第3話 山菜採り、出会う脅威
リイから服を借りたマナは鏡を見る。そこには先程リイから借りた服を着た少女が立っているのが映っていた。
「・・・・本当に女になってしまったのか俺は・・・・」
慣れない服を着ているマナが服をパタパタとさせていると、リイの部屋にリイの母親が入ってきた。
「リイ、ちょっと山菜を買ってきてくれない?」
「山菜?それならそこの山で取ってくるよ。あそこの山菜美味しいから。マナも一緒に行こ。」
「え?」
マナはリイに連れられて一緒に山菜を取りに行くこととなった。
「うう。急に山に登ることになって疲れるよ〜。」
リイに連れられたマナは既に足が棒のようになっており、息を切らしていた。
「でもこの山に生えてる山菜は美味しいんだよ。それまでの辛抱。」
「う〜・・・・」
リイに言われて無理やり足を動かすマナ。
しばらく歩くと、道が柵で塞がれている。
「・・・・道が塞がれてるぞ?」
「ここは魔物が出てくることがあるから人里に下りないように柵で塞いでいるんだよ。」
「え?魔物?!よく分からないけど危険な獣がいるのか・・・・」
リイは柵に向かって歩き出す。柵の扉を開けようとするが、何かが突っかかって開かないようだ。
「ん?ドアに何かが引っかかってる?」
「何が引っかかってるんだ?」
「・・・・小さい木の板みたい」
「俺が引っ張って抜くよ。」
マナは柵の扉の木の板を引っこ抜こうとして一歩前に出るが、それをリイが制止する。
「やめたほうがいいよ。板に釘が刺さってて下手に引き抜こうとすると手を怪我しちゃうかも。」
「じゃあどうやって通る?」
「任せて。」
マナが質問すると、リイは手を木の板へとかざす。
「少し火力は抑えめにして・・・・。ファイア(Lv-1)。」
リイが叫ぶと掌から魔法陣が表れ、そこから発射された火が、木の板に火をつける。
「え?何今の?!」
「柵は鉄製だから木の板に火を付ければ灰になって扉が開くはずだよ。」
「いや、そうじゃなくて・・・・さっき掌から出てたあれは・・・・」
「え?もしかして魔法も知らないの?!魔法のことを知らないとなると、魔法を普段使用しない異国の地から転生してきた、もしくは魔法が存在することのない異世界からの転生か・・・・」
「あ、異世界からの転生で間違いはなさそうです。はい。」
「・・・・とりあえず柵の扉も開きそうだから行こうか。」
「うん。そうしよう。・・・・熱っ!」
炎で熱された扉で無事(?)手を火傷したマナはフーフーと息を吹きかけながら前に進む。
「グルルルル」
「うん?今何か言った?」
「私じゃないよ?」
「グルルルル」
グルルと音が聞こえ、その方向に視界を傾ける。
「あ、あれは・・・・」
そこには二人を睨みつける大きな狼がいた。