名称を叫び、その魔法が発動したからか俺が盾にしているやつの体は蒼く光りだし、内側から爆発したように蒼い光の粒子になって飛び散り、直ぐに杖を持ってるやつの元に虚無から蒼い光の粒子が集まり人の形をなし、さっきまで俺が盾にしたやつになった。


「おいおい、転移魔法かよ!」

その魔法の効果は俺の所にいたあいつを一瞬の内自分の元へ呼び寄せる事だと俺は理解した。これじゃ人質が取れない と思ったら、あの杖の上に載ってる宝珠が砕け散り、粉々になって夜風に乗って消散した。


あの宝珠が代償だったと俺は踏み、多分次に同じ魔法は無いと安堵しながらも目の前で溜めに溜まってさっきまで人質の所為で飛んで来なかったあの魔法をどうやって凌ぐかを考えた。


「喰らえ!」

俺に考える時間を与えないように、人質がそっちに移ったと確認した途端にやつは挙げていた手を振り落とし、数百の光り輝く槍を俺に向けて放った。


直ぐ隣に屋敷があるから避ける事が出来ず、かと言ってただ耐える事も屋敷の方に死傷がでるかも知れないから俺は一か八かと腹を括り、デュランダルを振り上げ大上段に構え、斥力を前のようにただ薄い膜のようにではなく分厚く、より厚く剣身に纏わせ、全力で振り落とした。


ゴン


大き過ぎる爆音が轟き、一か八かの一撃は上手く魔法の槍を全部打ち落とす事が出来、土煙を上げた。


しかし出した音が余りにも大きい、これで父さん達は直ぐこちらに駆けつけて来るだろう と俺思い、焦った。


早く終わらせる為に視界が悪い今この機に乗じ、速攻で決めようと常時脳内地図で三人の居場所を確認しながら全力で地を蹴って、三人の内一番近いさっきあの攻撃魔法を放ったやつに向かって行った。


やつに俺は一直線に近付き、途中で更に二、三度地を蹴りより一層加速して二秒も掛からない内やつの目の前に着き、俺は急停止した。


『シールド』


今まで気が付かないやつは俺を目の前にしてようやく気付く、驚いた表情で勝手に動くように体が反応し、さっきのあいつのように両手をクロスさせて魔法の名称を叫んだ。


そう何度も行くかよ と俺は叫び、急停止の勢いを殺さず、それを生かし振り上げたデュランダルに乗せてその上で柄を握る両手に全力を込め、()持てる最大な力で斬りかかる。


丁度デュランダルを振り落とす瞬間、あの赤くルビーの様な輝きを放った盾が俺とやつの間に現れ、俺は即座に気付いたが、それを構わずにデュランダルを振り落とした。


鋼の色を持つ大剣がルビーの盾を縦に真っ二つに斬り裂いき、少し勢いが削がれたがそれでも十分な程もので、止まらずに俺は振り切った。


キン


金属がぶつかり合う声が響く、魔法の盾を斬り裂いてた後勢いを減らさせたデュランダルをやつはクロスしてる手に着けている金属製の篭手で受け止めた。


斬り裂かれずに刃を止めだが、流石に衝撃を流す事が出来なかった様で、やつは必死に痛み堪えてる様に顔を歪めた。


この隙は俺は逃さない。


俺は止めている足を一歩前に踏み込み、やつの懐に入り込んだと同時にデュランダルの柄を握る手の内右手を解き拳を握り、目一杯の力を込めてやつの腹に打ち込んだ。


格闘の技術が無く、ろくに鍛練もした事の無い俺の動きは到底流れる様なものとは言えない、むしろ鈍いものだ。


しかしそれを今俺が持つ人間離れした身体能力のお陰でやつは反応すら出来ず、防ぐ事も出来ないまま拳を練り込まれ、顔を更に醜く歪ませながら く の字の様に体が曲がり、そのまま崩れ、倒れた。


『『アル・ケイル』』

さっき倒れてるこいつの魔法を誦える声が聞いたからだろう、他の二人も同時に魔法を誦えだ。


すると強い突風が吹き、未だに漂う土煙を吹き晴らした。


視界にあったものが一気に変われば必ず隙ができると俺は思い、これに乗じ土煙を吹き晴らす瞬間それと同時にデュランダルを左手に俺は自分自身を加速させて、非常に近い立ち位置をしてる二人の中一番やり易い方に向かった。


土煙が完全に吹き消されたと同時に俺は二人の内の一人の後ろに回り、空いた右手でそいつの首を後ろから手刀で攻撃した。


前世で映画やアニメなどで見た通り、そいつは俺の手刀を受け、気を失いそのまま倒れた。


あと一人だ。


気を抜かずに俺は直ぐにまた動き出した。


「動くな!それ以上動くとお前の命の保証はない!」

俺はデュランダルの切っ先を最後に立っているそいつに向け、そいつに警告した。


「……」

そいつは以前として黙したままだ。


「こちらもあんまり時間がないのでな、話せる時に話せ!お前達は何者だ、何しに此処に来た?」

さっきまでの戦闘音で屋敷にいる誰かが出てくるだろうと思い、俺は焦って声を荒くした。


「……貴様に答える必要は無い。貴様は此処で死ぬからな。」

そいつは俺の問いに答えず、小さな声で囁き、それを人間離れの身体能力を持つ俺にはきちんと拾う事が出来た。


「何⁉︎おい動くなと言ったはず……何だ、それは?」


やつは動き出した、俺の警告を無視してな。しかしそれはゆっくりとしたもので、本当にゆっくりとやつは左手上げ、その手首に着いてる‘腕輪’を俺に見せ付けた。


「そいつを殺せ!」

やつは右手で軽くその腕輪を触り、呪詛を吐き捨てた。


「何だ、そんなも、の、で…くぅ!クハァっ!」


向こうにいるそいつが冗談でも言っているか と思ったその時だ、やつの腕輪はバラバラになり、俺は体中の血が物凄いスピードで流れているのが感じた。


それも俺自身が何処をどう通って何処に流れ込んでいるのがはっきりと分かるくらいにだ。


熱い、熱い、熱い、体が、どうしようもなく熱い!いや熱い何て温いものじゃない。


体の中に流れてるのは血じゃなくお湯、沸騰してる水、いやそれ以上に、そうまるでマグマが血を代わって体中に巡っている。


「テメェ、オレに、何をした!」

俺は必死にこの人を狂わせる感じを耐え、やつを睨んだ。


「未だ立っていられるのか?すごいな、だがそれも終わりだ。」

やつは何もせずにただ俺を見詰めた。


「くぅ!あく!っあぁぁぁーーーー‼︎!‼︎」

時間が経つに連れ、苦しみが増して行き、とうとう俺は耐えきれずに喚き、叫んだ。


しかし苦しみはそれで軽減しない、それ以上益々強くなって行き、次第に俺の足の感覚がなくなり、その次に手。


その後直ぐに俺は意識を失った。

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