はれの始まり
約一か月ぶりの投稿。
今まで見てくれた読者様もこれから見てくれる読者様も本当にありがとうございます。
これからも黄金ロボットをよろしく願いします。
「そーくん。よく眠れた?」
「……ん。おはようねーさん」
カーテンの隙間からこぼれる柔らかな朝日がベッドに眠る俺と起こしに来た葵ねーさんを包んだ。
横たわる俺の上からのぞくねーさんの顔には、微笑みが携えられていた。
「私は、部活の朝練習でもう行くけど、朝ご飯作ったからちゃんと食べて、ちゃんと学校行くんだよ」
それじゃあねと言ってねーさんは俺の部屋を後にした
毎朝6時前に起こしてくれるねーさんはもう一人の母さんみたいな存在である。朝が弱い母さんに代わって朝ご飯を作るところにも母性を感じる。というかもう一人の母さんである。
のそのそと布団から起き上がり、机を見る。
そこにはきちんと畳まれた今日俺が着ていく服が置いてあった。
ねーさんが置いたものだ。
いや。ほんとオカンかよ。
まあ、ありがたいんだけどね。
そんなことを思いつつ用意された服に袖を通し、今日の持ち物について確認する。
今日は、修学旅行の荷物を持っていく日である。
旅行先は京都。二泊三日の京都旅行だ。
すごい楽しみなんだよな。
元々前世でも京都とか│古の日本を感じるような場所は大好きなんだ!高校とか大学の長期休みには必ず一回は行っていた。
とてつもなく詳しいとかそういうんじゃないんだけど、なんとなく相性がいいんだよね。
今回も大変楽しみである。友達と一緒に行くからってのもあるけどな。
……よし。荷物は大丈夫だな。朝ご飯食べるか。
俺は朝ご飯を食べるために一階へと向かった。
するとそこには珍しく母さんの姿があった。
「おはようそうくん」
「おはよう母さん。珍しいね。どうしたの?」
「お父さんから手紙が届くはずなのよ。だから、早起きしちゃった」
「ああ、いつものやつね」
我らが父、│岩代 司は単身赴任で海外に行っている。
俺は詳しく知らないのだが、結構危ない場所に赴任しているらしく、父さん一人で赴任しているのだ。
「待てなかったのよね」
てへぺろと擬音がつきそうな感じで母は言った。
似合わなくはないけど、年を考えなさいよ……。
「そっか。俺は朝ご飯食べるよっと」
俺向かってはーいと言って母さんはソファに向かい寝そべってテレビをつけた。
さて、今日の朝ご飯はなにかな?
お、みそ汁と目玉焼きか。シンプルだけど定番って感じでいい朝食だな。
姉さんが作った朝食を食べ終わって、母さんと一緒にテレビを見てくつろいでいるとインターフォンが鳴る。
「そういちろーくん!学校行こう!」
元気のいい女の子の声が聞こえる。
ちょっと離れた所に住んでいる津森さんちの智紘ちゃんの声だ。
「わかった!今行く!」
リビングから大きな声で知紘ちゃんに返事をする。
二階に行きランドセルを取って、玄関に戻るそこには母さんがいた。
「母さん行ってくるね」
「いってらっしゃい」
母さんにいってきますをして、ドアを開けるとすでに知紘ちゃんがそこにはいた。
「そういちろーくんおはよー。おばさんもおはようございます」
「おはよう知紘ちゃん。あら、清雅くんは一緒じゃないの?」
「はい。せいがくんを朝呼びに行ったら、少し熱があるから様子見るって言ってたんです」
本当だ。清雅がいない。
清雅は知紘ちゃんの隣の家に住んでいて、いわゆる知紘ちゃんの幼馴染というやつだ。そこには俺も含まれるので、三人がと言ったほうが正しいのかもしれない。
幼稚園で出会った俺たちは結構すぐに仲良くなって、今までずっと一緒に遊んだり、家族で旅行に行ったりしていた。
人生を一緒に過ごしてきたといっても過言ではない。
いつもなぜか同じクラスに固まって座っているし、行事とかでも離れることがない。
しかも、清雅は俺たちの中でもかなり健康だから、知紘ちゃんと一緒に来ないなんてことがな……「知紘!蒼一郎!おばさん!おは……よう」い
はあはあと荒い息遣いでこちらに近づいてきたのは額に玉のような汗をかいた清雅だった。
「大丈夫せいがくん!今日は熱があるから休むんじゃなかったの?」
知紘ちゃんが声をかけてポケットから出したハンカチで額を拭う。
「へへっ!みんなに会いたいから来ちまったぜ」
さらっとかっこいい言葉を言う清雅。
まるで主人公とヒロインである。まるでっていうかそっくりそのままか。
「でも、大丈夫なの清雅くん。お熱あったんでしょ?おばさん心配よ」
「大丈夫!ちょっと休んだら下がったから。ほら、二人とも遅刻しちゃうぜ!」
風邪をひいていたとは思えないほど元気に走っていく清雅。
「まってーせいがくん。早いよー!」
それを追いかける知紘ちゃん。
「じゃあ、いってきます母さん」
「いってらっしゃい。気を付けてね。あと、清雅君の体調注意してあげてね」
うんと返事をして二人をゆっくりと追いかける俺と俺たちを見送る母さん。
少し行くと二人は俺を待っていてくれた。
「遅いぜ蒼一朗」
「遅刻しちゃうよ!」
「ごめん二人とも。じゃ、行こうか」
これが俺のいつもの日常である。
さあ、今日も一日頑張っていこう!
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