第13話 VSゴースト
前回までの簡単なあらすじ。王立魔法学校の入学試験を受けるために村を出たマナとリイは馬車に乗って移動する。その時に近道するために森に入るが、そこで森が急変、辺りにゴーストが出没してしまった。
マナはゴーストを見つめながら、ゆっくりと腰に帯刀している剣を抜く。
「キキキキ!」
ゴーストたちは甲高くも不気味な鳴き声を上げながらこちらへと接近をしてくる。
「・・・・すぅ、はあ・・・・。落ち着け、俺。今まで教えてもらったことを思い出せ。それを守っていれば勝てるはずだ!いくぞ!スラッシュ(Lv0)!!」
マナは主魔法陣を形成し、スラッシュ(Lv0)を発動し、剣の斬撃を強化させる。それを思いっきりゴーストに向けて振りぬいた。
「おりゃあ!!・・・・ん?」
振り抜いた剣は全く手応えがなく、まるで虚無に向かって剣を振り回したようだった。最初は切れ味が凄すぎてゴーストをいとも簡単に切り裂いてしまったのかと思ったが、ゴーストは全く傷を負っていない状態でマナの目前にまで迫ってきた。
「キキキ!(ゴーストアタックLv0)」
「ぶがあ!!」
マナの目前に迫ったゴーストは主魔法陣を形成すると魔法を発動させ、思いっきりマナの顔面を攻撃した。幸い、他の魔物の魔法に比べて攻撃力は高くなく、精々顔面を思い切りビンタされたようなダメージですんだ。しかし、痛いものは痛いのでマナは倒れ、地面を転がりまわる。
「があああ!痛ってええ!」
「マナ、大丈夫?この世界では肉体が損傷しすぎると最悪死んでしまうよ?気をつけて。」
「痛たたた。リイ、多分それはどの世界でも同じだと思うよ。」
「あ、そう?」
この会話分だけ見ると、リイは天然でマナに突っ込まれているように見えるが、どちらかというとリイは少し小馬鹿にしているような口調で言っている。まあ、俺とリイも気のおけない仲になってきたのかな?とマナは思うことにした。
「それで、どうやってこのゴーストたちを倒す?こいつら攻撃が当たらない!」
「私もさっきファイアLv0を試したんだけどゴーストには当たらなかった。多分だけどこのゴーストたちには物理的攻撃は当たらない。」
「・・・・この世界に物理的って単語が出てくるとは思わなかったよ。」
「それで思い出したの。昔、本で読んだことがある。この森の名前はデスフォレスト。森を歩いていると稀に入り込んでしまう死の森みたい。そしてこの森には現れるの、この森で死んでいった人の死霊、ゴーストが。」
「それで、どうやって倒す?!」
「お父さんに貰った魔法の本に除霊の魔法が書いてあったからそれを使う。いくよ。ホーリー(Lv0)」
「ぐぎゃあ!!」
リイが発動したホーリーは、ゴーストたちの体をフェードアウトしていくように消滅させた。
「凄い。その魔法、効果範囲も広いみたいだ。」
「うん。後はもう一度馬車に乗り込んで常にこれを発動させておけばこの森から出られる!」
「よし、それじゃあ馬車に乗り込もう。その魔法、疲れたら変わるよ。」
「え?私は憑かれるほど弱くないよ!」
「いや、そうじゃなくて・・・・」
「冗談冗談。それじゃあ馬主さん、馬車を走らせて。」
「は、はい!」
それからマナとリイはホーリーの魔法を交互に発動させながら馬主に馬車を走らせた。何時間か経過した頃、森の出口が明るくなり、そして森を抜けた。
「やった!ようやく森を抜けれた。お日様もいい感じに照ってるなあ。」
「・・・・待って!私たちは何時間も森にいたのだから夜になっていてもおかしくないはず。なんで日が照ってるの?」
「日にちが変わった?いや、そんなに時間は経ってない。まさかあの森にいる間は時間が経過しないのか?」
マナの疑問を言葉にすると馬主さんが喋りだした。
「ああ。普通にあの森を走っていたらそれぐらいの時間だからその説があっているんじゃないかな。さて、ハプニングがあったけどもう王立魔法学校に着くよ。」
「いよいよか。リイ、頑張ろうな。」
「フフ。当たり前よ。絶対に落ちないんだから」
希望と不安を胸に。いざ、入学試験!