第四話 裏切り
「焦らずゆっくり試練を攻略していこう」
「はい」
翌日も試練の攻略。今回は体力が上がる試練に挑戦する。題名は丁寧に説明してくれる仕事。試練を始めると中年の男性が仕事を教えてくれる。かなり丁寧な説明だ。聞いている限り簡単そうだな、しかし話が長い。ようやく終わり作業を開始、意外と難しく失敗して最初から。まあ何度かやれば攻略できる難易度か、そう考え試練を再開すると男性の長い説明から。もちろん話をスキップできない。なるほど、精神を削りに来ている! こうして次々と試練を攻略していった。
「おいカレサ、ちょっと来い」
見張りの兵が急にカレサさんを呼び出す。何の用だろうと思って見ていると嘲笑しながら足を上げ、カレサさんの額に足の裏を押し付けた。
「ははっ、騎士団長ともあろう方が落ちぶれたものだな。俺なんかに遊ばれちゃあよっ、と」
最後に蹴り飛ばし笑いながら戻っていった。なんというやつ、妬み嫉妬からなぶるとは。人間の風上にも置けない、ああはなりたくないな。しばらくして兵士が新入りを連れてきた。
「牢屋で大人しくしていろ」
俺と同じようにこの街に迷い込んでしまった旅人のようだ。呼び出しがかかり超越戦士になってまた牢屋へ。カレサさんが同じように超越戦士のことを彼に教える。そして翌日の朝、朝食後。
「他が空いた、移動するぞ」
昨日連れてきた旅人を連れていく兵士。確かにここは足をのばして寝れないくらいの混み具合。減ってくれるのは助かる。兵が見えなくなるとカレサさんが仲間を集めて話し合いを始める。
「そろそろいいか?」
「準備する時間も必要だからな、始めるとするか」
何やら真剣な面持ちで会話を交わす彼ら。話が終わると各自散り散りになりカレサさんは俺のところへ。
「重大な知らせがある。今日の深夜、王子の救出作戦を決行する。助けた後我々も牢屋から脱出しそのまま第二王子を追い詰める」
おおっと、これは朗報。しばらくは牢屋生活だと思っていたが俺も脱出できそうなのか。うれしい反面成功するかどうか心配なところもある。
「計画は順調に進んでいる。見張りは我々の仲間なんだ。王の救出と同時に牢を開放する手はずになっている」
ちなみにさきほどの旅人はスパイだったとか。昨日呼び出して足蹴にしていたのは演技で、こっそりと手紙を渡し、旅人のふりをしてはいってくることを知らせたのだとか。そんな事情があったのか、心の中で怒り狂ってごめんなさい!
「混乱に乗じて逃げるといい。ある程度鍛えておけば脱出できる確率も上がるだろう。仲間達は中央を走る街道を真っすぐ突撃してくる、そこは避けるように。もし出会ってしまっても戦う意思を見せなかれば問題はないはず。国内のいざこざに巻き込んでしまって悪かったな、無事を祈っているよ」
「救出作戦、頑張ってください」
「ありがとう」
昼までできるだけ鍛えるとしよう、強くなるほどに生存確率が上がるからな、ここは気合を入れて強化しておこうか。昼食後は仮眠して準備することに。夕方、晩御飯が運ばれてくる。いつも通りではあるが見えない緊張感が伝わってくる。カレサさんの仲間数人の顔色が悪い、王子を助けるという電撃作戦だ、緊張するのも無理はない、失敗の許されない作戦だからな。食器を戻してしばらく経ちいよいよ作戦決行の時間。見張りの兵が大きな袋を引きずりながら運び込んでくる。
「お待たせしました。皆さんの武器を持ってきました。今開けますね」
沸き立つ牢の中。見張りが鍵を取り出し牢を開けようとしたその時。
「なっ、開かない!?」
鍵を変えいくつか試すが開かない扉、見張りが焦っていると何者かがこちらに走ってくる足音が聞こえた。
「はーっはっは、すり替えておいた偽のカギだ、開かねえよ、残念だったな!」
見張りの兵蹴り飛ばし鍵を奪い取り笑いながら投げて捨てる。見張りは起き上がり戦いを仕掛ける。この際武器の入った袋にぶつかり中身がぶちまけられた。善戦するも敵兵士の力が上、見張りは地に伏してしまう。まるで知っていたかのような物言い、この状況はまさか情報が漏れていた?
「ご苦労さん、あんたたちの報告のおかげでこちらが優勢に事を運べそうだ」
先ほど顔色が悪かった人たちに話しかける兵士。そうか、彼らは密告者だったのか。
「お前たちっ!」
「‥‥すまない、家族が人質に取られてしまって」
「くそっ、どこまでも卑劣な!」
「更に混乱に乗じて第一王子にも死んでもらう。強引に王位を奪ったから流石に殺すわけにはいかなかったが、自らが起こした戦いに巻き込まれてしまい死んでしまったことにしてしまえば国民共も諦めがつくだろう。くくく、あの人は悪知恵だけはよく働くな!」
肩を怒りで揺らし牢屋の床を拳で殴りつけるカレサさん。まずいな、このままいくと第一王子は死に俺はそのまま牢屋の中。カレサさんたちの処遇もどうなることやら。そして国は腐り、他国にも悪影響を振りまき、俺みたいに捕らえられて最悪処刑される人が出てきてしまうか。




