9話 藤野 玄人、クエストしました。⑤
戦闘シーンです。ゆっくりと、想像しながら読んでください。
〜藤野 玄人視点〜
俺は何匹かゴブリンを倒し、レベルも5に上がった。
それから、少し歩いていると、
「おっ」「あっ」「あら」
2人と会った。
「お前ら、何体倒した?ちなみに俺は十三体だな!」
と、ジャック。
「私は十二体よ!」
え、ヤバくないか?
「お、俺は九体だ…」
「じゃあ、俺が一位だな!」
「罰ゲームは何にするの?」
罰ゲームあるの?
「そーだな…てか、どーすんだ?ちょっと暗くなってきてるし…動くのは危なくねえか?」
「ほんとだな…野宿か?」
俺が提案すると、
「いいわね、面白そう!」
「よし、じゃあそれで決定だな!」
ということで、野宿することになった。
「じゃあまず、安全を確保しないとだな!」
「どうするんだ?」
何も持ってきてないし。
「私に任せて!…神よ、神。加護もって命とせよ。聖魔法『サイン・メイテ』」
キャルロットが唱えると、周りに壁が展開された。
「すっげー!」
「キャルロットはこんな魔法を使えるのか。すごいな」
「このペンダントのおかげなのよ!中に入っていれば、回復効果もあるわよ!」
「じゃ、次は飯だ!狩りに行くぞ!」
「なあ、気になってたんだけどさ、モンスターって倒すと粒になって消えるだろ?なんで、店とかで料理が出せるんだ?」
「ああ、それは、スキルの効果だよ。《狩猟》っつースキルがあって、それを使ってとどめをさすと、消えずに残るんだ」
なるほど。
「で、そのスキルは持ってるのか?」
「「…………」」
「……終わったな」
野宿なのにご飯なしか。辛いな。
「だ、大丈夫よ!少しだけど、保存食があるから!」
「な、ナイスだキャル!」
そこで俺は、思い出した。屋敷でもらったフルーツを、《冷蔵庫》にいれていたのを。
「今思い出したんだが、フルーツあるぞ。スキル《冷蔵庫》ほら」
俺は2人にフルーツを渡す。
「でかしたっ、玄人!」
俺たちは、夜ご飯を済ませた。
「それじゃあ、次は寝る場所か?」
「いや…それは無理だな」
「どうした?」
「…恐らく、ゴブリンの群れに囲まれてる」
「それってまずくないか?」
「戦闘準備だ。こっちが気づいたことを気付かれないように、全員同時でスキルを使うぞ」
「わかったわ」
「それじゃあ行くぞ。3…2…1…」
「スキル《レフォースα》」「スキル《レフォース》」「スキル《冷蔵庫》」
「「グギャッ!」」
多くのゴブリンの鳴き声が聞こえた。聞こえたまでは、よかったのだ。その直後の鳴き声が、問題だった。
「「「グルオォォォォ!!」」」
「ま、まずい!3種のジェネラル・ゴブリンだ!」
その瞬間、俺たちを囲っていたゴブリンたちが飛び出してきた。そして、そのゴブリン達にジェネラル・ゴブリンが魔法を使った。
「…終わったな…」
ジャックが絶望した声で告げる。
「どういうことだよ!」
「ファイアゴブリンに火魔法を、アイスゴブリンに水魔法を使うと、比べ物にならないくらい強くなるのよ」
「そ、そんな…スキル《情報視認α》!」
俺は試しに何体かのゴブリンを見てみる。
『ファイアゴブリン Lv8
アイスゴブリン Lv10
ノーマルゴブリン Lv6』
そして。
『ファイアゴブリン・ジェネラル Lv28
アイスゴブリン・ジェネラル Lv28
ノーマルゴブリン・ジェネラル Lv28』
「ほんとだな…終わった」
「だな。逃げることも出来ない」
でも、と俺は続ける。
「ここままやられたくはないだろ?」
2人に問いかける。
「…だな。やってやろうじゃねえか」
「まだ競争は終わってないわよね?」
2人とも、心強すぎだろ。俺は多分《好奇心》で保ってるだけなのに。
「じゃあお前ら、後のことは考えずに魔力使っちまおうぜ、全力だ!」
「ああ!」「ええ!」
「スキル《レフォースα》《レフォースα》《レフォースα》…どーだ?四重掛けだぜ?」
「神よ、神。我らの四肢に加護を、加護を。加護もって、天に送る力を。聖魔法『サイン・レスメル・エイメリット』。どうかしら?即興改変魔法よ?すごいでしょっ!」
キャルロットが唱えると、俺たちの体が強く光る。
「来い、精霊槍」
準備は整った。
「行くぞ、お前らっ!」
〜ジャック=ラティリー視点〜
やっべえよなあ、これ。俺の目の前にいるゴブリン、みんなLv15はあるぜ?
「ま、倒しゃあっいいかっ!剛硬せよっ、剛硬せよっ!硬化魔法『ガーラ』!行くぞ!」
俺は走り出す。やっぱ、四重掛けは速えな。
「俺流、八連撃っ!」
8回とも別のゴブリンに当てる…が。
「グルオォ!」
アイスゴブリン・ジェネラルに氷の壁を作られ、攻撃を防がれる。
「ちっくしょ…ぐっ!」
その間にも、他のゴブリンが攻撃してくる。
「なら…俺流、カウンター」
短剣で攻撃してきたゴブリンをいなし、腹を斬る。そして、そこから別のゴブリンの攻撃に繋げる。
「瞬撃!」
カウンターの勢いを持ったまま、繰り出す。
「「ギャッ」」
並んでいた二体は粒になって消えていった。
だが、他のゴブリンは気にする様子も無く、三体で突っ込んできた。
「ちっ!」
ただ、無闇に突っ込んでくるのでは無く、上手く連携してくるのだ。正面からの攻撃を防ぐと、空いた右に攻撃してくる。
「なら、俺も本気出しちゃうからな!」
俺は、背中から、もう一本の剣を取り出す。
これは、小さい時に親父に作ってもらったものだ。親父は、「初めてこんなに出来のいいもん作ったぜ!」と言っていた。
「魅せてやろうぜ、こいつらに。なあ?『レンク・エヴィ』」
俺は二本の剣を構える。そしてーー
「スキル《剣聖》」
俺は、ゴブリンの群れに突っ込んでいく。
問題は無え。《剣聖》は、剣技、動体視力が上昇して、情報の伝達が速くなる。ま、魔力はやべえぐらいに消費するけどな。
「「「ギャッ」」」
ゴブリン達は魔法を放ってくる。
俺は、それを全て一閃して、殲滅する。
「くっ」
めまいがする。魔力が…やべえな。
「俺流、八連撃、八連撃、八連撃」
二本の剣から八連撃が繰り出される。それが三回で、四十八連撃だ。
それだけ斬っても、まだ残っている。
「「ギャッ!」」
ゴブリンが、魔法を放ってくる。それは、何十発といったものだ。ヤバい。俺は剣を振る…だが。
「グハァッ」
半分以上喰らってしまった。
「ぐっそぉ…」
俺は剣を杖にして、なんとか立ち上がる。でも、もう剣を二本持つことはもうできない。俺はレンク・エヴィを残した。
「なあ…『レンク・エヴィ』。お前の力、貸してくれよ。お前には何ができる?」
俺の頭にこいつのできることが入ってくる。
「へへっ。お前、すげえな。んじゃ、頼むわ。スキル《魔力増強》…覚悟しろよ?クソゴブリンどもが」
「「ギャッ!グギャッ!」」
なにかを感じ取ったのか、散開し始めた。が、もう遅い。
「終わりだ。スキル《インフィ・エヴィ・ファザム》」
大きく一閃。その一瞬で、無限とも思える数の刃が生まれ、ゴブリン達を斬り裂いていく。そして、粒になって消えていった。
その直後、脳内に声が聞こえる。
『レベルが上がりました』
「これで、まだ戦えってか?じゃあねえな!」
〜キャルロット=シャルミリア視点〜
「じゃ、やってやりますか!」
「グギャッ!」
「スキル《バージ》《バージ》!」
すると、大きな穴が地面に出現する。この穴は三メートルほどの深さで、強化されたゴブリンでも脱出はできない。
でも、ここからどうしよう。私は魔力が多いわけじゃないから、肉弾戦になっちゃう。でも、ここに入れば即死だし…
一応、私の前のゴブリン達は大方このなかなのよね…そうだ。
「神よ、神。かの者に祝福を、幸福を。聖魔法『サイン・レキュープ』」
この魔法は、魔力を回復するものだ。これをゴブリン達に放ち続ける。すると、いずれ魔力が許容量を超え、爆発するのだ。
「一応聖魔法なのに…誰がこんな使い方考えたのかしら」
この技は学校で教わったものだ。私が考えたわけじゃない。
「うっ…」
めまいがする。魔力切れだ。でも、ゴブリン達が苦しんでいる。あと少しだ。
「「ギャァァァ」」
そして、爆発した。
「きゃっ」
だが、飛び散るのは肉ではなく、粒だ。なんら問題はない。
『レベルが上がりました』
「たしかに、こんなに倒したら上がるわね」
「ギャッ」
別のゴブリンが、私に向けて魔法を放ってきた。
「わ、わ」
私はなんとかそれを回避する。
「てえいっ!」
「ギャッ」
そして、そいつを倒す。
「グルオォォォォ!!」
次の相手は、ゴブリン・ジェネラルかしら?
「「ギャッ」」
「あ、ゴブリンなのね」
私は、さっきと同じ戦略を取ろうとする…が。
「あええ?」
上手く発音できない。誰の仕業なの?これじゃ、魔法が使えないじゃない…しょうがないわね。肉弾戦でいきましょう。
「「ギャッ」」
でも、魔法を打たれて接近できない…なら!
私は思い切って目を瞑る。わたしにはいま、『サイン・レスメル・エイメリット』がかかっている。それでも近づけないのは、やっぱり魔法に当たるのが怖いから。なら、見なければいいじゃない。
そう思って、目をつむったまま走る。
「んっ!」
魔法が当たる。痛い。でも走る。そして。
ここら辺かな?
ヒット、ヒット。当たったなら、もう近く。なら、目を開けれる。そして、目を開けるとーーそこにいたのは、メガネをかけたゴブリンだった。
「ちっ、お主速いな!」
「んっ!」
え、え。ゴブリンが喋った!?
「許さんぞ!我が同志を!なぜ殺すのだ!」
「あんあああおおうああお!」
「何言っとるか分からん!そうか、儂の魔法か!ざまあみろ!」
は?もう許さないから。
「ひっ」
わたしの怒気に触れたからか、喋るゴブリンは少し怯えた。
「…わかった。正々堂々やろうというのじゃな?いいじゃろう。はなせるようにしてやる」
「はっ…」
なんだか都合のいい勘違いをしてくれたみたいだ。
「いくぞ?スキル《火魔法:中級》」
ドゴォッ、と大きな音を立てて火球が向かってきた。
「きゃあっ!」
わたしはそれをなんとか避ける。
「…怒ったから。燃えよっ!火魔法『レーフ』!」
「ぬっ。土魔法『ラトマー』」
「む、無詠唱できるのね…」
「うっ…やっぱり腰に悪いのぉ。ほれ、一発で終わりにしようぞ。地獄の業火に吠え狂え。火魔法『フレイム』」
「ええ、そうね」
この攻撃を耐えて、速攻で一発叩き込む!
「神よ、神。障壁もって命を保ち、其を持って命とせよ。聖魔法『サイン・マーリブ』」
その魔法で、壁を精製する。そして、衝撃に備える。
……まずい。このままだと押し切られる!もう一枚造る?でも、魔力が…
そう考えていると、壁の向こうが見える。
終わった…そう思ったーーでも、終わりは来なかった。
「む、むう…儂の『フレイム』を『サイン・マーリブ』で相殺するとは…」
「チャンスッ!てえいっ!」
腹に蹴りを入れた。確かに入れた。でも、感触が無い。
「ふむ。やはり速いのお。じゃが、儂は霊じゃ。お主の攻撃は届かんぞ。それじゃあ死んでもらうとするかのお」
まずい。そして、その瞬間。
「ぐほっ!」
何が起きたのだろうか。ゴブリンが吹っ飛んでいった。
「え?え?」
「ぐふぅ…お主、『サイン・レスメル』を使っておったのか」
「あ、ええ…あっ、そっか。こっちは聖魔法で、あなたは霊だものね。じゃ、早く成仏しなさい」
「ぐ、わ、儂はまだあっ…」
そんなことを言いながら、喋るゴブリンは消えていった。
「これは…あとでギルドに報告ね」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回戦闘シーンだったのですが、どうだったでしょうか。後で自分で読み返して、描写が少なすぎるな、と思いました。ですが、どうすればいいか分からないので、アドバイスをくださると嬉しいです。