表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

『キタロウ』の墓

作者: 片桐 りのん
掲載日:2026/03/08

――怖い話ですか?

――別に無いって事は無いんですが。

――では、短くて怖い話をしましょうか。


 昔、俺は沖縄に住んでたんですよ。

 親が転勤族だったんで、その関係で。

 一言で沖縄と言っても、自分がいた所は那覇みたいな観光都市じゃなくて、さとうきび畑や草木が生い茂る田舎の方でした。

 たしか…小学3年生ぐらいの出来事だったと思います。

 ある日、小学校で劇を観に行く事がありまして。

 けど、さっき言ったように自分がいた所は田舎なんですよ。

 なので場所は、数十人が入るような小さなホールを兼ね備えた公民館みたいな施設でした。

 で…まぁ、そこで問題が1つ。


 それは…墓です。

 『キタロウ』の墓って言うんですが。

 前提として沖縄の墓は本州の墓と違って、広いんですよ。

 気候の問題とか墓の前で宴会をするからとか色々あるんですが、例に漏れず『キタロウ』の墓もそうでした。

 『キタロウ』って誰かは分からないんですが、昔からそう呼ばれていたそうです。

 周りの人に聞くと、『キタロウ』の墓に行くと身近な人が死んだとか呪われて行方不明になるとか様々な噂が流れてました。

 どうやら向かう道中に問題の墓がある農道を通るらしく、結構な話題になってました。

 まぁ、結果として通ったんですが。

 その墓は鬱蒼とした雑木林の中に確かにありました。

 実際、暗くて何かあるなぁっていう程度でしたけど。

 それで終わっておけば良かったんですよね。


 劇の鑑賞が終わった後、現地解散になったんです。

 えぇ…そうです、1人で見に行ったんですよ。

 日が沈みかけてた頃ですかね、雑木林のとこに向かったんです。

 真相を暴いてやるって、意気込んでました。

 『キタロウ』の墓が見えてきた時、誰かが雑木林に入って行くのが見えました。

 近くの電柱に隠れて、その人が出てくるのを待ってましたんです。

 しばらくすると出てきました。

 70代くらいのお婆で白髪の中に黒髪がちらちらあるのが特徴的でした。

 お婆が向こうに行くのを確認して中に入りました。

 雑木林の中は、まぁ暗かったですね。

 そして、コンクリートでできた墓がある。

 いや…祠って言った方がいいかなぁ。

 なんか、祀ってあるようでした。

 墓の広間に入ると一歩一歩進むたびにクシャ、クシャって音が鳴るんです。

 不思議に思って足元を見ると、ハブが脱皮した後の皮が散乱していました。

 縁起がいいって言うけど、あそこまでいくと気持ち悪いですよ、アレ。

 まぁ…話を戻して。

 墓にはお供え物を置く台があったんですけど、更に奥に襖みたいな格子の扉がありました。

 格子の間から中を覗いたんです。

 最初何も見えなくて、甘い匂いが漂ってました。

 目が暗闇に慣れてくると見えたんです。


――赤い盃にハブの頭が縦に敷き詰められていたんですよ。


 甘い匂いっていうのは泡盛でした。

 盃の中にたっぷりと。

 気持ち悪いとかを通り過ぎてますよね、これ。

 走って逃げました。


 その晩のことでした。

 やけに蒸し暑い夜だったのを覚えています。

 帰ってから、墓の事は頭から離れませんでした。

 夜9時になり、寝室に行きました。

 扉を開けた瞬間、違和感を感じました。

 いつもは開いていない窓が開いてたんですね。

 夏になると、蚊とか虫とか入ってくるんで閉めてあるはずでした。

 で、窓を閉めた後、歯磨きするのを忘れてたのを思い出して歯磨きしに寝室を出たんです。

 5分後ぐらいに戻ろうと扉を開けると、背筋が凍りつきました。


 クローゼットの下に『何か』いる。

 2つの目のような光がこっちを見てました。

 人間のような目の位置でしたが、それはまさしく蛇の目でした。

 何とか体を動かして扉を閉めると、親を呼んで寝室に行きました。

 すると、なにもいませんでした。


 3年ぐらいして沖縄から引っ越しましたが、現在まで不可解な現象は起きていません。

 あれは一体何だったのか、『キタロウ』とは何なのか、今でもその正体は分かりません。


 俺が見たお婆は10年前に死んでたそうです。


――どうでした、俺の怖い話。

――どこ情報なのか、って?

――それはもちろん


――俺の体験談ですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ