第2話 転生、そして改名
真っ暗な意識の中、ふと声が聞こえる。
「・・・・あなたになら、頼める。この世界に降り立って。」
(なんだ?誰かの声が・・・・)
誰が発した声なのか、よく分からないままふと視界が明るくなる。
「うっ、眩しい!」
しばらくは急に明るいところに出たせいで真っ白な空間しか目に映らなかったが、段々と目が明るさに慣れていき周りを見渡せるようになった。
「ここは・・・・」
そこはさっきまで涼がいたショッピングモールとは違う、木々がまばらに生えており、草原が広がっている。
「え?あなた今何もないところから出てきたけど大丈夫?」
「え?」
突如声をかけられ、涼は慌てて振り向く。そこには女の子が心配そうに俺を見つめていた。
「あはは、ここがどこか分からないこと以外は大丈夫かな・・・・。って今俺服着てないじゃん。うわあ、完全に変態だよこれじゃあ。」
今現在の涼は一糸纏わぬ姿となっており、外でこの格好となっていては辺りの人間にたくさん見られてしまう。目を覚したばかりで調子が悪いのか上手く声が出せないような気がする。
「本当に大丈夫?女の子なんだからちゃんと服を着ないと。」
「え?女の子?一体何を言って・・・・」
涼は女の子の発言を否定しながら自分の又を見つめる。するとそこにはあったはずの物が・・・・。
「な、な・・・・なんじゃこりゃー!!」
──カクカクシカジカ──
「・・・・つまりあなたは何者かに殺されている記憶が最後に残ってて、目が覚めたら女の子の体になってここにいたと。」
「うん。本でTSものを読んだことはあったけどまさか自分がその立場になるとは・・・・」
「つまり転生者?死んだ人が希に特別な力によって生き返ることがあるとは聞いたことがあるけどまさか自分の前に現れるなんて・・・・」
女の子は戸惑いながらも少し興奮しているようで、何かをブツブツと言っている。
「よし、とりあえずその格好のままだと色々良くないから一旦家に行こっか。私はリイ。あなたは?」
「えっと、真名日 涼・・・・です。」
急に名前を聞かれた涼は戸惑いながらも自分の名を答える。
「えっと、マナ・・・・ビ・・・・。マナ・・・・だね。よろしくね。」
「マ、マナ?!」
真名日 涼という名がこの世界(?)に合わなかったのか涼はマナと名付けられてしまった。
そして反論する余地も精神力も無いまま、マナはリイに連れられてしまった。
そしてリイに連れられたマナはとある家に辿り着く。
「ただいま、お父さん。」
「おかえり、リイ。ん?その子は?」
「そこの草原で転生したばかりみたいで、服とか家とかも無いと思うからここに泊まらせてあげたいんだけど。」
「そうか、いいぞ。君、名前は何て言うんだい?」
「あ、えっとマナ・・・・(?)です。」
「そうか。今日からよろしくな、マナ。」
「それじゃ、私の部屋に行こう。」
マナはリイの部屋へと連れて行かれる。
「えーっと、マナの体に合いそうな服は・・・・ショーツはこれで、ブラは・・・・いらなそうだからタンクトップ着させて、上着は私のこれを。」
「うっ。女の子の体になったから婦人服を着ないといけないのか・・・・」
「まあ、最初は慣れないかもしれないけど頑張って。はい。」
リイに服を手渡されたマナは渋々着替えることとなった。