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瀬名さん、こんにちは

気根きねくん、こんにちは」


 午後に入っているから、こんにちは、と生真面目な挨拶を彼女はしてきた。


瀬名せなさん、こんにちは」


 1年生の僕にとって、2つ年上だけれども2年生の彼女は、充分に長幼の序を守るべき先輩だ。丁寧に挨拶を返す。そのまま僕の向かいの席に座った。


「それ、A?」

「はい、Aです」



 ここの学食は、Aランチ、Bランチしか定食セットはない。しかも、おかずと小鉢のローテーションのみが入れ替わる、きわめて経済合理性の高いメニューだ。女性としては耐えられないのだろう。瀬名さんはきつねうどんとサラダだ。


「気根くんはゼミ、どれ取るとか考えてるの?」

「え、と。やっぱり経営系かなあ、と」

「あれ意外」

「そうですか?」

「あなたは絶対哲学系と思ってた」

「なぜ」

「いつも話が小難しいもん」

「難しけりゃ哲学、って訳じゃないですよ」

「わたしにとって理解不能な話は哲学なの」

「え」

「なに?」

「いや・・・じゃあ、瀬名さんと僕はコミュニケーションが取れてなかったんだ」

「あ、気付いてなかった?」

「ショックです・・・」


 昼食を食べ終わると、ベンダーの紙コップコーヒーを飲んでから瀬名さんと別れた。こんなに淡泊だけれども、一応僕の”彼女”である。けれども、僕のイメージしていた彼氏彼女とは全く異なる関係だ。大体、改まったデートというものをしたことがない。休みの日もコインランドリーで待ち合わせして、洗濯ものが乾くまで缶コーヒーを飲むぐらいだ。


「お金、無いもん」


 彼女の決まり文句が、かわいくはある。

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