第10話 魔法陣
「それじゃあまず魔法陣がどういうものかを説明しないといけないな。マナは魔法陣はどういうものだと思っている?」
「うーん。魔法を使うために出現させる・・・・何か?」
「凄く抽象的だな・・・・。それじゃあ魔法は何から生み出されている?」
「えーっと。人の体にある魔力?」
「そうだ。魔法は人の体で巡っている魔力から生み出される。だが魔力はそのままでは魔法としての力を発揮できない。」
「どういう事ですか?」
マナは首をかしげる。魔力が魔法を生み出しているのにそれが魔法を生み出せないとはどういうことなのだろう。
と、疑問を持ったところでリイの父親が話を続ける。
「そこでさっきの魔法陣が何かという問いに繋がってくる。魔法陣とはつまり魔力に魔法という力を与えるために組むものなんだ。」
「魔力に魔法という力を与える?」
「そうだなぁ・・・・、魔力にどういった力を発動させるか指定する命令文という言い方もできるかもしれない。」
その話を聞いたときにマナは自分のいた世界のコンピューターを思い出す。コンピューターもソフトウェアを入れていない状態だと動かないが、ソフトウェアを入れると起動する。
「つまり魔法を扱う一連の流れは魔力を魔法陣の形に組む→その魔法陣に魔力を込める→魔法陣に刻まれた形に魔法が発動される。こうなるな。」
「な、なるほど。こういう原理になっていたんですね。それじゃあ副魔法陣はどうなっているんですか?」
「うむ。今からその話をしようと思っていた。副魔法陣はさっき話した"主魔法陣"とは少し仕組みが異なる。副魔法陣が魔法のレベルを増減させるものだとは話したな?」
「はい。」
「副魔法陣は主魔法陣に送り込まれた魔力に直接干渉する。加算魔法陣の場合、干渉した魔力は威力が強化される。」
「魔法が強くなるんですか?」
「そう言えば聞こえは良いかもしれないが強化された魔力は制御が効きにくくなる。魔力が荒ぶっている状態と言うのが正確かな。」
「制御が効きにくく・・・・」
どうやら加算魔法陣で強化された魔力は荒ぶっている状態らしく、通常よりも制御が効かないらしい。
「魔物たちもこの加算魔法陣で魔法を強化する術を身に着けている。ただ、野生化では当たり前に使われているものも、人類の文明では好き勝手に使われてしまうと困る場合もある。全員が戦闘をするとも限らないしな。」
「制御が聞きにくいものを町中で勝手に使われてしまったら被害が出る可能性があるってことか。」
「そうだ。だからこそ『加算魔法陣使用認定証』という資格を取った者のみ使用することが出来るようになっている。」
「ちなみに減算魔法陣のほうは資格無しで使えるよ。威力を落とすための魔法陣だからね。」
「な、なるほど。」
「だからまずはレベル0の魔法から極めて学校への入学を目指すぞ。」
「はい!」
「おーっ!!」
リイの父親に言われた二人は気合を入れ直し、鍛錬に打ち込んだ。
そしていよいよ、入学試験のときが迫ろうとしていた。