かっこつけて「3分間待ってやる」と言ったら、目の前でカップ麺作り始められたんだが。
魔が差してしまった。誘拐に手を出してしまった。
何かムカついて悪いことしたかったからJKを連れ去って、倉庫に連れてきちまったよ......
よくよく調べてみたら、大会社の社長の娘だっていう話で、今は、人質ということにして、誰か1人だけで来い、ということにしておいた。
「おやおや、ここかな? 悪い子ちゃんがいるところは」
誰かが一人で倉庫に来た。
ナイフを持ち、JKを黙らせる。
「すいませーん。私は探偵でーす。ちょっとその子離したげてくださーい」
助けに来てくれた奴、ノリかるっ。
「おい、お前。今から選択肢をやる。この人質を殺されるか、10億持ってくるか選べ!」
ここまで来たら勢いだ。悪役のイメージ通りのことをしてやる。そうだ。あの名台詞を言ってやろう。
「3分間待ってやる」
「はいはーい」
探偵は何かを取り出した。
さらに魔法瓶を取り出し、何かにお湯を注ぎはじめる。
カップ麺だ。
な、なんだと。堂々とカップ麺を作っている。
けれど、威張るように言った手前、どうにもできない。
何味なんだ?
どうにもできないと分かったら、純粋にカップ麺に興味がわいてきた。暗い倉庫では文字が読みにくい。
よーく目を凝らすと青いパッケージ。シーフード味だ。
いいよな。シーフード。スープが白くて、ポークベースに魚介がしっかりきいてて、イカが入ってて最高なんだよな。
そんなことを考えていると3分が経った。
よし。
「ごめんなさい。僕が間違えてました。第三の選択肢、そのカップ麺で大丈夫です」
俺はその後捕まった。
しかし、悔いはない。だって、カップ麺シーフード味、美味しかったから。
カップ麺、最高。