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こんなに無防備で大丈夫か。
「…おはよう、グリーン」
彼は窓辺であくびをもらしながら伸びをしている。
昨夜は、客間だという部屋に泊めてもらった。
異世界に来てからというもの、いたれりつくせりで少々戸惑っている。
きゅるる。
腹の虫が鳴った。そういえば、昨夜から何も食べていなかった。
ナリーがよく眠れるようにと、はちみつ入りのホットミルクを作ってくれた。
しんみりした気分でいると控えめに扉がノックされる。
「あたしだよ。爺さんも帰ってきたしご飯にするからね。
猫も連れてくるんだよ!」
そういうと足音が遠ざかった。
リビングまで降りていくとジャックと目があった。
「おはようさん。よお眠れたかい?」
僕たちに笑顔を向けるとグリーンが答えるように
みゃーおと泣いて、ジャックの足に頭を擦り付けた。
「そうかそうか。ナリーが美味い朝飯を食わせると張り切っていたぞ」
グリーンを撫でてからノエルに悪戯っぽく笑いかける。
テーブルには焼き立てのバターロール、ふわふわのスクランブルエッグに
たっぷりの野菜が入ったスープに腸詰めを炭火でパリッと焼いたもの。
トマトケチャップみたいなものがかかっていた。
グリーンには細かく刻んだそれらが冷まして用意されていた。
異世界の食事事情は大体、ヨーロッパ風であるんだと関心したところで
食前の祈りを捧げて食べ始める。
スクランブルエッグからとろけたチーズが出てきて、トマトの酸味と合って
とても美味しい。スープはじっくり煮込んだ鶏ガラの味がする。
腸詰めを漬けて食べると絶品だ。
朝食に舌鼓を打ったあと、食後のお茶を飲んでいるとジャックが
「頃合いかの」
と言って話を始めた。グリーンはゆっくりと食事を続けている。