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第十一話 戦う者

ドン ドン ドドン ドン


下から絶えずに砲撃の音がこちらにまで届き、その砲撃の音から考えられないほどに土煙や灰が舞い上がっていない。


その訳は直ぐに明白になり。赤く輝く魔力の塊と紫が掛かった透明の魔力の防壁がぶつかり合い、灰や土煙など吹き舞うはずも無いのだ。


向こうで大砲みたいなもので魔力による爆撃を続く人達は聞かなくでも侵攻してきた軍・王の二国連合軍だ。


万人の兵隊が全部の砲口を一箇所に向き、そこに集中砲火を仕掛けようとした。


それを発見した俺は自らの意志で動く前に体が勝手に動き、右手を上げ背中に着けた デュランダル の柄を握り締め、右半身を前へ突き出し、その勢いで デュランダル を抜き、空に一の字を刻むように横薙ぎ。


一瞬、透明な糸のような線が全ての砲口から打ち出されて間もない魔力の塊の中心部を通り月牙のような曲線を描いた。それを視認できた俺はそのまま勢いを少しずらして デュランダル を背中に着け直す。


ドン ドガァーーーン


さっきと違い、防壁の前で爆発は無く、殆ど砲口の直ぐそこに爆発が起き、今まで聞いた事の無い爆音がかつて無い程の音量で戦場を轟いた。


そしてその爆音と共にピッタリと砲撃も止んたのだ。


『スピーカーを起動します。』


俺が喋りたいのを直ぐに察知したように無機質な声が脳内に響く。


『今この場に居る全てのものに宣告する!直ちに戦闘行為を中止しろ!』


俺の声が静かに成った戦場に響き渡る。


その声は上から聞えてくるものだと誰もが感じ、その場に居る全ての者達が上を見上げているのだ。


『エムベラド帝国のものたちは退避しろ、この場はこちらが預からせて貰う。軍・王の二国連合のものたちに告げる、これ以上まだ戦いたければこの俺が相手をする事になる!そうなればかつての英雄 ローラン の名に掛けて後悔をその身に刻む事を約束する!』


高揚してる俺は力強く叫ぶ。


『そんな威しか通ずると思うか!者とも!奴を撃ち落とし、奴等の国で謳われてるローランとやらの名を地に着かせ!』


二国連合軍の司令らしき一人の中年男子が魔法を使い、その声を戦場に居るその指揮下にある者達に伝えた。


『『おぉ!』』


その司令の一言を拾えた二国連合軍の兵士達は雄叫びを上げ、片手を天に突き出した。


『ならば致し方ないが、そちらには痛い思いをさせて貰う。』


空に立つ俺はそう告げた。高揚した気持ちが治まらず自分でも好戦的な笑みを浮かべている事が判った。


『「チュートリアルを開始します、標的(ターゲット)としての参加に感謝します。」』


さっきまでの俺の声と違い、俺には馴染みのある無機質な声がこの世界の言語と日本語で同時にその場に者達に聞かせた。


『ふざけた事を!全員撃ちかた用~意!』


かの軍の司令の命令で軍の兵士は即座実行に移り、揃って大砲の砲口を上に向けた。


その動作を感知し、システムに体の制御を預かった俺は足元を集中し、斥力を足場にした。その押し出す力を利用し、それと同時に足に力を入れ、空を蹴って地面へ直線の如く真っ直ぐに突っ込んでいく。


地面と激突する前に俺は体を半回転させ、足を地面を蹴り付けて、力を地面へ流した。


ドン


二国連合軍の並び立つ大砲が発砲する前に少し小さい音が鳴り、それと共に二国連合軍が展開してる場所から少し前 ブレニア要塞との間に一つの土煙が上げた。


「何処を狙っている?俺は此処だ。」

さっきまで空に居た俺は吹き立つ土煙の中から姿を見せ、自我申告をするように声を上げた。


二国連合軍の兵士は即座に切り返して、声がする方へと一斉射撃をするように視線を飛ばし、瞬間移動でもしたような俺の姿に驚きながらも直ぐに砲口をこちらに向き直した。


それに対抗する為、俺は背負ってる デュランダル の柄を握り締め、一気に大剣を引き抜き、一を描くように横薙ぎして、かの軍の兵士の直前の所半円を描くように地面にラインを引いた。


「その線が境界線だ。もう一度言う、英雄 ローランの名にかけて約束する。逃げたいものに俺は追わない!降伏するものに俺は攻撃しない!それらを踏まえた上でまだその線を越えて進撃を選ぶものに俺は容赦しない!」


底から湧き上がる怒りを吐き出すように、俺は力強く叫んだ。


「かっはっは、洟垂れ小僧が何をほざくか!その言葉、小僧の戯け言でだからと見逃せると思うな!」


一人の老者が二国連合軍の軍勢を掻き分け、一歩前へ出た。笑い声と反した物凄い殺気を漂わせ、怒りの眼差しが俺を睨んだ。


「そう言う事だ、わっぱ!とっとと消えうせろ!」


その老者と少し離れた所にまた一人、さっき二国連合軍を指揮ってる武人も前へ出て来た。言葉に込められた怒りに似合った怒り狂った顔でこっちを睨む。


『チュートリアル中での戦闘行為を確認、機能、切れ味及び所持者の身体能力を一時低下させます。所持者と標的(ターゲット)に絶対な安全を保障します。』


システム(デュランダル)からまた無機質なシステムボイスが響く。


使用知識と共に記憶した事で、始めから判っていた事だ。


「宣告はした!これ以上言葉は、無い!」


俺は力の低下を無視し、右腕だけの片手で大剣を持ち上げ、あの老者と武人に切っ先を向けた。


ピリピリとした空気が二人と俺の間に流れ、二人は睨みを利かせ、上手くこっちを牽制しようとした。


そんな二人に俺の体がまた勝手に反応し、二人から目を離さず、向けていた切っ先を退けそのまま デュランダル の柄を放し回転させ、切っ先が丁度地面に向けたその瞬間再び柄を握り締め、大地に突き刺した。


デュランダル の最小限に抑えられた力で斥力を操り、俺自身の体に斥力を掛け、そして前に押し出されないよう地面に突き刺した デュランダル をストッパーとして、その柄を支点に体を無理に止めた。


一秒の間にたっぶりと力を溜め、一気にデュランダル(ストッパー)を外し、斥力の作用下で押し出される体を両足で更に全力で地面を蹴って加速させ、飛び出す瞬間に右手で デュランダル を一気に引き抜き、打ち出された弾丸のように真っ直ぐ武人と老者へ向かって突っ込んでいく。


超高速で二人に接近して行くと同時に デュランダル の柄に左手をも添え、握り直す。二人の間を狙い、今絞りだせる目一杯の力で振り落とす。


ドン


何とか反応した武人と老者は左右の両方へ飛び、上手く避けた。振り落とした デュランダル は鈍い金属音と共に地面を砕き、小さなクレーターを作り出した。


砕かれた地面は碎石となって飛び散り、俺はそれをも利用し、それらに斥力を掛け左右に分かれてる武人と老者に飛ばす。


『パール』『ゲイル』


飛来する岩に対し武人と老者は同時にそれぞれ違う魔法の名称を口にした。


左の方(俺から見る)へ避ける武人は一瞬体が白い輝きを見せ、一瞬の輝きが消える瞬間に武人は右手を素早く前へ伸ばし、飛来する石の中の一つ一際デかいのを鷲掴みして、一気に力を込め掴んでいる石を握り砕き、砕かれた岩は握る力が強すぎる所為で武人の右手を中心に四周へ飛び散り、他の岩を打ち砕いた。


右の方へ避けた老者の方は体に変化が無く、ただ腰に差してるサーベルを鞘から引き抜き、そのサーベルを振るう前に旋風のような一筋の緑が老者の前を通り過ぎ、飛来する石を一瞬の内に全てを細かく切り刻んだ。


二人が石に対処してる間に乗じ、俺はまた動き出す。


体の重心を移し、地を蹴って右にいる老者の方へ更なる加速を計り、それと同時に デュランダル を両手で頭より上に持ち上げ、完全に体重を上乗せして振り落とす。


キン


金属がぶつかり合う音が響いた。


俺の剣に反応した老者は両手でサーベルの柄を握り、正面から俺の剣を受け止めた。


切れ味も俺自身の力も制限が掛かってるとは言え俺自身以上にデカイ デュランダル の一撃を正面から受け止める事が出来た、それだけでも老者の実力を示している。


老者は細身に思え無い程に俺の力とデュランダルの重さを耐え、俺との間に力が均衡し、俺が少し力を入れでも押し通る事が出来ず、老者の方も俺を押し返す事が出来なかった。


この力の均衡を破れようと俺は更に力を込め、より一層強く押す。押された老者は苦虫を噛み潰したように眉を皺め、少しずつ押されていても堪え続けた。


「うぉぉぉ!」


誰かが走って接近してくる足音と共にその誰かの雄叫びが空気を振動させた。恐らくさっきの武人だろう。


「オラァァ!!!」


その声と同時に武人が攻撃してくるのを先に察知した俺の体は勝手に反応し、デュランダル を老者のサーベルを離さず下へ押す力を抜かずに左後方へ引いた。


カン


拳と金属がぶつかった音に思えない鈍い音が響き、ちょっとした衝撃が デュランダル を通して俺に伝わってきた。


少しの間に姿を確認出来なかった武人が俺の左の方で姿を現し、さっき拳で殴った事を押してくれるように左手で拳を握り デュランダル の腹に当て、力を込めて押してきた。


俺は武人が力を込めるその一瞬を狙い、デュランダルを振り上げ、武人の拳を弾き、出来た一瞬の余裕を俺は見逃さない。


振り上がったデュランダルの勢いを左手で消し、そのまま左手の力を抜きデュランダルの柄を放し、更に右手により一層力を込めて老者を狙って横薙ぎ。戦いの猛者だったであろう老者は素早くサーベルを縦に立たせ、その剣腹を左手で支え、真っ向から俺の一撃を受けようとする。


キン 


金属()がぶつかり合い、老者は防ぎ切ったもののその衝撃を耐え切れずに遠い後ろへ飛んであの境界線の外にいる兵士と激突した。


二対一から一対一、一対一から二対一、そしてまた一対一へと変わった今の好機に乗じ、さっきの横薙ぎの勢いを殺さず、方向だけをずらし、両手で頭上へ振り上げ、武人に斬りかかる。


『ダイヤモンド』


直ぐに俺の意図を察した武人は自ら避ける事をせず、また別の魔法の名称を口にする。さっきの白とは違う少し暗くそして透明な色、名称通りならダイヤのような輝きが武人の体から発し、一瞬の内にまた消えた。


魔法が使用されても俺は止めず、振り上げた大剣(デュランダル)に俺自身の体重と力を乗せ、縦の一を描くように一閃を放ち、上手く魔法が作動してると信じてる武人は両手で拳を握り、腕と腕をクロスした。


ガァン


まるで岩に鉄をぶつけたような音が響き、武人は本当に両腕だけで俺の一撃を止めた。


俺の攻撃を受け止めた武人の足元の地面に亀裂が走り、それ程の衝撃を耐えて見せた武人は好戦的な笑みを浮かべた。また押し合いになる事を避けようと俺は直ぐに動き、これ以上の力を込めず、少しだけ手首の力を抜き、摺り足で前へ一歩踏み込み、武人の腕を軸にデュランダルを半周を回して柄の先で突きを放つ。


隙が出来た武人に俺は渾身な蹴りを放ち、武人を蹴り飛ばした。


『今だ!撃てぇー!!!』


武人が後方の兵士達と激突すると同時に万人の兵士の中の誰かが叫ぶ。


『『『おぉぉ!!!』』』

その誰かの雄叫びに答えるように軍・王の二国連合軍の兵士たちは皆雄叫びを上げ、それぞれ手を大砲の砲身に向けた。


ドォン!!!


一秒と二秒の僅かの時間差で連合軍の大砲から魔力の砲弾が続々打ち出され、赤く輝く砲弾(魔力)が揃って俺の方へ飛んできた。


ドッガァン!!!


強烈な爆音と共に大地は揺れ、満天に土煙を上げた。

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