15時11分。
8/9
「んんん~~~」
椅子に座ったまま、背を逸らして、伸びをする。
学年末試験なんて言っても、受験戦争を乗り越えたあたしにかかれば大したことは無い。
理科も英語も数学も、なんぼのもんじゃい、なんでもこい。
歴史と社会はちょっと苦手。
国語は聞くな。
作者が伝えたかったことなんて知りません。
好きに読ませろ。
感想は受け取った読者のものだ。
ヴヴッ―――
スマホが鳴った。
15:11。充電中。
メッセージ有。
ハナ…?
”振られた!でもスッキリした!それとゴメン!抜け駆けしたのあたし!でも振られたんだから許して!それと香菜も、ちゃんと気持ちを伝えなね!以上!またね!!”
手が震えてる。
「なんで?」
笑えないよ。
なんで嘘、ついたの?
付き合うの?
嬉しいんだ?
寒い日の日向が好き
がんばる
「知らない……もう…」
楽しいのか悲しいのか怒ってるのか喜んでるのか。
自分の気持ちが、みえない。
コンコン―――
と、ノックする音が響く。
「香菜~?平気~?」
ママの声。
「―――っ、ふぅ…!なぁに?」
気付かれたくない。
「ママ買い物行ってくるから、お留守番よろしくね」
こんな汚い気持ち。
「わかったぁ」
ぐっちゃぐちゃに、こんがらがった気持ち。
「いってきまーす」
だから、遠く聞こえるママの声に―――
「いってらっしゃーい!」
―――精一杯声を張って返した。
ガッチャン―――、ガッコン―――。
玄関扉の重たい音、それから鍵が掛かる音がした。
「すぅ―――」
大きく吸って静かに吐き出す。
「よし!サイン、コサイン、タンジェント!やるぞ~!」
とりあえず一番頭を使いそうな数学から。
一番、対策必要無い科目だけど。
試験勉強を再開した。
――― ――― ―――
ヴヴッ―――
なんか鳴った。
知らない。
「144、169、196、225、256」
――― ――― ―――
ヴヴッ―――
「Naナトリウム電荷+、Cu銅電荷++、H水素電荷+」
――― ――― ―――
ヴヴッ―――
「もう煩いなぁ!」
”何度もごめん倉科”
「岡村くん!?」




