第4話 狼の強襲
「狼?!うわっ・・・・」
不幸にも狼と目が合ってしまったマナは狼に襲いかかられる。何とか狼を早期発見することの出来ていたマナは咄嗟に体をくねらせて回避する。
「あれは、まさかバークウルフ?!普段はもっと山の上の方にいるはずなのに」
「え?!ちょっ!どうすんのこれ!うわあ!!」
マナは襲い掛かってくる狼をギリギリで回避し続ける。しかし、生身の人間であるマナの相手は狼型の魔物である。回避し続けるという行動にも限界が来てしまう。
マナは木々に囲まれた上に逃げ道を大岩で塞がれてしまっているところに追い込まれてしまった。
「えっ!行き止まり?!嘘だろ・・・・」
「グルルルル」
「あの・・・・お願いなんで食べないで・・・・ください」
「ガアアア!!」
「うわあ!」
追い込まれ、なす術の無くなったマナはバークウルフ相手に命乞いをする。しかし、相手は狼型の魔物。そんな言葉が通じるはずもなく、狼はマナに襲い掛かってくる。
「ウインド(Lv0)!!」
「・・・・!!」
マナが襲われる直前、リイの放った風魔法によってバークウルフは吹き飛ばされる。
「マナ、大丈夫?!」
「う、うん。なんとか・・・・」
「離れてて。」
「グルルル」
リイの風魔法によってバークウルフは標的をリイへと定める。
「これで終わらせるよ・・・・ファイア(Lv0)!!」
ドーン!!
リイの放った炎魔法がバークウルフへと命中する。前方が煙に包まれ狼が見えなくなる。
「す、すげぇ・・・・」
「・・・・!!」
しばらくすると煙が晴れる。するとそこには傷一つつけていないバークウルフがいた。
「そんな・・・・効かなかったの?!・・・・くっ!」
リイはファイア(Lv0)を連発して放つがバークウルフは怯むことなく距離を詰めてくる。先程マナを救ったリイだったが今度は自分がピンチになってしまう。
「キャー!!」
「ま、まずい・・・・!!」
バークウルフに追い詰められるリイを見てマナは自分が死ぬ前のことを思い出す。テロリストに自分と友人二人が襲われ、最終的に自分が撃たれて死んでしまった。
(似てる・・・・。あの時と状況が)
転生前と違い、リイとは今日会ったばかりで幼馴染などではないが、先程マナはリイに助けられている。自分の命を助けてくれたリイがこのまま喰われてしまうのをただ指を加えて見るだけと言うのはマナには耐えられなかった。
辺りを見渡すと今は使われていなさそうな小屋を見つける。そこには物干し竿が落ちていた。
「・・・・これを使って・・・・」
マナは物干し竿を拾うと、バークウルフに向かって突っ込んでいく。
「たあっ!」
リイを襲おうとしていたバークウルフの横から突っ込んだマナは物干し竿の先端でバークウルフの体の側面を突く。
物干し竿で突かれたバークウルフは横へと倒れ込んだ。
「・・・・マナ!」
「こっちに来やがれ!狼野郎!」
そう叫んだマナは森の奥へと走っていく。
「ガルルルル」
起き上がったバークウルフはマナの方へと走っていった。
「マナ、ちょっと待って!マナ!!」