修学旅行前日①
久々の投稿で申しありません。
これからもだらだらと完結までは頑張るのでよろしくお願いします。
学校に到着して、清雅と知紘ちゃんとクラスまで向かう。
俺たち3人はクラスが一緒なのだ。
清雅は窓際の一番後ろ、知紘ちゃんがその隣。俺は少し離れて清雅の列の一番前に座っている。
先生の机の前である。何の因果か俺はこのポジション付近から逃れたことはない。先生も特に気にしている様子はないので、俺が問題児とかではなく完全に運でこの席になっているはずだ。
まあ、それはいいとして。
俺はいつものように鞄を下ろして、清雅の席に向かった。
「清雅大丈夫か?」
熱があるという清雅のことが心配になったのだ。
いつも朝の会が始まるまで清雅の席でおしゃべりしているというのもあるのだけど。
「大丈夫だって!熱下がったっていったろ?」
清雅は少し赤い顔のままそう言った。
確かに少し顔が赤いだけでそこまで体調が悪いようには見えないが……。
そうだ!鑑定スキルを使ってみよう。確かそのものの状態とかがわかるはずだ。
清雅には悪いけど、これも清雅のため。清雅のため。ぐへへ。
しかたないことなだー。
決して好奇心などではない。断じてない。
さて、【鑑定】発動!
名前:安部清雅
性別:男
年:10
健康状態:ほんの僅か悪し
ステータス:閲覧不可
スキル:閲覧不可
状況:閲覧不可
鑑定発動と念じると清雅の頭上にゲームのステータス画面のようなものが出てきた。
ほうほう、確かに体調はそこまで悪くなさそうだが、この閲覧不可ってのは何だ?
あー、エルシィさんが言ってたな。これよりも上のクラススキルがあるって。
それじゃないと見れんのかな?
まあ、体調が悪くないってわかっただけでも良しとするか。
「なんだよ蒼一朗。こっちそんなに見つめて。なんか見えるのか?」
どうやら俺はかなり清雅を凝視していたようだ。
「あ、いや。本当に大丈夫かって心配でね」
とっさにそう切り出す。
八割がた嘘ではないので良いだろう。
二割ぐらいスキルへの好奇心で見続けていたのはあるけど。
「大丈夫だって!熱下がったって言ったろ?蒼一朗は心配性だな!」
心配されたのが恥ずかしかったのか、さっきよりも少しだけ顔を赤らめて俺に肩を組んできた。
結構いたい。
清雅は細い見た目からは想像できないけど、意外と力が強くびっくりするときがある。
実家が剣道の道場である清雅はもちろん剣道をやっているので、必然力が強くなるのもうなずけるというものだ。
「わかった!わかった!結構いてぇーからやめやめ!それに熱下がったのにまた上がるぞ」
清雅は熱が上がるという言葉で、すっと肩を組むのやめ席に座りなおした。
その時、顔を赤くしたまま何かを呟いたが、あまり聞こえなかった。
違うじゃーねーかとか、恥ずかしかったわとか言っていたがそんなに恥ずかしかったのだろうか?
そして清雅は、知紘ちゃんと俺に向かって修学旅行のことにて言ってきた。
「それにしても修学旅行楽しみだな!ワクワクするぜ!」
最近はこればっかである。
毎日、朝は蒼一朗の修学旅行が楽しみだという言葉から始まるといっても過言ではないほど修学旅行の話を聞いてる。
「せいがくんは、最近そればっかだねぇ」
「だって楽しみじゃねーかよ。みんなでお泊りとかワクワクするじゃん!」
「うん!知紘も楽しみなんだぁ」
二人は目を輝かせて修学旅行の楽しみなところを言い合っている。
「落ち着けよ。二人ともそんなに楽しみなのか?」
かなり盛り上がって、声が大きくなってきた二人を宥める。
「何だよ。蒼一朗は楽しみじゃないのか?」
「そういちろーくんは楽しみじゃないの?」
二人の純粋な目からきらきらとした光線が飛んでくるような気がした。
昔からこのきらきら光線攻撃と言いうか二人の瞳に俺は弱い。
「あーもう!楽しみだよ!でも、もうすぐ先生が来そうだから少し静かにな」
はーいと二人は仲良く声をそろえて言った。
案の定、先生はすぐ教室に入ってきたので、静かにしろと言っておいてよかった。
俺は自分の席に戻り、先生の話に耳を傾けつつ外を見る。
青い空だ。
「明日は待ちに待った京都への修学旅行です!皆さん準備はいいですか?」
担任の平沢先生の呼びかけにみんなは、はーいとかまだでーすとか言って答えていた。
そう、今回の修学旅行の行先は京都。
前世では、学校の修学旅行で京都に行ったことがないので割と俺も楽しみである。
小学校は日光。中学校は、倉敷。高校は、北海道と何処か的外れなチョイスの学校ばっかりだったので今回の修学旅行は非常に楽しみである。楽しみである。
大事なことだから二回言いました。
ぼーとしているといつの間にか朝の会が終わって、一時間目が始まるところだった。
はぁ。退屈な授業が始まってしまうのかと少し憂鬱な気持ちになりながら準備を進める。
そうだ!この時間にスキルの確認でもするか。
まずはさっきの鑑定スキルの続きだ。
俺はそう思いながら平沢先生に向かって鑑定スキルを発動させた。
名前:平沢奈央
性別:女
年:29
健康状態:良好。
ステータス:C
スキル:なし
状況:小学校教員として学校にて授業中。
現在独身だが、意中の男性あり。
さらに表示する…
あれ?おかしいな。
清雅の時には、ステータスより下の項目は表示されなかったのになんで平沢先生の時は色々表示されてるんだ?
それにさらに表示するって。とりあえず選択してみるか。
【さらに表示する】
「うわ!!」
「?どうしたの岩城くん?」
「あ、いや。虫にびっくりして」
「嘘!まだいるの!?」
│先生は虫が苦手と書いてある《・・・・・・・・・・・・・》ので、気をそらすために嘘をついてみたが、どうやら本当に苦手なようだ。
「もう外に出ました」
「よかった。……っ!授業に戻ります」
平沢先生は、はっとして授業に戻った。
それにしても、これは……。
名前:平沢奈央
性別:女
年:29
健康状態:良好。
ステータス:C
スキル:なし
状況:小学校教員として学校にて授業中。
現在独身だが、意中の男性あり。
だが、その男性は偶然知り合っ
た昆虫学者で、現
在葛藤中。ほかにも悩みがあっ
て、この職業についてていいの
か悩んでいる。子供のことは嫌
いじゃないが、成り行きでなっ
た小学校教諭に疑問を感じてい
る。本当の夢は、お菓子屋さんで
ある。腕前はプロ以上である。自
身に自信がない。
現在は、学校の近くのアパートに
住んでいる。
これかなりの情報だな。なんで、清雅の時は?
まあいっか。
これはかなり使えるスキルだな。
今後も使っていこう。
身体能力向上のほうも試してみたいけど、さっきみたいに先生になんか言われるのは屋だから、家帰ってからにするか。
こうした俺は修学旅行とは別のワクワクを持って授業をぼーっと受け、下校の時間になった。
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