第11話 美少女耐性ある男になりたい
ソフィア王女がミアの城に来て一週間が経った。
いまやすっかりソフィアもこの城に慣れ、城の中に大量にあった本を読んでみたり、
俺やミアとチェスを嗜んだりしていた。
可愛い美少女二人と同じ屋根の下暮らす、という状況は男であれば垂涎ものであろう。
しかし、片方のソフィアはまだまだ13歳。中身はかなりしっかりしており、もうじき14歳らしいが
それでも自分からすれば幼い。
つまり、はっきり言って恋愛対象になる事はなかったりする。
どちらかと言えば、妹とかそっちの関係に近い。王女を妹と思うとか、中々とんでもない事を言ってる
気がするが。
問題はもう片方、魔王ミアである。
正直言って、自分の好みに剛速球ストライクな見た目に、逆プロポーズされた事も相まって
実はここにいる間、ずっと彼女の事を意識しっぱなしであった。
一度は友達からよろしく、と言ったにもかかわらずである。
料理も上手いし、ここに一人でいた頃はどうしたって彼女一人でなんでもしなければならなかったので
洗濯も掃除も魔法を応用して出来る、と女子力も高い。本当に高い。
まぁつまり、完璧な嫁候補すぎるのである。
「どうしたのだ? そんな小難しい顔をして。眉間にしわがよっておるぞ。ほれ」
と、そんな事を物凄く真剣な表情で考えているといつの間にか目の前にミアがやってきて
俺の眉間を触っていた。うりゃ、うりゃ、と可愛い声をあげながらしわを伸ばしている。
「なんでこんな可愛いんだよ……(あぁ、ありがとう)」
感謝を口にすると、何故かミアは「な、な、な……」と衝撃を受けたような、少し恥ずかしそうな顔で
こちらを見つめてきた。なんだろうか、お礼を言っただけなのだが。
「か、可愛いなどと、父上と母上にしか、言われた事が無いぞ……!
お主は我の心を乱すのが本当に得意なのだな……」
しまった、心の中の声が完全に駄々洩れだった!
まぁ、別に嘘じゃないからいいんだよ、いいんだけどね!!
どこかお互い恥ずかしく、気まずくなってしまった。
数秒の沈黙のあと、ミアは俺が座っているソファの隣に座ってきた。
それだけで、心臓が高鳴ってしまう自分が少し情けない。
近くにいると余計意識してしまう。さらさらの白髪も、形のいい耳も、長いまつ毛も、
ミアのパーツ一つ一つが芸術品のようで、綺麗だと、それだけしか思えなかった。
「我を見てどうしたというのだ? 別にお主にならいくら見られても良いが」
「じゃあ遠慮なく。……じゃなくて、少し考えてた事があって」
最近、あまりミアと二人になる事は少なかったのでこの際だ、と前々から考えていた事を言ってみる。
ちなみにソフィアはお昼寝中である。
「ミアとデートがしてみたい」
「お主、自分に正直すぎるのだ! 嬉しいが! 嬉しいのだがな!?」
ミアは怒っているような、喜んでいるような複雑な表情をしていた。
やっぱりデートは早すぎたか?
「そもそも、でーとと言うのはな! 外に出なければならないのだ!
我は外に出るのが怖いし、お主もこんな状況で外に出たら消されてしまうかもしれないのだぞ!
無論、お主とでーとはしたい。ものすごくしてみたいが!
と、というか、でーとって恋仲にある男女がするものではないのか……? 我とお主は……」
「いや、別に恋仲じゃなくても男女が出かければ実質デートだよ。だから大丈夫。
それに、そろそろミアと俺も次のステップに進むべきだと思うんだよ」
ミアは指をつんつんさせながら、困惑した顔でこちらを見てくる。
うん、確かに適当な事言ってる感じが否めない。
でも、タイミングはわりと適当かもしれないが内容は適当ではない。
この世界の、この城しか見れずに一生を終えるなんて寂しすぎる。
もし外が危険だとしても、その時は俺とミアで力を合わせれば早々負けないんじゃないか、と思う。
「そ、ソフィアはどうするのだ。一人で放っておくわけにもいかないだろう」
「まぁ、それはそうなんだよな。だから、デートしたいって願望を言っただけ」
「そ、そうか」
ほっとしたような、それでいてどこか残念そうな顔を浮かべるミア。
言うだけ言って、がっかりさせてしまったのはとても申し訳ない。
いや、「デート」したいなら別に外じゃなくてもいいんだよな。
世の中には「おうちデート」というこれまた素晴らしい文化があったはずだ。
正直自分は全く経験がないけども、やってはみたいものだ。
「ミア、そこで、だ。おうちデートしてみない? 」
「お、おうちでーと? なんだそれは? 」
俺はおうちデートの事を一つ一つ説明した。
自分の知識が正しいかなんて全然わからないが、とにかくミアと一緒になにかをしてみたい。
そういう一心で、説明をした。話をするうちに、ミアの顔はだんだんと輝き、青い瞳がキラキラとしてきた。
「楽しそう! 楽しそうだぞユイ! 早速実行するのだ!! 」
そんなこんなで、ソフィアがぐっすりと眠っている間に二人で「おうちデート」を
遂行する事となったのである。




