第7話 魔法剣士
「じゃああの的にファイアを撃ってみてくれ。」
「は、はい!」
ファイアを撃てと言われたマナだったがバークウルフと戦ったときにはファイアを使っていない。しかし、その時頭の中で声が聞こえた時にファイアの術式も脳内に入っていた。
「よーし。ファイア(Lv0)!!」
マナの掌に作り上げられた魔法陣から炎の塊が放射され的を粉々に破壊した。
「え?!」
リイとリイの父親は目を丸くして粉々に砕かれた的を凝視する。
「な、何?今の・・・・」
「・・・・ま、魔法って凄い威力が出るんだね。」
「凄い威力が出るんだね、じゃないよ!」
マナの呟きにリイは少し怒り気味に反論する。
「・・・・リイでも的を吹き飛ばして変形させるのが精一杯だ。この的はかなり頑丈だからな。」
「私でも幼い頃から魔法を練習し続けてようやくあの的を吹き飛ばしたのになんでいきなり的を粉々にできるの?・・・・やっぱり初めてじゃないでしょ。」
「いや、本当に魔法なんて今の今まで使ったことないよ?」
「ふむ。どうやらマナは魔力の保有量が人より多いらしい。しかし初めての魔法でこれだけの威力が出せるとは・・・・」
「保有量が人より高いってこれはそんなレベルじゃないでしょ!毎日魔法の練習をしていないと出せない領域だよ!」
「確かにな・・・・」
リイの父親はリイの言葉を軽く流すとマナの方に振り向く。
「さて。マナ、王立魔法学校に通う気はないか?」
「王立魔法学校?」
「ちょっと!それって私が進学するはずの学校でしょ?!なんでマナに?!」
リイの父親はマナにとある提案を持ちかけ、リイはそれに疑問を持った。それに対してリイの父親は答える。
「いや、彼女はまだ転生したばかりで今後のことなんて考える余裕はなかっただろ?こっちから何か案を出した方が良いかと思ったし、彼女の魔力量なら合格も可能だろうしリイと同じ学校の方が彼女も安心するだろう?」
「むぅ〜。確かにそうだけど。」
リイの父親は再びマナの方へ振り向く。
「さあ、どうしたい?」
「はい!私、リイさんと同じ学校に行きたく存じます。」
「むぅ〜。何それ。」
「いや、一人でこの世界を生き抜けって言われたら・・・・それは無理・・・・だし?」
「何それ〜」
漫才のような二人のやり取りを遮ってリイの父親は話を進める。
「さて、魔法学校に進学と言ってもスタイルが三つくらいあって、魔法を放つ砲弾魔術士、剣に魔法を付与させて戦う魔法剣士、ほぼ魔法を使わずに剣で戦う剣士がある。マナはどれがいい?」
「うーん。・・・・あの狼を倒したときに物干し竿に魔法かけたから魔法剣士かな。」
「よし、じゃあ今日から魔法学校合格に向けて鍛錬だ!」
「よろしくお願いします!」
こうしてマナの鍛錬の日々が始まった。