第15話 魔法剣士としての資質
「なら見せてみろ。お前のその魔法剣士としての戦いぶりを!!」
そう言うと校長は指をパチンと鳴らす。すると、大体人の身長の半分くらいの高さの人形たちが浮き出てきた。
「これがお前の試験の内容だ。そこに出てきた人形たちを相手に戦ってもらう。全滅させることができれば合格だ。」
「・・・・実戦形式?!」
この人形には戦闘機能がついているらしく、マナの入学試験はこの人形たちが行うらしい。
ただ、一つ気がかりなのは、マナだけが唯一別の試験を受けていることである。それに加えて他の受験者たちはグラウンドの周りでマナの試験を傍観すると言う、明らかに異常な状況にマナは立たされていた。
(どう言う事だろ?他の受験者が俺の試験を見ているなんてそんなことあるのか?)
「それでは試験、始め!!」
多くの受験者が周りを取り囲む中、グラウンドの真ん中でマナの入学試験の開始が宣告され、人形たちが動き出す。
一方、異常性を感じたのはマナだけではなく、リイの方もこの異常性を感じ取り、校長の方へ駆け寄る。
「校長先生、一体これはなんですか?募集要項の予定にはこんなものは無かったと思いますが。」
「君はマナ受験者の友人かな?何故彼女だけこの試験が受けさせられているのか。」
「・・・・はい。」
「まず現在この学校の募集要項には魔法剣士を記載していない。昔はあったがね。だが時折、親の話を聞いてか魔法剣士を志し、この学校の受験を希望するものが現れるのだ。そう言った者たちに受けさせているのだ。この試験を、他の受験者たちの前でな。」
「そんな?!」
「ちなみにこの試験は生半可な知識の魔法剣士を志す者を落とすように作られている。過去にこの試験を通った者はいない。果たして彼女は合格できるかな?」
「マナ・・・・」
「な、なんだこの人形たちは?」
人形たちはマナに近づき、近距離攻撃を促してくるような動きをするが、マナが剣で攻撃をしようとするタイミングで後ろに後退しレーザーのような攻撃を放ってくる。
既に何発かマナに当たっており、そこまで火力がある訳ではないが、命中したところが出血するくらいの威力は持ち合わせていた。
「下手に動くとまたあのレーザー攻撃を受けてしまう。・・・・よく見るんだ、あの人形の動きを。リイのお父さんが教えてくれた通りに。」
「あの人形は・・・・空中を自由に動き回って遠距離攻撃を仕掛けるなんて・・・・。これじゃあ魔法剣なんて当たる訳が無いじゃない!」
リイは試験の理不尽さを訴えかけるがそれに校長は反論する。
「・・・・魔法剣士は何も魔法剣だけを使う戦い方はしない。剣に魔法を付与することなど通常の剣士にも教えるべきことだ。この試験は魔法剣士の本質が分かっていればそこまで難しい試験では無い。彼女がそれを理解しているかどうか。」
マナはレーザーを避けながら相手の動きを観察していた。
「・・・・分かった。あの人形たちは一定の数空中に残しながら複数体俺の元へ接近してくる。そしてその人形たちが集まる場所は大体決まっている。・・・・そこだ!」
マナは人形たちの動きの規則性を見つけると、手に持っていた剣を逆手持ちする。そして剣の持ち手の部分を人形に向ける。
「・・・・剣を逆手持ちした?!一体何を・・・・」
「ファイアバレット(Lv0)!!」
そして魔法陣を生成すると、そこから火の弾丸のような魔法を人形たちに向かって放つ。人形が一か所に集まる場所を把握したマナがその地点に放った魔法は人形たちを八割方破壊した。
これには校長も驚きを隠せずに動揺を見せる。
「・・・・馬鹿な。」