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第十二話 傍観してる二人と戦の終結

ドッガァン!!!


軍・王の二国連合軍のとある新米軍師の命令で全軍魔導砲を斉射、打ち出された砲弾は全部一箇所へ飛んで行き、凄まじい爆音と共に満天の土煙を揚げた。


「全軍直ちに次なる射撃の準備をしろ!軍の中心から左右に分け、左軍右軍交替で砲撃を途絶えさせるな!」


新米軍師として初めての戦である事にも関わらずあの軍師は即座に次の指示をだした。


『おぉぉーー!!!』


最初の魔導砲による斉射命令のタイミングが良く、その一度の命令で連合軍の砲兵達はその新米軍師の実力を知り、今もそれを信じ、応えようと砲兵達は雄叫びを上げた。


「歩兵達はその間に魔導砲の予備を持ち出せ!壊れたやつを交換し、余った魔導砲を何時でも前線のやつと交換出来る様に!」


砲兵達が素直に自分の命令に従ってくれた事で更に自信を付けたあの新米軍師は歩兵にも命令を出した。


『おぉぉ!!!』


新米軍師の命令に砲兵達が従ってる事が歩兵達にも影響し、その影響で歩兵達も新米軍師を認め、その命令に応え、砲兵以上の音量で雄叫びで応じる。


「両軍の救援部隊は速やかに将軍達を具合を確かめ、その手当てを!そして指示を受けていないものは救援部隊の手助けと援護に回れ!」


どんどん自信が付けていく新米軍師は残りの兵達に指示を出す。


『おぉ!』


歩兵や砲兵に比べて明らかに人数の少ない他の兵士は 歩兵や砲兵に負けられない と言う意気を込めて雄叫びを上げる。


かの新米軍師が的確に命令を出し、その命令を受けた兵士達は誰もが命令に従い速やかに行動に移した。


■□■□■


場所をブレニア要塞の城壁の上へ移し、突如一人の少年の介入に驚いた要塞の兵士達はロベルトによってまた落ち着きを取り戻し、一時的戦況を見る事にした。


「おい!その少年の様子を確認出来たか!」


土煙の所為で爆発の中心にいる少年の様子所かその影を確認出来ない状況でロベルトはかの少年の様子を確認せよと兵達に命じ、その報告を今だに受けていない事が少しイライラしていて、その場に居る者達にまた聞いた。


「まだ確認を取っていません!土煙が酷く少年の姿を見えません!」


遠見の才が有るかの弓使いの新米兵士はその持ち前の遠くが見える目で見ようにも少年の様子を確認出来ず、ロベルトの問にただ返事をした。


「速く確かめてくれ!それ次第でこの戦は大きく変わるのだ!」


少し焦り始めたロベルトは再度その場に居るものたちを催促した。


「「「はい!」」」


かの弓使いの新米兵士を含め、その場に居る者達は一斉にロベルトに応えた。


「ロベルト!どうなっているのだ!何故まだ出動の命令を出さない!」


城壁の下に続く階段から一人の女性が凄い勢いで登って来て、城壁の上に上がった途端、ロベルトを問い詰めた。


「イザベラか?すまないが状況が変わった、そっちの出動はもう少し先になる。」


問いながらも迫ってくる女性がイザベラだと直ぐにわかったロベルトは即座にその問に答えた。


「さっきの声といい、本当に何があった?」


状況を理解出来ていないイザベラは素早く回りを見回し、それでも原因を判らないままロベルトに聞いた。


「説明出来る状況でもないんだ、こっちもまだっ!」


パァン


ロベルトの話の途中に絶えずに轟く爆音を消し、その場の全ての雑音を排したように澄んだ音がその場に響き渡った。


■□■□■


少しだけ時間を遡る。


武人をぶっ飛ばしたと同時に砲弾が打ち出された、その音に反応して俺は斥力場(リプルションフィルド)を全開にし、デュランダルを地に突き刺し衝撃に備えた。


トン


爆発音に思えない小さい音が響き、フィルドのお陰で衝撃や爆音も俺に届かなかった。


『保持者のデュランダルの力の使い方並びに戦闘経験が合格ラインに到達している事を確認、これにてチュートリアルから正常モードへ自動的に移行します。一時低下した全てを正常へ戻します。』


無機質なシステムボイスが響き、一時低下となっていた俺自身の身体能力が元に戻ったか不思議と体軽く感じた。


しかしその変化の所為で一瞬だけ気が抜けて展開したフィルドに小さな穴が出来、そこを突き抜け一発の砲弾が俺に向かって飛んで来る。


ドン


衝撃は伝わってくる、しかし砲弾はデュランダルに傷をつけることできずに中核となる何かの塊は灰となりそれに纏っていた魔力も消散した。


その砲弾には少し驚いたが直ぐに気を引き締めてフィルドの穴を埋める。


「...少し邪魔だな、この煙。」


体の変化に慣れ、俺は辺りを見回す。


「...今の俺なら出来る...筈だ...行くそ!」


一つの案が俺の頭に思い浮かび、自分に言い聞かせるように呟き、決心する。


地面に刺してるデュランダルを引き抜き、引き抜く勢いでデュランダルを回し背中へ戻した。そしてそのまま空きが出来た両手に少し力を入れ、合掌した。


バァン


澄んだ音が響き、一瞬でその場の雑音を排し、それと共に旋風が吹き、周りに高々く舞い上がった土煙を吹き晴らした。


「「「......!!!」」」


突如土煙を吹き晴らした事がかなりの衝撃らしく、向こうの軍・王二国連合軍の兵士達の誰もか手を止めこっちをただ見詰めていた。


「手を止めるな!直ぐにもう一度タイミングを合わして一斉射撃をするんだ!」


立ち尽くしてる連合軍の中、一人だけ直ぐに次なる行動を取ろうとして、他の兵士に呼びかける。


「そ、そうだ、もう一度打てば、必ず!」


その誰かの呼びかけに連合軍の兵士達は気付き、焦りながらも止めていた手を動かす。


「二度目が有ると思うか?お前達?」


俺は囁き、フィルドを築き、制限が無き今フィルドを広く展開させ、連合軍の大砲を動かさず、前線に出てる兵士だけを押し返す。兵士達が大砲から離れる一瞬を突いて、右手でデュランダルを一気に抜き、斥力波を纏わせ、横薙ぎの一撃を放つ。


一筋の()()が大砲を貫き、一瞬の内に一列となる大砲を斬り裂き、真っ二つになった大砲は爆発し、その爆発をも俺は斥力で押し殺した。


「なっ!歩兵!予備の魔導砲を前に出せ!」


他の兵士に呼び掛けたあの人は驚いたが、また直ぐに叫び、兵士達に指示を出した。


「悪いが今度はこっちから行かせて貰う!」


囁きながら俺はデュランダルを持ってる右手を下ろし、両足に目一杯力を込め、地を蹴ってさっき老者が飛んで行った方向へ突っ込んで行く。


連合軍の兵士達は弾丸のように突き進む俺に気付かず、直ぐそこまで来た俺は前進する勢いを殺さずそのまま地を蹴って跳び上がり、そのまま空中で一回転してまた斥力で足場を作り、加速して一気にかの老者の元へ飛ぶ。


「なっ、まさかっ!」


急接近してくる俺に老者だけが気付き、何時しか鞘に納めていたサーベルを再び引き抜こうとした。


しかし時は既に遅し、だ。空中で更に加速し、俺は老者がサーベルを抜く前にその目の前に着地し、前進する勢いを体から右手へ移し、そのままデュランダルを振り上げその切っ先を老者に向けた。


「くぅ、貴様!」


老者は憎い仇を睨むように俺を睨んだ。


「おい、そこのお前!誰に切っ先を向けている!」


老者に切っ先を向けている俺を発見した一人が数名の兵士を連れて近付いてくる。


「俺も気が長い方じゃない。降参するか、それとも軍を連れて国に帰るか、いちよう選ばせてやる。速く決めろ!」


近付いてくる兵士を無視して俺は老者にそう告げた。


「そのような脅しが通ずると思うな、洟垂れ小僧が!この私を殺したいなら殺せ!」


老者は俺の言葉に刺激され、悪態を吐きながら逆にそっちから一歩前へと切っ先に近付けた。


「これは脅しだ、だが別にあんたの命であんたを脅してる訳じゃないんだ。」


俺はゆっくりと老者から切っ先を退けて近付いてくる兵士達の先頭に立つものに向けた。


「貴様!ものどの囲め!」


切っ先を向けられた一人の兵は即座に後ろにいる兵士達に指示を出した。


「「「おぉ!!」」」


指示を受けた兵士達も短く返事して直ぐ円陣を組むように俺と老者を囲んだ。


「たっだ数名の兵士の命でもこの私が動じるとでも思ったか、洟垂れ小僧!」


老者もその兵士達を無視し、俺が言う脅しの材料がその兵士達だと思い俺に聞き返した。


「何を誤解してるようだが、誰もこの数人だけ、とは言っていないんだ。『這い付け!』」


俺を囲んだ兵士達はそれぞれ武器を抜き、それでも俺はそいつらを無視する。老者に答えながらフィルドを広げ、スピカーを通して二国連合軍の全てのものに告げた。


「うぷ!」「かぁ!」「くぅ!」


俺と老者を囲んでいる兵士達は奇声を上げ、何かに押し潰されるように倒れ、地に這い付いた。


それが一連の始まりと成り、石が静かなる湖に投げ入れ、起こした波紋のように俺と老者を中心に近いものが倒れ地に這い付き、そしてその後直ぐに隣のものも倒れ、どんどん円が広がっていく感じで次々と俺の言葉通りに地に這い付いた。


この現象に理解出来ず老者はその場に立ち尽くし、それから一分もしない内に万に近い兵士は全部倒れ、俺と老者だけが立っていた。


「これでわかってくれたかな。俺はあんたを含めた軍・王二国連合軍全軍の命を天秤に掛け、態々あんたに選ばせているのだ。」


俺は一文一句がはっきりと伝えるようゆっくりと老者に告げた。


「くぅ、なんなんだ貴様は!何故私達と帝國の戦いに介入してくるのだ!無関係の貴様が何故私達の邪魔をする!」


老者は切れて、喚き始めた。


「関係はあるさ、俺は帝國側に付いているからな...さぁ、速く選べ。まだ生きている今の内に、な!」


俺はゆっくりとデュランダルの切っ先をもう一度老者に向け、殺気を隠さず、老者に選択を迫る。


「糞が......私は、私達軍・王二国連合軍は、自国へ引き返す!...これで良いだろ!」


老者は悔しくてサーベルの柄を強く握り締め、俺を睨みながら非常に不本意であるのが判るくらいの声で言葉を口にした。


「あぁ、それで良い...本当にあんたがそれ程の権力があるかは考え物だが、よしとしよう。だが、あんたの言葉を聞き入れずに連合軍が侵攻を辞めない、またはもう一度侵攻してくるようなら、例えこちら側に非があっても俺はまた介入してくる、そしてその時にまだ今回のように選択肢が用意させると思うな!」


俺はデュランダルを背中に付け直し、思う存分に殺気を放ちながら老者を睨む。


「...判った...約束する、このローランド王国の将 オルソン の名に懸けて、な。」


老者は観念したように頭を垂れて、気迫も無くただ言葉を口にした。


「その約束が破られたりしない事を祈ってるよ、さよならだオルソンとやら。『転移(シフト)』」


俺は短く別れの言葉を口にし、眩い光に包まれ俺はその場から姿を消した。

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