8話 藤野 玄人、クエストしました。④
〜ジャック=ラティリー視点〜
「いよっし、あいつらに負けねえように頑張るか!」
少し歩いていると…急にゴブリンが二体、目の前に現れた。
「おいおいまてよ、二体かよ…ま、倒しゃいいか。「スキル《情報視認》」
『ノーマルゴブリン Lv9
ノーマルゴブリンLv12』
お?なんだなんだ?この森にしちゃあレベルがちょい高えな!ま、気にするほどでもねえか。
「「グギャッ!」」
二体は、一直線に突っ込んできた。
「スキル《レフォースα》《レフォースα》」
ちょっと速えな。二重掛けしねえと。
「よっと」
俺は背中から剣を抜き、斜め前に軽くジャンプするーーそして。
「剛硬せよ、硬化魔法『ガーラ』」
俺は魔法で剣を硬化させる。
「ギャッ」「グギャッ」
どうやら、こいつらも《レフォース》を使ったみたいだ。そして、腰に付けていた短剣を抜いた。
あれで俺の攻撃に備えてるつもりかよ。
「俺流、二連撃」
着地直前に繰り出された、左手からの斬り上げ。その剣はいとも容易くゴブリンを斬り捨てる。そして、剣は頭上で右手に渡り、遠心力に任せたまま、もう一体のゴブリンに振り下ろされた。
二体は、鳴くこともなく粒になって消えていった。
「まー、こんなもんかなっ!さあ、次だ!」
二、三分ほど歩いて。今度は、アイスゴブリン、ファイアゴブリン、ノーマルゴブリンの三体組に出会った。
「ギャッ」「グギャッ」「グギャッギャッ」
俺の体には、まださっき掛けた《レフォース》が残っている。無駄に魔力を使わなくて済むぜ。
「俺流さ…っと、おいお前、人がカッコつけてる時に邪魔すんなよ!」
まったく、なんだよあのファイアゴブリンは。…よし決めた。あいつからだ。
「俺流、瞬撃」
刹那、一本の筋が飛んで行った。そして、その筋はファイアゴブリンの体を真っ二つにした。
「まだまだ、いくぜ?」
「「ギャ…」」
「俺流、二連撃」
ゴブリン二体は、何も出来ずに粒になって消えていった。
「手応えねえなあ…」
俺は進む方向を変えてみることにした。
〜キャルロット=シャルミリア視点〜
さてと。取り敢えず、《レフォース》ね。
「スキル《レフォース》」
さて、出てきてくれるかしら。あっ。なんか向こうにいるって私の直感が言ってるわ。
私はその方向へ進んでいく。すると、
「ギャッギャッ」
いた。あれは、ファイアゴブリンだ。
「とうっ!」
私はファイアゴブリンのお腹に蹴りを入れる。すると、ファイアゴブリンは真っ直ぐ飛んで行った。
「「ギャッ」」
二体の鳴き声が重なった。どうやら、茂みにもう一体いたようだ。
「よーし、やっちゃうぞー!」
「ギャッ!」
おこっちゃったわ。こっちに走ってくる。
「スキル、《バージ》!」
「グギャッ!?」「ギャッ」
二体は、突如足元に出現した穴の中に落ちていった。といっても、そこまで深いわけではない。せいぜい百八十センチほどだ。だけど、背の小さいゴブリンなら、これぐらいあれば無力化はできるだろう。
「「ギャッ!」」
「これでとどめ!燃えよっ!火魔法『レーフ』!」
私が唱えると、手から小さな火が放たれた。
その火はゴブリン達へと燃え移った。そこで、私は気づく。
「あ、こいつらファイアゴブリンだったわね」
ファイアゴブリンに火魔法を放つと、強くなってしまう。キャルロットはそれをしてしまった。
「…まずいわね」
「「ギャーッギャッ!」」
二体は一気に飛び上がり、私を襲ってきた。
「くっ、スキル《バージ》!」
でも、そのスキルは無意味だった。私のところまで着地せずにきたのだから。
「ああ、もうっ!」
私は一旦距離を取る。そしてーー
「神よ、神。加護もって命とせよ。聖魔法『サイン・メイテ』」
私は自分の周りに壁を作る。だが、少し遅かったようで、腕を火魔法で焼かれてしまう。
「っ…」
その火傷は、すぐに消えていった。
なんでかしら。前は回復効果なんてなかったのに。あ、このペンダントの効果ね。
回復魔法は、聖魔法の一部である。解呪魔法なども同様だ。おそらく、このミラレイグのペンダントは回復魔法を強化するのではなく、聖魔法を強化するものなのだろう。
私は、それを理解して別の魔法の詠唱を始める。
「神よ、神。我が四肢に加護を。聖魔法『サイン・レスメル』」
詠唱すると、私の手足が強く光る。
(やっぱり、前より強いわね…これなら一瞬かしら)
「てえいっ!」
目の前のゴブリンに正拳突きを繰り出す。すると、私の拳が腹を貫通する。
「あれぇ?」
こんなに強いんだ。
そして、そのゴブリンはそのまま、気持ち良さそうな顔をして、粒になっていった。
「ほっ!」
次に私は、もう一体のゴブリンに回し蹴りを喰らわせる。
「ギャァ…」
「んええ?」
やっぱり、ゴブリンは気持ち良さそうに粒なっていく。
「あー、そういうことか。これ、聖魔法だもんね。そりゃそうなるわね」
ただ、何故だか罪悪感があったので、神にお祈りすることにした。
「神よ、神。かの者達を理想郷へ送りますよう」
これでよし。
「さあ、今度は向こうに行ってみようかしら」
私は、方向を変えて、ゴブリンを探すことにした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
おかげさまで、目標にしていた500PV、達成できました。ありがとうございます。次は、2000PVとブックマーク5件を目指して頑張ります。応援よろしくです。