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その矢は何処へと飛んで行く  作者: 矢雨弓太
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その矢は何処へと飛んでいく

人は前に進まなければならない、誰かが言った

ならばこれは俺がマイナスから1へと進んでいく物語だ



手に構えた5.56x45mm NATO弾を使用するアサルトライフルのフラッシュライトが廃ビルを切り裂く、目的の会議室を見つけドアの前に立った

後ろにいるハイエナに指で指示しドアにブリーチングチャージをセットし突撃の合図を仰ぐ、左目の電脳仮接続ゴーグルから特殊電脳を経由したキングのチャージと言うメッセージと共にゴーグルから脳波コントロールでブリーチングチャージを起動、吹き飛んだドアにハイエナがフラッシュバンを投擲したの同時にハイエナの後ろにいた機械の頭が突撃し右手に持つ攻撃魔法用の短杖を持ち闇属性の魔法で暗闇のカーテンを貼る

カーテン越しに内部にいた4人を的確に処理し、野外用の軍用PCを確保した

「こちらアンセム。コード43確保、これよりデータ転送作業に移る」

手首の端末からコードを伸ばしPCに接続、ハッキングウイルスを感染させそのままデータを奪う。端末からSDカードを取り出しそれを機械頭に渡してその会議室を後にする

「このままA4地区に移ってホテルに向かう、道中の接敵は避けよう。状況再開」

ハイエナを先頭に会議室の窓を破りグラップルフックを固定しラぺリングで降りていく、ビルの外は風が強く体が大きく揺れる、コートから一枚の呪符を取り出し弐式呪術を発動し風を相殺することで何とか地上についた

「前方敵警備班接近!装甲車1台、歩兵3名!」

「了解、スモークを使う路地に退避せよ!」

左手の小型ランチャーでスモークグレネードを投擲し路地裏に退避、手榴弾をダクトテープで固定し即席のブービートラップで時間稼ぎを図る、俺たちは北東に前進し目的地のホテルへと到着した

『こちらA6!ホテル前にて敵と交戦中、至急応援求む!』

共通無線に入ってきた防衛部隊の隊員の情報は本当らしく中規模な銃撃戦が見えた、双眼鏡でホテル内に設置されたオートランチャータレットに爆破の指示を送り敵歩兵隊の背後から奇襲する

「こちらアンセム、A6の救援に来た。挟み撃ちでたたく固定重機関砲を使え!」

『!!救援感謝する、貴官の指示に従おう!』

「総員、壁に退避!決して味方は撃つな!」

ゴーグルを使いタレットへ投擲の指示を送り出す、爆炎と重機関砲のドラムロールは一種のパーティーの様に感じられた、ぐるぐると目まぐるしく躍動する戦火は肌を焦がしていく


「助かった、貴官らはどちらから?」

「F45地区から物資の補給任務でここに来た、中に入っても?」

「小官は構わないが規則ですので隊員証でのサインインを願いたい」

カーキのタクティカルベストと迷彩の戦闘服に身を包んだ現地オペレーターに手首の端末から自分のデータを送る、向こうのゴーグルに転送された俺達の班の任務を確認すると敬礼し道を開けた

「失礼いたしました、戦術家殿!」

「…ああ、それでは我らはこれで」

班の隊員を連れホテルの敷地内へと入っていくと迫撃砲や戦車に戦闘ヘリ、ルーン文字の刻まれた投石機が並びその間を他の隊員達が行きかいオリーブドラブの弾薬箱や予備の直剣などを運んでいる

俺たちはホテルのエントランスに入り目的の25階にエレベーターで上がりスイートルームに入った、青い髪をなびかせロックのバーボンを煽る青年に敬礼し先程までの戦闘とPCの内容を報告した

「ん~お疲れさん、つぎの作戦まで休んでいいよ~」

「ありがとうございます、では失礼します」

班員に解散の趣旨を伝えて俺に配備された一室に入った、調度品と呼べるものは無く少し広いビジネスホテルぐらいの感覚だが一応は高級ホテルのスイートルームだ、シーツは少しほつれているがシルクには変わりなくスルスルと触り心地がよく横になった途端に意識が飛んだ




WAG、ワールドアークガーディアン。言ってしまえば世界を渡り科学技術から魔法技術までを模倣し自分の世界の発展と他の世界との協力関係を結ぶ組織だ

そんな組織で俺、矢雨弓太はギリギリの戦闘成績で入隊した。最初は医療大隊や兵器開発部に回されると考えていたがまさか対人戦闘を主とした特殊部隊のプレイカードに回されるとは思わなかった

過去の人物の武器がアークと言う奇妙な物質にて再臨しこれまた身体能力の増加と特殊な能力が付与された物を武装と言うのだがこれはその人の考えや精神、心情などで発現するため俺は発現できていない

武装もない、魔法も作られた呪物に魔力を流すだけで使える呪術だけ、どれだけ鍛えても筋肉がつかないためあまり重い物は持てない、そんなハンデだらけの俺はどうしてこんな特殊部隊に?


_____の、地点に目的のコード52...ディイケド種の翼竜の卵があるとの情報です。」

起き抜けに先程のスイートルームから移動しブリーフィングルームとして利用している古びたバーで俺は新たな作戦概要を説明していた

「じゃあ、質問だ。今回の首謀者は誰だと思う?」

隊長のセレスは意地の悪い笑みを浮かべ紫煙を吐いた、手にしたタバコはここまで匂いが届き脳みそが少しさえる

「新たなホモ・ディメンション…多世界テログループと考えられます。大方ディイケド種を操りこの世界での功績を他の世界の侵略に使うのでしょう」

俺は手にしたタブレット端末から壁に映し出されるプロジェクターを操作しつぎの作戦区域及び予定ルートを説明する

「我々はまずヘリで前線基地に移動しそのまま装甲車を使い目的地の下水処理場に向かいます、ディイケド種は汚物や水が主な栄養になるので卵にそれがかかれば孵化を速めます、ダットさんと僕はメインコンソールをハッキングし下水ポンプを停止し監視カメラからアークの位置を割り出し武装発現者の隊長とヴォルトさん、その援護としてハイフさんお願いします又敵の武装発現者は即刻捕獲をお願いします」

「ふーん、わかった作戦予定時間は共通時間ヒトサンマルマルの物資輸送任務と共に開始しよう。」

隊長はニヒルな笑みを浮かべ指を鳴らす、俺たちの場所から段階を踏んで部屋全体につくと様々な武器が姿を現した

「好きなの持ってていいよー」

軍用のボックスに並べられた小火器、重火器から剣や槍と言った近接武器に加え魔法系のアイテムの並ぶさまは美術館の様な美しさがあった

俺はその中から34口径のSMGと9mピストル、それぞれにサイトを搭載し呪術との相性がよく指向性の高い短剣と予備の手斧を装備しスタングレネードを選んでいると一つの武器が目に映った

黒のガンメタリックに無骨さを演じさせ持ち手をテーピングされたコンパウンドボウを俺は手に取った、妖精の加護はついてなくただの弓に過ぎないが俺にはそれが神器や聖剣と言ったモノにしか見えずすぐさまボルトを締め弦を調節し矢筒を背負い15本の矢を入れ首元を伝う汗をぬぐった

「もうすぐ時間だ…生きて殺して奪って…」

俺は自分の目標を呟き高まる鼓動を必死に抑える、死地に赴くのは一度だけじゃない



「できるのか?」

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