36話 藤野 玄人、ちょーっと、怒りました。①
さっきのディアブルの話によると、今俺は制限がかかってない状態なんだよな。ってなると、早くに決着をつけないと体がもたないな。
「よし……いくぞっ!」
「うんうん、来てよ!僕もリミッター外しちゃうから!」
え?何言ってんの?外すの?外せるの?バカなの?
「"ラディスラクト"」
ディアブルがつぶやくようにそう言うと、さっきから放たれていた魔力が更に増した。
「さあ、来て?」
その一挙手一投足に威圧感がある。
「っ……」
俺はじりじりと後ずさりする。すると、ディアブルは呆れたように、
「はぁ……来ないの?じゃあ僕から」
といった。
「くっ……」
ゆっくりと近づいてくる。
「ふぅーーッ!」
俺は息を吐き出して地面を蹴った。
「いいねっ!」
彼が嬉々として言い、俺の斬りに合わせて剣を振るう。
「はあっ!」
「だぁっ!」
体重移動を利用して、全力で剣を振り抜くーーが、その攻撃は止められた。
「壊れるまでやれとは言ったが……壊れろとは言っていない」
止めたのは、校長先生だった。俺とディアブルの間に立ち、人差し指一本で剣を止めている。
「っ……どいて」
ディアブルが校長先生に言った。その声は、少し震えている。止められて怒っているのか、垣間見えたその強さに震えているのか。
「……中止で」
中止ですか、そう言おうとしたら、二人から押されたのだろう。壁まで飛んでいった。
「いってて……なんだよ、もう……」
俺は頭を上げる。すると、見えたのは、黒色の牢に囚われた二人だった。
「んん?えーっと……」
何が起きたのか、よく分からないが、二人は、あれから俺を守るために突き飛ばしたのだろう。
俺は二人の方へ駆け寄っていく。
「来るな!」
校長先生が俺に向かってそう叫び、足を止める。すると、目の前に牢が落ちてきた。
「解説席に行って拡声器で他の先生方に知らせろ!緊急事態だと!」
「は、はい!」
俺は急いで解説席に向かう。が、突然目の前に人が現れる。
「いかせねえぞ?おいコラァ?」
俺の前に立ったのは、シャーブだった。
「お前……シャーブか。そこをどいてくれ」
「ああ?どくわけねえだろ、頭沸いてんじゃねえのか?てか、お前が知らせたところで誰も来やしねえよ!今頃俺の雇った殺し屋達がバカどもを制圧しちまってるだろうからなぁ!がははははは!」
殺し屋……校長先生の言っていた犯人とは、こいつのことだろう。あと、バカどもとは先生方のことだろうか。
「おい!」
シャーブがそう言うと、数人の男が現れる。
「わかるか、クソ野郎?お前は今から死ぬんだよ!俺に恥をかかせた罰としてな!!」
「ん?俺、お前に恥かかせるようなことしたか?」
「ああん!!?てめえふざけてんのか!?マスターの前で俺を負かしやがったろ!?」
ああ……あれか。
「いけっ、やっちまえ!!」
数人の男が、シャーブに従って前に出る。
「こいつらは金で従えた殺し屋どもだ!生きてかえれるとおもわねえことだなあ!おら、あっちもやっちまえ!」
シャーブは、牢の方を見ながら言う。
「ああ……任せてくれ……刺せ。『ヴィグア』」
シャーブの右に立つ男がそう呟くと、牢の内側に10本程の棘が現れ、二人に向かって伸び、肩や太ももに刺さった。
「ぐあっ!」
「ぐっ……」
「ッ!二人とも!魔法かスキルでそこから抜け出して!」
「無理に決まってんだろうが!!あの中にいたら魔法もスキルも使えねえんだよ!がはははははは!!!おいお前ら!早く仕留めろ!だが、殺しはするなよ?俺がこの手で生きれなくなるくらい悲惨な目に合わせてやるんだからな!」
それを聞いて、俺は少しキレた。そして、俺の頭の中に色々と浮かび上がってきた。
こいつ、少し恥をかいただけで、その原因は自分から勝負を仕掛けたからなのに、復讐を試みるのか。それも、こんなに殺し屋を用意して?爆弾まで設置して、無関係な人を人質にして殺そうと?
「お前、ロクでもないやつだな」
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