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3話 藤野 玄人、友達が出来ました。

それから俺たち3人は、町の中心まで歩いていった。


「こっちだ」


アンド隊長は狭い路地へと入ってった。


そして、少し進むと…


「…すっげえ」


めちゃくちゃ豪勢な屋敷があった。


「お姫様!」


俺が屋敷に見とれていると、黒服のお爺さんがこっちに走ってきた。


「ただいま〜、爺」


「いけませんぞ!また無断で町へ出かけていったのですか!」


「ち、違うわよ!」


「次やったら王様に報告させていただきますぞ!」


「やめて、それだけは!」


「…アンド隊長。今何が起きてるのか説明してもらっていいですか?」


「あ、あぁ、すまない。姫!この者を屋敷に入れても良いでしょうか!」


「ええ、そうね。そうしましょうか」


「姫様っ!そういえば、この男はどこから…」


「全く、うるさいわよ!爺は!…この人は、私を助けてくれたの。いいでしょ、入れるくらい。さ、行きましょう?」


あ、睨まれた。なんか俺、睨まれた。


ということで、俺は屋敷の中に入っていった。




今俺たちがいるところは、大広間とでもいうのだろうか。とにかく、赤やら金やらですごく豪華だ。


「じゃ、そろそろ話しましょうか。そこのあなた、お茶を頂戴」


「どうぞ、姫様。お客様」


「あ、ども」


なんだか、すごく高そうなお茶だ。飲んでいいのだろうか。


「えーと、まずはあなたの名前を聞いてもいいかしら」


「姫様、こちらから名前をいうのが礼儀というものでは?」


「あ、そうね」


どうやら、向こうから自己紹介してくれるみたいだ。


と、姫様がズバン、と立ち上がった。


「私はキャルロット=シャルミリア、この国の王の娘、つまりは王女よ!」


「あ、はい」


おいまて、俺。なんだよ、「あ、はい」って。


「じゃあ次は、あなたの名前を聞いてもいいかしら?」


「お、俺は藤野 玄人です」


「出身国はどこかしら?」


これは、いってもいいんだろうか?ま、いいか。


「えーと、異世界から来ました」


「…?」


あ、わかんないのか?


「…爺?異世界?」


「…ええ、そのようですね」


あ、姫がニヤッとした。


「いけませんよ?姫」


「いいじゃない!ねぇ玄人、この町を案内してあげるわ!」


あー、姫は外に出たかったのか。


異世界人ってとこにびっくりしたと思って期待したのに。




俺は、姫とその護衛1人と町に出ていた。


今いるのは町の中心地のようだ。


そこには、とでも大きな噴水があった。


「おお…すっげえ…」


芸術的なデザイン、そして実用的でもあった。


「ふふん、どうかしら?これ、私がデザインしたのよ?いいと思わない?」


「マジか…すっげえ」


もう、すっげえしか言えないくらい、すっげえ。


「姫はすごいんですね」


「でしょう!?そうでしょうっ!」


護衛の人も頷いている。


「ていうか、玄人?敬語はやめない?」


え、いいんだろうか?


「遠慮は要らないわ。だって、もう友達じゃない!」


「そっか、よろしくな、キャルロット」


こうして、俺の異世界生活1人目の友達ができた。


「ねえ、向こうにファーブウルフの焼肉が美味しいお店があるの!行きましょうよ!」


「ファーブウルフ?」


「あ、そっか。あなたは異世界人だから知らないのね。ま、この世界のことはあのお店で教えてあげるから、取り敢えずいきましょっ!」




入るとすぐに黒服の男の人が出迎えてくれた。


「ようこそいらっしゃいました。キャルロット王女」


「あら、オーナー。席を3人分空けてもらえるかしら?」


「はい、直ちに」


数秒すると、その男の人は戻ってきた。


「どうぞ、こちらへ」


いや、早すぎだろ。


俺たち3人は4人用の座敷に座った。


隣には、キャルロットがいる。


「さ、好きに食べていいわよ」


えーと、どれが美味しいんだろう。


「キャルロットのおすすめで頼むよ」


「そう?すみませーん」


「はいっ!ご注文をお伺いします!」


いや、気合い入りすぎだろ。


「このファーブウルフの4種盛り合わせ四つお願い」


「はいっ、直ちに!」


もう一回言わせて。気合い入りすぎだろ。


「失礼いたします!」


「え、はや」


「よーし、じゃ、食べましょうか」


すると、テーブルの下から手が伸びてきた。


「は?」


どんな状況だよ。


すると、キャルロットが耳打ちしてきた。


「この人は、私の護衛よ」


ああ、そっか。敵が来た時に不意打ちできるようにしてるのか。


「それじゃ、いただきまーす」


「いただきます」


「あ、いただきます」


「……す」


いや、俺たち3人が言うのはわかるが、隠れ護衛が言うのはダメなんじゃなかろうか。




「ふー、美味しかった」


うん、本当に美味しかった。


柔らかかったり、かみごたえがあったり。


部位によって食感が違って、美味しかった。


「ご馳走さまでした」


「んじゃ、そろそろこっちの世界について教えてあげるわ」


内容は、こうだった。




この世界にはモンスターが多くいて、動物なるものはいないらしい。俺が聞いたら、「???」って感じだった。


今は、四つの国が統治しているらしい。


水の国シャルミリア、火の国レファー、地の国アブザール、風の国ヴェントだ。


この国は、それぞれが違う宗教を信仰しているそうだ。


そして、この四つはそれぞれ東西南北を統治していて、大陸の中心には、とても大きな島があるらしい。


だが、その島は浮いている上に世界が孤立しているらしく、表と裏がある。そのため、あまり詳しくは知られていないらしい。ただわかるのは、魔族と呼ばれる種族が住んでいるらしい、ということだ。




「ま、詳しく話すと長くなるから、こんなところかしらね」


やっぱりどこの世界にも魔族はいるみたいだ。


「暗くなってきてるし、そろそろ屋敷に戻りましょうか」


「え?」


「どうしたの?」


「泊めてくれるのか?」


「ええ、そうだけど」


「ありがとうございますっ!」


「あはは、どういたしまして」


そうして、俺たちは屋敷に戻っていった。




屋敷に戻ると、アンド隊長から声をかけられた。


「もう一度、手合わせ願えるだろうか。今度は、私のとっておきだ」


「いいわね!私も見たいわ!」


え、これもう断れないじゃん。


「…わかりました」


俺たち3人は、裏庭へと移動した。


「では、姫様、お願い致します」


「じゃ、いくわよ?位置について…よーい、ドン!」


「「ブフッ」」


その瞬間、俺たち2人は吹き出した。


「な、なによ!なんで笑うのよ!?」


「姫様、それは闘う時の合図ではありませんよ」


「…知らなかったわ」


顔が真っ赤に染まっている。面白いな。


「2人とも、もう、ニヤニヤするなっ!」


しまった、顔に出ていたか。


「いくわよ!よーい、ドンッ!」


またそれか。ま、いいや。


「スキル《冷蔵庫》」


俺の隣に、冷蔵庫のドアが出現する。


「スキル《レフォースα》!」


α?強くなってんじゃん。ヤバない?


「精霊槍!」


「いくぞっ!」


え、待って。さっきより1.5倍くらい速いんだが。


「ハァ゛ッ!」


「ぐっ」


殴られた。それは見えた。ただ、反応できない。


攻撃を受けた俺はすぐさま後ろに飛び退き、


「せあっ!」


隊長めがけて槍を突き出す。


「甘いっ!」


「なっ!」


槍は蹴り上げられて宙を舞った。


「ゼァッ!」


隊長は剣を抜いて下から斬りあげてきた。


「くっ」


俺は服を斬られただけで、なんとか避けられた。


「あ、あっぶねぇ…死んだらどうするんですか!」


「大丈夫だ、姫様がどうにかしてくれる」


「おもいっきりやんなさーい!」


「ま、じかよっ!」


間髪入れずに二発目の攻撃が飛んできた。


「まだまだっ!」


3発目。上から斬り降ろされる。


…よし。あれやってみるか。


「秘技っ!非リア流、真剣白刃取りっ!」


いけるか?


『スキルが派生しました。


《冷蔵庫》→《白刃取り:氷》が派生しました』


ナイスタイミングだ!


「スキルッ、《白刃取り:氷》っ!」


すると、両手が氷で包まれた。


「なっ!」


カンッ、と鈍い音を立てて剣は止まった。


「ハッ!」


俺はそのまま剣を引っ張って、隊長の体を引き寄せる。


「スキル《冷蔵庫》っ!」


剣は片手で掴んだまま、冷凍庫の中から凍らせた短剣を取り出す。そしてー


「終わりです」


その短剣を、首筋に突きつける。


「…完敗だ」


俺とアンド隊長の手合いは、俺の勝利に終わった。




そのあと、夜ごはんを食べた。


2人から質問責めにあって、あまり食べられなかったけど。


「玄人のいた世界の話をしてよ!」とか、「君は何故そんなに強いんだ!」とか言われた。


数分後、その声に気づいたメイドさんが、「お二方、お客様が困っていますよ?」というと、引き下がってくれた。ナイス、メイドさん。でも、もう少し早く気づかなかったのだろうか。




その後、歯を磨こうと洗面台の前に立つと、おかしかった。


何がおかしかったかっていうと、俺がおかしかった。物理的に。


「いや、なんで俺若返ってんだ?」


鏡の中にいたのは、高校生だったころの、若い俺だった。


「え、なんでだ?」


少し考えて、気づいた。


「あ、おまけ、か」


俺は転生する時に、女神様におまけを貰ったんだった。


つまり、おまけの効果で若返ったわけだ。


「ま、体力的にも楽だし、いっか」


それから俺は歯磨きして、客人用の部屋に行った。


すると、いきなりドアが開いた。


「玄人、お風呂行くわよ!」


「いやだめだろっ!」


俺は間を作らずにつっこんだ。


「大丈夫!水着あるから!」


「よし行こう!」


俺はまたもや間を入れずに言った。




俺たち2人は、風呂に来た。もちろん、2人とも水着を着ている。その上に、ラッシュガードのようなものも羽織っている。


「うおっ、でっけえ…」


「でしょ!町にある公衆浴場よりも広いのよ!」


ああ、たしかに風呂もでかい。ただ、違うのだ。別のところが、でかい。どことはいわないが。


「じゃ、行きましょ!」


そういうと、キャルロットは走ってーー飛んだ!


「ひゃっほう!玄人も来なさいよー!」


「あ、ああ」


俺は歩いていく。


「なに歩いてるの!ジャンプジャーンプ!」


まじか。


俺は覚悟してから、走り出した。


「怖い怖い怖い怖い!」


そう言いながら、ジャーンプ!


バシャーン、と大きな水しぶきをたてて、俺は風呂にはいった。


「いいジャンプだったわね!」


「はは、ありがとう」


「じゃ、あなたの世界のことを教えて!」


「そうだな、まずはなにから話そうか…」


俺は、キャルロットにいろんな事を話した。


電車や飛行機だったり、3分で、お湯だけで出来る料理だったり、人間より多いGの話だったり、黒より黒い勤め先の話だったり。


話すたびに、キャルロットの表情がコロコロ変わって、見ていてとても楽しかった。


「やー、その地球ってとこはすごいのね!」


うんうん、とキャルロットはうなずいていた。


「じゃあ、俺からも聞いていいか?」


「何かしら?」


「なんで、風呂に誘ってくれたんだ?部屋でもいいだろうに」


「ママが教えてくれたのよ!一緒にお風呂に入ると、とっても仲が良くなるって!その通りだったわ!私、あなたのことがよく知れた気がして、なんだか好きになっちゃったわ!」


「え」


「あ、ああ、ち、違うわよ?好きっていうのは、友達としてっていうので、他意はないから!」


「ああ、そ、そうだよな!」


「じゃ、そろそろ出ましょうか」


「そうだな」


いい感じで体も温まったしな。


空気が微妙になったから逃げようとしたわけじゃないもん!




夜、寝ようと思ったら、またドアが勢いよく開いた。


またキャルロットか?と思ったら、アンド隊長だった。


「どうしたんですか?こんな時間に」


「いやなに、さっき、君の強さの秘訣を聞きそびれたのでな、こうしてきたまでだ」


あ、さっきご飯の時間に言ってたやつか。


「さあ、教えてくれ。君は何故そんなに強いんだ?」


「わ、わかりました。教えますから、離れてください。近いです」


「あ、ああ、すまない」


精霊槍のことを話した。すると、驚いた様子で


「な、なに!?精霊水だと!?」


「え、ええ。ここに来る途中で泉がありまして。そこで汲んできたんです」


「…君は知らないと思うが、精霊水は、精霊の泉で取れる。だが、それがどこにあるのかは全く分かっていない。学者の間では、一定以上の魔力を持った者のみ入れるだの、神や精霊から気に入られた者しか入れない、と言った説があるようだ」


「な、なるほど。つまり俺はラッキーだったってことですね」


いや、とアンド隊長は続ける。


「それだけではない。なんの技術も持っていない者が武器を作って、それがスキルを三つも持っているなど、奇跡に等しい」


そうなのか?


「例えば、小さな子供が公園に落ちている木の棒で城の模型を完璧に作り上げるようなものだ」


なるほど、そうなると、確かにすごいな。


「…まあ、君に何の意図もないなら、本当にただの幸運だったんだろうな」


多分、そうなんだろうな。


「夜分遅くにすまなかったな。君は客人だ。ゆっくりとくつろいでくれ」


「ありがとうございます」


アンド隊長は、部屋から出て行った。


その時、爺と呼ばれていた執事さんが、こちらをキッ、と睨んでいたのが見えた。


…もしかしなくても、俺は嫌われているんでは?


さっきの夜ご飯でも、俺だけ肉が一切れ少なかったし。


ま、何はともあれ、今日は色々あって疲れたなあ。


明日から、寝泊まりをどうするかも考えないといけないし。


だいたいラノベだったら、主人公は学校かギルドに行ってるよな。


おれは、女神様のおかげで高校生ぐらいだし。


どうするのがいいんだろうか。


…明日のことは明日考えよう。


今日は、アンド隊長のいい通り、ゆっくり休むとする。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

これからの目標が決まりました。まず、PV数を500まで増やせるように頑張ります。よければ、応援よろしくです!

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