表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の魔者  作者: ルイン
第一章 連れ去られた子猫
6/53

儀式の話し




 「ねえ、シーリー。さっき、大人になれば人間に変身出来るって言ってたよね? どういうこと?」


 温かいミルクで口の周りのを白くしたコリスは、煮干しを食べているシーリーにそう尋ねた。シーリーはコリスを見て、ぷっと吹き出した。


「まあまあ、坊やったら。お口の周りが真っ白ですよ」


 シーリーはそう言うと、示すように自分の口元を舐めた。コリスはあわてて口の周りを舐めた。


「で、どうなの?」取り(つくろ)うようにコリスは言った。


「ふふふ。えーと、猫の部族はですね、大人になるとその(あかし)として儀式(ぎしき)を行うんですよ。そうすると、魔力が上がったり目の色が変わったりして、大人の仲間入りになれるんです。」

 

「えっ、目の色が変わるの? どんな風に?」


 コリスは興味津々でシーリーに聞いた。



「例えば、茶色から黄色、青色から緑色とかに変わったりするんです。ちなみに私は薄い水色でしたが、儀式をしたら銀色になりました」


 シーリーは嬉しそうになぜか胸を張った。その姿をぽけっとして見ていたコリスは、ハッとした。


「じゃあ、僕も水色だから儀式をすれば銀色になるのかな?」


「あ、いえ。そうとは限りませんよ。みんなそれぞれ瞳の色が違うように、儀式後の変化も違いますからね。それがまた面白いんですよねぇ。コリス君は変わるなら、どんな色がいいですか?」


 急に聞かれてコリスは戸惑った。


「・・うーん・・・・分かんないや。ところで、人間になれるようになるのは、その儀式で力が上がったりするから?」


 コリスは考えながら聞いた。


「それもありますよ。変身するにはたくさんの魔力を使いますからね。でも、人間になるためには人間の身体が必要なんですよ。だから、その儀式で身体をもらうんです」


「も、もらっ?!! ゲホッ…ゴホゴホッ」


 コリスはビックリしすぎて、食べていた物を飲み込んでしまった。


「大丈夫ですか?! 落ち着いて下さい、コリス君。そんな変なことじゃないですから」


「・・・十分変だと思うけど・・・」


 コリスはボソリと呟いた。シーリーはコホンと咳払いをしてまた話をし始めた。



「えっと、人間の身体をもらうっていうのは、その・・・人間を殺すとかそういうのじゃないですからね。作るんですよ、儀式の前に」


「えっ? それって作れるものなの?」


 コリスはきょとんとした。


「はい。とは言っても、その弟子の身体は師匠が作るので、私は詳しく知らないんですけど・・・。ちなみに、身体を作るには本人の毛が必要になります」 


 まじめな顔でそう言ったシーリーは、棚の上に置いてあるデカイ鉄のハサミをちらっと見た。シーリーの目線を追ってその恐ろしい姿を初めて見たコリスは、ゾッと体中の毛を逆立てた。



「まあ、切るときはそう痛くありませんし、目を閉じていればなんて事はないんですが・・・でも私は数日間逃げ回っていました・・・・」


 ぼそっと呟かれた言葉に、コリスは思わず笑ってしまった。




「あれ? でも、シーリーの師匠って誰なの?」


 コリスは、はたと思いついて聞いてみた。シーリーは、それを聞いてなぜか笑った。だが、シーリーの言葉を聞いてコリスは酷く驚いた。



「グローリアですよ。私はグローリアの3番目の弟子なんです。そして、コリス君はその次の4番弟子。私は、君の先輩でもあるというわけなんです」

 【猫の魔者を書く上であった裏話】


 こんにちは!ルインです。


 そろそろ裏話がつきて来たので、次からは「猫の魔者」の世界設定やら部族の詳しい説明やらをやっていきたいと思います。


 とりあえず、今回はグローリアの裏話を書こうと思います。



 実は、グローリアは最初、明るい人でした(笑)


 酒が好きで、酒屋にいそうな酔っ払いのセクシーな女性だったんです。


 元気があってたまに古臭い言葉を使う、そんな設定でした。


 今のグローリアとまるっきり正反対ですね(笑) その元気はどうやら、突然ひょっこり出てきたシーリーに全部持っていかれたらしいです。


 で、元気で明るいシーリーの変わりに、クールで落ち着いたグローリアが出来たんですね。


 では、読んでもらいありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ