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赤いサメの唄  作者: 変汁
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お昼の休憩時間に、一旦、家に戻ると主人と一緒に昼食を取った。主人は職人時代と同じでお昼を食べた後は、決まって昼寝をする。


そんな主人のイビキを横で聞きながら、私はネットでマリカの口コミを探した。


当然、否定的な事は書かれてあると思っていたのだけれど、私が見た限り、そのような事を書いている人は見当たらなかった。


よっぽど当たるんだなぁと思い、私は今週末の休みを使って占いの館に行ってみようと思った。


勿論、占って欲しいのは3人の子供の事だ。

特に長男と次女の2人の事が気がかりで、理由は2人が将来の夢を教えてくれないからだ。


夢の内容も知らずに、叶うかどうかなんてさすがにマリカでもわからないのではないかと思うけれど、これだけ評判が良いのだから、マリカであれば2人の夢が叶うかどうかくらいならわかる気がした。例え2人の夢を私が知らないとしても、マリカに聞かない手はないと思った。


週末、私は主人に、娘2人の様子を見てくると言って寮を出た。勿論、占いが早く終わる事が出来ればそうするつもりではあった。



けど、恵子ちゃんやゆかりちゃんの話しだと中々待ち時間が長いらしくて、最悪、娘達の事は諦めなければならないかも知れない。


久しぶりにしっかりとメイクをし、おばさんでも恥ずかしくない風なオシャレをして主人が見送る中、10時過ぎに寮を出た。


夕方、占いの館に着いた時、まだ15人程の客が自分の番が来るのを待っていた。


私は最後尾に並んで順番を待った。

しばらくするとイスラム教徒の人のような格好をした女性が看板を持って現れた。


本日は終了致しましたと書かれた看板をみて、どうやら、今日の占いは私が最後らしいという事がわかった。


その女性が看板を置くと、私に占い時間を尋ねて来た。聞かれた私は30分と答えた。


夜、8時半過ぎに私の番が回って来た。

薄暗い階段をアシスタントの女性と手を繋ぎながら上り、扉の前に立つ。マリカから声をかけられ、私は中へと入って行った。


レースのカーテンの向こうにマリカが座っていた。私は1つだけ置かれた椅子を勧められ腰を下ろす。ここからではわからないけど、噂ではマリカは盲人らしかった。


それが又、占いの真実味を高めているのは間違い無さそうだ。


「2人のお子様の事ですね?」


私が座るなり、マリカはタロットカードのようなものを自身の前にあるテーブルへ配りながらそう言った。


最初にアシスタントの女性が占って欲しい事柄を尋ねたから、家族の事と私は言ったが、人数までは話していなかった。


それをいきなり当てられたものだから、私は驚きを隠せなかった。余りに衝撃的過ぎた。


その動揺を隠しきれないまま私は言った。


「はい。長男と次女の事です」


「安心してください。お母様が思っている以上に目的意識が高いお子様達です」


「2人ともですか?」


「はい。2人ともです」


「なら、、、」


「長女さんですね。彼女は2人以上に心配なさらなくとも大丈夫でしょう。ただ…」


「ただ、、?」


「足の怪我には注意された方が良さそうですね」


「足の怪我、ですか?」


「そうですね」


「例えば、どんな事でしょう?」


「そこまでは、私にもわかりかねます。分かればお教えして差し上げるのですが…」


「あ、いえ、すいません」


「お子様の事は、今の所、必要以上にご心配なさる事はありません。それよりも私は貴女の事が少しばかり気がかりです」


「私が、、ですか?」


「ええ」


「お願いした占いの内容とは変わって来ますが、伺っても良いのでしょうか」


「構いません。私が何故、最初にあのような事を尋ねるかと申しますと、お客様が求めている事以上に、大切な、本人には気づけていない他の事に、私が気づいてしまうのです。上手く伝えられませんが、人はある事だけに気持ちが向いていたり夢中になっている時にケアレスミスをしがちではありませんか?」


「はい。確かにそういう事はありがちだと思います」


「私の占いもそれと同じで、最初に占って欲しい事柄を聞くのは、知りたい事で胸が一杯な時に生じるであろうケアレスミスを、見つける為とも言えます。本当に大事な事は本人には気付き難いものですから」


私は頷いた。チープな例えで申し訳ないけれど、

お風呂を沸かし始めたのに、たまたま見始めたTVに夢中になって、お風呂を沸かしている事を忘れてしまう、みたいな事だろうか。


「そうですね。ですから私はそのケアレスミスを見つけお伝えする事こそが、ご本人が望む占いよりもより重要だと考えています」


その言葉で私はマリカは立派な方だなと私は思った。


「つまり、マリカさんは私のケアレスミスを見つけられた、という事でしょうか?」


「簡単に言えばそういう事になります。こんな風に言うと、お客様は私の事を気持ち悪いとお思いになられるでしょうが」


私は顔の前で手を振って、マリカの言葉を否定した。


「そんな風に言った後に何ですが私は世間一般で言われるような霊能者ではありません。ただの占い師です」


確かにマリカは霊能者と呼ばれても良いような事を言い当てた。アシスタントが私の事をリサーチしているとは到底考えられないし、となればマリカはマリカの中にある特殊な力で読み取った、という事の他はないのだろう。


「最近、特に目の方が芳しくないのではありませんか?」


確かに、あの寮で働き始めてから、やたらと瞼が重かったりはしている。視力も下降しているようで、新しく眼鏡を買い替えなくてはいけないと感じている所ではあった。もしくは老眼が顔を出し始めたのかと、視力検査を受けたいと思っていた所ではあった。


「眼鏡の心配はいりません。今お使いになられているもので大丈夫でしょう。ただ、眼鏡をかけていない時は、ひょっとして余計な物が見えてしまうかも知れない。ですが、それは無視して構いません。眼鏡さえつけていればそれも治ります。大丈夫ですので」

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