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エピローグ
夜景と言うには雑然とした安っぽい夜の街角。
人気も絶えた深夜の裏通りで、二つの影は重なり合った。
「本当にいいの?」
僕に抱きしめられた彼女は、僕の胸に頬を預けながら尋ねた。
「あなたは……正義の戦隊のレッド。私は……悪の組織の女幹部。今のこのシチュエーションも、ずる賢い女狐が仕組んだ罠かもしれない」
潤んだ瞳が、上目遣いに僕を見る。
「例えば、突然あなたの心臓を刺し貫くつもりでいるのかも」
「それはもう」
僕は彼女を一層強く抱きすくめながら答える。
「とっくに実行された企みだ」
僕の腕の中の彼女の鼓動が、とくん、と跳ねた。いや、僕の鼓動だったか。もしかしたら二人とものそれだったかもしれない。
彼女の瞳に僕が映る。
僕の瞳にも、彼女が映っているだろう。
合わせ鏡の二人の影は互いにその距離をゼロに近づけてゆく。
そして、僕らはーー