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第十三話 人知れぬ帰還

眩い光に包まれた俺は気が付くとデュランダルが刺していた洞窟のその入り口に着いた。


「はぁ~緊張した。」

周りの景色から俺が予想している場所だと判った途端引き締まっていた気持ちが緩め、思わず溜息を吐いてしまった。


身体的の疲れを感じないが何故妙に精神的に疲れたから俺は少しの間その場で休憩を取る事にした。


コロン ロン ロン


まだ緊張から解き放たれて間もないのに、突如地震が起きた。


「まさか!?まだ戦いをやめていないのか、あいつら!」

俺が戦場から離れた途端に地震が起きた、この事はどうしようも無く俺に戦がまだ終わっていない事を連想させた。


『警告します、地震の震源が非常に近い為速やかに退避する事をお勧めします。』

俺の予想を裏切って無機質なシステムボイスがまた鳴った。


「近い!?まさか、この山なのか?」

俺は振り返り、後ろの山を見上げた。


「もしかして、洞窟の中のあの妙な空っぽの空間がデュランダルの所為で出来たもので俺がデュランダルを引き抜けたからそのデュランダルの力の影響が無くなり...」


ドン


「うぉ!やはりこうなったか。はぁ~びっくりした。」


凄い地響きが鳴り、森に生息してる鳥たちはそれに驚かされ、飛び立った。


この音の原因を理解した俺はまたしも溜息を吐いた。



■□■□■


場所を移り、戦争が終わったブレニア要塞の城壁の上でロベルトは軍・王二国連合軍の引き上げて行った方向を眺めている。


「ようやく帰って来たか。」

眺めている方向から一人の人間が馬に乗って要塞に向かってくることを見えたロベルトは囁いた。


「偵察に出かけた人の中の一人が戻って来ました!」

しばらくしたら一人の兵士が物凄い勢いでロベルトに走り寄り、ロベルトの前で足を止めると共に声を上げた。


「そうか、報告を聞かせてくれ。」

ロベルトはそう短く返した。


「はい、斥候からの報告によりますと軍・王の二国連合軍は休む事無く国境線方面へ向かっています。その道中の軍隊の状況からでは再侵攻の意志が見取れず、その軍の指揮者の一人と思えらしき人物が再侵攻すべきと進言する者達を自ら説得し、侵攻の意志を失くさせたとの事です。」

兵士は斥候から受けたように一文のズレも無くロベルトに報告した。


「そうか、よくやってくれた。帰って来たものの場所を教えてくれ、直ぐにそっちに向かう。」

ロベルトは兵士に帰って来た斥候の場所について聞いた。


「恐縮です。あのものは食料の準備に取り掛かりたいと言い出しましたので恐らく食堂にいるのかと思います。」

兵士は直ぐにロベルトの問に答えた。


「食堂か、判った。済まないが君は此処に残って城壁外の様子を見てくれ、疲れたら別のものと交替するようにな。無理するといざと言う時に上手く力を出せなくなるからくれぐれも無理をしないように。じゃ、私はもう行く。」


「はい!気をつけてください!」


ロベルトはそう言いながら城壁の中へ続く階段から降りていき、要塞の食堂へ向かった



「おい、そこの君。」

ロベルトが食堂に到着した後、その中に居るたった一人そこに突っ立ている男に呼びかけた。


「あっ、ロベルト様!」

呼ばれた男は振り返り、自分を呼んでいるものがロベルトだと判り、即座に食料を準備している手を止めた。


「続けてくれて大丈夫だ、私はただ様子を見に来ただけだ。」

ロベルトは自分が来る訳を話した。


「はっ、はい、ではそうさせて頂きます。」

ロベルトの平等に人と接する人柄は全要塞公認のもので、それを知っている男はロベルトに返事しそのまま視線をテーブルの上に戻し、止めている手で準備を再開した。


コロン ロン ロン ロン


「なんだ?地震か?君は作業続けろ、私はもう行く!」

隣で男の作業が終わるのを待っているロベルトは突如に起きる地震を不審に思い、その場から出ようとした。


「はい!判りました!」

男はロベルトの去って行く背中を見て、言葉を返した。



「ロベルトぉ~、こんなとこにいたのか?探したぞ!」

食堂から出て直ぐにロベルトの所にイザベラが駆けつけた。


「何があった?そんなに慌てるなんて、やはりさっきの地震は二国連合軍が帰って来た所為で起きたものか?」

ロベルトは慌てて駆けつけて来るイザベラを聞いた。


「そうではないが、大変な事が起きた!」

イザベラはロベルトにそう告げる。


「大変な事だと?何だその大変な事って!詳しく説明してくれ!」

ロベルトは異様なまでに慌てるイザベラに説明を求めた。


「詳しくって、さっきの地震あんたも感じただろ!」

説明する余裕が無いようにイザベラはロベルトに聞き返した。


「あぁこっちにも伝わってきている、だからこうしてその原因を聞いてるではないか?」


「伝わってきているのなら判っているだろ!さっきの地震は聖域の山からのもので、さっきうちの隊員が聖域の山の方から鳥達が飛び立った事を確認した!あんたならこれがどう言う事なのか知っているだろ!」

イザベラはこの地方で領主たるロベルトが禁地にしているあの山の方を指し、声を荒くした。


「聖域の山って、まさか!?」

イザベラの話にロベルトは明らかに動揺した。


「さっきの戦い、一人の少年がローランの名を語って介入してきたのだろ、ならそう言う事じゃないか!」

イザベラは説明を付け加える。


「まさかベリオットが!くぅ...」

ロベルトは一つの可能性を不意に頭の中に蘇り、しかし今この要塞の一番重要な時期である事からいくべきかどうか二つの選択肢の中とっちを選ぶか決められずにいた。


「とっとと行け、ロベルト!要塞の事はわたしとあいつに任せて、あんたは親の務めを果して来なさい!」

悩むロベルトをイザベラは怒鳴った。


「くぅ、判った!此処はお前達に任せる、私は家へ行ってくる!」

ロベルトはイザベラに怒鳴られ、なんとか家のほうを選んだ。


「任せろ!」

イザベラはそう叫んでロベルトの背中を強く押した。


「うぉ!」

いきなり押されたロベルトは驚いたが、そのまま要塞の出口へ向かった走り去った。


「全く相変わらず世話の焼けるやつだ。」

去って行ったロベルトを見詰めイザベラは囁いた。なにか懐かしい思い出を思い出しように少し顔を緩めた。


「全くもってその通りですね。」

イザベラの後ろにゆっくりと一人の男が姿を現した。


「ジュドか、そう言う魔法はもっと別の所に使って欲しいものだね。」

気配も無く後ろから現る男の正体をイザベラ直ぐに察した。


「残念だが今回は魔法を使っていないさ。英雄の盾 に吹き込んだ魔力がまだ回復していないし、使えたくても使えないさ。」

男 ジュドは肩を竦めながら両手を広げた。


「今はどっちでも良い、聞いてる通り暫くこの要塞はわたしとあんたに任された。すぐにでも取り掛かるぞ。」

ジュドの話にどうでも良いと返したイザベラはロベルトが去って行く方向と真逆の方へ向かって歩き出した。


「はいはい、判っているさ。」

ジュドはそう言いながらイザベラの後ろからついって行った。



■□■□■


「屋敷前まで来たものの、どうしようかな。あの事を父さんと母さんに話すかそれとも隠し通すか……」

屋敷の側面俺の部屋の窓の真下まで来た俺は悩んだ。


「……一旦部屋に戻ってそれから考えよう。」

どれだけ考えでも決められないから俺は一先ず部屋へ戻る事を決めた。


「……よし、近くに誰もいないな。これなら……ほいしょっと。」


脳内で生成された地図から周りに他の人がいないを確認した、それでこの機に乗じ俺は足に力を入れて、軽く地を蹴り、跳び上がった俺は俺の部屋の窓際に軽く着地した。


「…栓をしてるだけの窓なら……斥力(リプルション)(フィールド)(オン)……此処をこうしてっと、よし、開いた。」

窓を開ける為に俺は斥力場を展開し、上手く斥力をコントロールして栓を外し、窓を開けた。


「こんな事が出来るものを科学の力で作れる何て、俺のいた時代とは科学力が違い過ぎるな…おっと関心して場合じゃないな、これをなんとかしないと見つかったら一発でバレてしまうな。」


もう一度斥力の実用性を肌に感じ、ご先祖がいた時代の科学力に関心した。


しかし万一の為に一先ずデュランダルを隠そうと思い、背中から外しその大きさを目測しながら部屋中に隠し場所は無いかと周りを見回した。


「……やはりそこしか無いな……先ずはこれを外して、それから……ほいっと、よし、これなら大丈夫だろう。」


隠せる場所を見つかり、俺はデュランダルの柄を通して鍔に付けている腕輪のようなアクセントを取り外し、それを左手に付けてからデュランダルを持ったまま軽くジャンプして、デュランダルを天井に付けた。


「後は………」

俺は自分に言い聞かせるように囁いた。

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