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初小説になります。がんばります。
僕は思わず抱きしめていつものように頬ずりをした。
この褐色の猫、名前を瞳の色からグリーンと名付けた。
こいつはこの行為を凄く嫌がる。
しかし、今回ばかりは空気を読んでくれたらしい。
よくできた猫である。
ぞんぶんに撫で回して生きていることを確認すると、
グリーンの瞳の色が変わっていることに気がついた。
「グリーン、その目はどうしたの?」
すると律儀に水溜りに確認をしにいく。
「にゃ、なるほど。さっき聞いたのはこれかにゃあ?」
聞いた?自分とグリーンの声以外は聞こえなかったが…
「ノエルが落ち着いたら話すにゃ。傷は治ったけど疲れてるだろ?」
言われてみれば痛みだけではなく、体にあった痣も消えていた。
重苦しかった体が軽く感じる。
服を捲って確認していると、視界に人の姿がはいった。
思わずグリーンを抱き上げたが、グリーンが僕の腕をぽんぽんと叩き
「だいじょうぶ」
と一言呟いた。
人影は二人、髪が白くなった老夫婦である。
お婆さんの方は気が強そうな感じがして背筋が伸びた。
「おまえさんたち、こんなところで何をしてるんかね」
お爺さんがにこやかに、しかし不安そうな表情で尋ねる。
返答に困っていると、
「わしはジャック。妻はナリー。夫婦で農家をやっている。
悪しきは入れないこの地に来たのは聖女の意思であろう。
この地にはお前さんを害すものも、お前さんが害せるものもおらんのだよ。」
ゆっくりと語りかけると「とりあえず名前を聞かねば」とカラっと笑った。
日に焼けた肌と深く刻まれた皺が好ましく感じた。
「す、すみません。ノエルといいます。歳は12歳で…
ここはどこですか?」
ジャックは妻と顔を見合わせた。
本日は5話まで続きます。