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4/9

7時55分。

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三歩分遅れて教室に入る。


廊下側の前から二番目にもう鞄を置いている彼を横目に、あたしは真ん中の列の一番後ろの席に向かう。


「おはよー」


「おはよー香菜」


途中、凛におはようを言いながら。


なんかニヤニヤしながら返してきて、そのまま抱き着きながら付いて来る。


「どうしたの?」


ひそひそ声で言って来る。


「どうもしてない」


自分でも不機嫌そうだなって思う声が出る。


「一緒に来てるじゃん」


「たまたま。そこの信号で一緒になっただけ」


言って席に座った。


時計は7時55分を指している。


「え?偶然?凄くない?」


声がデカい。


「声おっきいって…!」


「ごめんごめん。で、どうしたの?」


「だから、どうもしてない。普通に話して来ただけ。靴箱まで」


「えぇ…!凄いじゃん…!スゴくない…!?」


小声でも騒げる凛の方が凄い。


ちらっと見てみる。


教科書を机に入れてる。


「ちょっと来て」


教室の後ろからトイレに向かった。




――― ――― ―――




「先に入れられてた」


「え?チョコ?」


「うん。普通に嬉しいって。直ぐ鞄にしまってた」


「香菜は?」


「渡せないよ。あんなタイミングで」


「そっか……」


「それで、嬉しい?告られたら?ってちょっと……しつこくしちゃって……嫌われたかも……」


「えぇ、嘘、泣かないで、大丈夫だよ香菜ぁ」


泣いてなんかない。


ただ不安で、目が熱いだけ。


鼻声なのは……寒いから。


「大丈夫、大丈夫。昼……放課後とか、ちょっと時間空けてさ」


「うん」


でも、凛がいる。


「いっそ直で渡しちゃいなよ。三限終わり、部活ないでしょ?」


「うん」


抱きしめて、頭を撫でてくれる凛がいる。




――― ――― ―――




鼻をすする。


通りが良くない。


小学校から持たされてるティッシュでかんだ。


「これ、あげる」


もちろんティッシュじゃない。


忘れずに持って出た、凛の分。


市販の40円のヤツ。


「普通トイレで渡す?」


呆れ笑いを浮かべた凛の顔。


「あ……ごめん」


「いいけどさ」


「ほんと、ごめん」


「いいって。もう、ほんと香菜だなぁ」


そう言って、また私を抱きしめる凛。


「ごめんね」


「しつこいぞ~」


「うん」


でも、香菜だなぁって、なに?

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