第16話 合格発表
「・・・・人形がほとんど倒された。過去にはこんなことは無かったのに。現れたというのか。新たな魔法剣士となりし者が。」
「よし!これだけ数が減ればあのレーザー光も回避しやすい!」
驚く校長をよそに、マナは残りの人形を倒すために駆け出す。
「ウインド(Lv0)!スラッシュ(Lv0)!たあああ!!」
マナは二つの魔法を発動させると、この力を剣に宿す。そして斬撃能力を得た風の力で残りの人形たちを残さず切り裂いた。
「・・・・っ!」
そして遂には全ての人形が倒され、残骸が地面に転がっていた。
「・・・・あの?試験は終わりですか?」
動揺し固まっている校長にマナは話しかける。
「あ、ああ。これにて!マナ受験者の試験を終了とする!これから他の者たちの受験を開始するので各自準備するように!」
試験を終えたマナのもとにリイがやって来る。
「あ、リイ。どうやら俺の試験はこれで終わりみたい。」
「みたいね。・・・・にしてもズルくない?同じ日に同じ学校を受けるのにそっちは先に合格なんて。」
「いや、俺に言われても困るんだけどなぁ・・・・。えっと、先に行って待ってるね。」
「当たり前よ。私が落ちるわけは無いんだから!」
「・・・・うん!」
リイは会話を終えると、試験会場へと向かって行く。
その時、校長がマナの元へと歩いて来た。
「マナ、何故君はあの時に魔法を放つといった判断ができた?」
「え?!」
いきなりそのような質問をされたマナは焦る。まさかこの期に及んで不正を疑われているのではないかと不安になる。
「魔法剣士の存在が公で無くなったときからこの学校では魔法剣士希望の者にはこの試験を受けさせている。過去のこの試験では受験者は剣に魔法を付与することばかりを考えてあの人形を倒せていない。お前は何故魔法を撃つ判断ができた。」
「えっと、結構咄嗟に思いついたかんじですけど、リイのお父さんに魔法剣士は剣と魔法を両立し状況に合わせて様々な対応をするって教わってたから咄嗟に判断できたんだと思います。」
「・・・・そうか。会ってみたいものだ。その人に。」
校長はそう言い残すと試験場へと立ち去って行った。
「・・・・えっと。不正は疑われて無かったんだよね?大丈夫だよね。」
そして全ての受験者が試験を終え、校舎の壁に合格者の一覧が貼られる。
「その日のうちに合格者が決まるなんて凄いよな〜。・・・・ちゃんと俺の名前があるか確認しなければ・・・・」
「・・・・なんでマナがそんなに慌てて確認してるのよ。あの試験で受かったようなものだったじゃない。」
「いや、さっき校長先生に話しかけられたから不正でも疑われたんじゃないかと心配になって。」
「あの状況で不正できる奴なんかいないわよ。・・・・さて、私の名前も無事確認できたし、合格者にはその日から寮が貸し出されるから今日はもう休みましょうか。・・・・私とマナは同じ部屋みたいね。」
「だね。よろしくねリイさん。」
「・・・・なんでさん付けなのよ。」
「いや、この場だとまだまだ俺の方が立場弱いかもって。」
二人は笑いながら寮の部屋へと向かったのだった。