第1話 真名日 涼の死
「真名日君!!」
「に、逃げろ・・・・」
俺は今、窮地に立たされていた。何故こんなことになったのか。時は一時間前ほどに遡る。
俺の名前は真名日 涼。今日は友人の坂本 聡と結城 美菜と一緒にショッピングモールに来ていた。
ひとまずは昼食の流れになり、俺たちはハンバーガーショップへと辿り着く。
「ひえ〜。ハンバーガーショップ久々に来たけどやっぱりそこそこの値段するなあ。俺、普通にハンバーガーでいいかも・・・・」
「なんだ涼、折角俺たちとショッピングモールに来ているのに昼食ケチってハンバーガーか?午後も続くんだからしっかりと食べてないと持たないぞ。そうだな、俺はド根性バーガーでも注文するかな。」
「私は流星スイートバーガーかな。勿論ポテトは人数分食べるよ。」
「みんな結構食べるんだなあ。俺も明鏡止水バーガーでも注文するかあ。」
何を頼むかが決まり、注文するために財布を取り出そうとしたその時。
ドカーン!
大きな物音がショッピングモールの入り口から鳴り響いた。
「な、なんだ?!」
「キャー!」
「ウワー!」
「ヴギャー!!」
モール内にいた人々が、慌てふためき逃げ惑う。涼たちは慌てて音のした方に駆け寄る。そこには黒い服を着た人たちが大勢おり、手には何か黒い物を抱えている気がする。
「なんだ、あの黒いのは」
そんなことを呟いた矢先、
ズババババ
モール内に銃声が響き渡った。
「キャッ!何?!」
「この音は銃声か?」
俺はこのままではマズイと思い、二人に声をかける。
「聡、美奈!このままだと俺たちの命も危ない!急いでここから避難を・・・・」
二人に避難の催促をする涼だったが、言い終わる前に黒い服の男が来てしまう。
「動くな!」
「なっ!」
男は三人に近寄るとそのまま銃口を向ける。
「あ・・・・い、命だけは・・・・命だけは助けて・・・・」
美奈の声と体は震えており絞り出すように命乞いをする。
「安心しろ。大人しく言うことを聞いていれば命は保証してやる。」
「も、目的は何なんですか、あなた達は一体・・・・」
俺はビビリながらも黒服の男に質問をする。
「そうだな。俺たちは名も無きテロリストだ。日本を支配するため、まずはこのショッピングモールから支配してやる。さあ、来い。」
「い、イヤ・・・・」
黒い服の男は聡と美菜の方へと向かう。俺の方への警戒は薄いようだが、このままではまず二人が捕まり、最終的に三人もろとも捕まってしまう。なんとかそれを阻止したいと思った俺の横にはカラーコーンが置いてあった。
(これだ!)
俺はそのカラーコーンを掴むと、思い切り男に向かって殴りつけた。
「ぐわっ!」
「今だ!聡、美奈!逃げるぞ!」
俺たちは無我夢中で走り出す。しかし、精々カラーコーンで出せる威力は敵を少し怯ませられる程度であり、男は持っていた銃を発泡してくる。
「みんな、弾に当たらないように気をつけ・・・・」
二人に注意をしようとした矢先、自分自身が銃弾に当たってしまう。
「ま、真名日君!」
「に、逃げろ・・・・」
俺は二人が無事に生き延びられることを祈りながら深い暗闇に意識を落としていった。