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歯車の人:1

 夜に街を出歩く者はほとんどいない。

 いくら街を囲む結界の門を魔法使いたちが守っていても、すべての死霊を締め出せるわけではないのだ。

「時計台通り……劇場……確かこの辺」

 そんな物騒なライカンズデルの夜の通りを魔法のカンテラ片手にアレクトは歩く。隣にはゲール、画材やらキャンバスやらの荷物を持たされている。片腕で人形を抱いたアレクトは自動人形(オートマタ)の護衛を伴っているというのもあってか彼女の足取りに不安はない。

「ここだわ」

 死霊除けの青いカンテラをともした建物をアレクトは指した。

「ここか、そういえば以前オペラを見に来たな」

 呟くゲールをよそに、アレクトは裏口の前で固まった。

「……なにしてる」

 アレクトは深呼吸をしている。

「スーーっハーーー…………心の準備」

 そしてやっとの思いで呼び鈴を引いた。


「アレクトか」

「うっひゃあ!」

 ベルが鳴るより早く扉が開いた。

 裏口の玄関にはグレンが立っている。

「やーアレクト来てくれたのか!もう来ないかと思ってたよ」

 グレンの背後からルイスが顔をのぞかせる。

「……こんばんは」

 アレクトはグレンを避けるように玄関を通った。

「ゲールも居るな、協力感謝する」

 グレンはゲールへ頭を下げた。

「……グレン、アレクトと話すなら良い機会ですよ」

 突き進むアレクトを見つつ、ゲールはグレンに耳打ちした。


「来てくれたってことは、自動人形(オートマタ)を作る手伝いをしてくれるってことでいいんだね?」

「……それは後程お願いします」

 ゲールから受け取った絵の包みをアレクトは大事に下ろした。

「これをルイスさんに見ていただきたいんです」

 包みをほどき、近くに立ててあったキャンバスにかける。

 覆いがはがされ、アレクトの描いた時計台の絵が露になった。

 そこにはライカンズデルの時計台、赤の煉瓦造りの建物を見事に描写した絵があった。

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