表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/54

28話 藤野 玄人、トーナメントしました。⑩家に上げました。

『Aブロック決勝戦を行います。藤野 玄人選手、ヘイゼル=クランツ選手は入場してください』


 よし、行くか。




「Aブロック決勝」


 目の前には、ヘイゼル。【暴化】は昨日よりも強く付与されているだろう。こっちを睨みつけている。いや、決勝ではあるし、これが普通か?


「藤野 玄人対ヘイゼル=クランツ……始めっ!」


 早速、さっきディアブルに教えてもらった《レフォースΔ》、使ってみるか。


「《レフォースΔ》!」


 お?全然魔力を使ってないみたいだ。これなら、何重にしても大丈夫かな。


「《レフォースΔ》《レフォースΔ》!」


 とりあえず、三重。……っと、ヘイゼルが突っ込んできた。


「《冷蔵庫》!《形質変化》!」


 俺は杖を剣に変化させ、カウンターを狙う。


「ふっ!」


 ヘイゼルの袈裟斬りに対して、俺は居合斬りの構えを取り、剣を振るう。


「グぁぁぁ!」


 剣と剣がぶつかった瞬間、ヘイゼルは飛んでいった。


「…………んんん?」


 ちょっとよくわからないなあ。


『えーっと……藤野選手は何をしたのでしょうか?』


 俺にもわからん。


『うむ、《レフォースΔ》を三重にもしたんだ、《レフォース》すら使っていないヘイゼル選手を飛ばすのも、簡単だろう』


『な、なるほど…………?』


 ヘイゼルが立ち上がる。


「ぅぅぅ……《レフぉース》《れフォーす》……ぅう」


 くるか?


「うぁっ!」


 再び、ヘイゼルがまっすぐに突っ込んでくる。


「はあっ!」


 俺もまた、突っ込んでいく。


 真上からの斬り下げ。俺はそれに対して、少しかがみ、角度をつけて横薙ぎする。


「うっぁぁぁぁ」


 あ、また飛んでった。


そこからは一方的だったが、どうしてもクビに剣を添えるところまではいかなかった。


「もう一個使えばいけるか?《レフォースΔ》」


 もう決めようと思い、グッと踏み込む。


 すると、ヘイゼルはガクッと膝をついた。


「はぁ……あぁ……」


 かなり息が切れている。もう限界だったんだろう。


「えー……ヘイゼル=クランツ、戦闘不能!勝者、藤野 玄人!」


なんか、あっさり終わってしまった。




「うんうん!おつかれ、フジノ君!流石だね!」


「あ、ああ。ありがとう、ディアブル」


「ねえねえ、僕たちが戦うのは明日なんだよね!」


「ああ。今日はもう試合もないから、帰っていいって」


「うんうん!そっか!じゃあ、明日、楽しみにしてるね!うん!バイバイ!」


 それだけ言うと、ディアブルは去っていった。


「……俺も帰るか」


 そう思って、廊下を歩いていくと、前の方から、ジャックとキャルロットが歩いてくるのが見えた。


「おつかれーぃ!」


「おう」


 ジャックとハイタッチ。


「お疲れ様!お茶飲む!」


「ああ、ありがとう」


 キャルロットからお茶を貰う。


「やっぱり玄人は強いわね!」


「そうか?ありがと」


「てかお前、《レフォースΔ》なんていった使えるようになったんだよ!」


 ジャックが背中をバンバン、と叩いてくる。


「い、痛い痛い……決勝前にディアブルが教えてくれた」


 そう告げると、二人は立ち止まってしまった。


「どうした?」


「おいキャル。薄々気づいてたんだけどさ、玄人って、ヤバイやつか?」


「そうだと思うけど、教えるのが上手だったっていう可能性は?あのディアブルっていうひと、すっごい強かったじゃない?」


 なんか二人が話してるな。


「おーい二人ともー!行かないのかー?」


「あ、ごめんごめん!今行くぜ!」




「ふー」


 寮に帰ってきた。今日はキツかったの、一戦目だけだったなぁ。ヘイゼルとの試合は、すぐに終わったし。


「……暇だ」


 日本にいた頃は、暇になったらゲームしたり本読んたりしたけど、こっちにはなさそうだもんな。ほんと、何しようか。


 クエスト受けても、明日に響くだろうし……


「そうだ、ジャックの部屋に行ってみようかな」


 そういえば、まだジャックの部屋に入ったことなかったよな。


「えーっと……ジャックの部屋ってどこだ?」


 そもそも、俺ってジャック部屋知ってたっけ?


「……知らないな」


 ……うおー!暇だ!


 と、ベッドの上でゴロゴロしていると、コンコン、とノックの音が聞こえた。


「はーい?」


 誰だろうな、と思いながらドアを開けようとした。


 そこで、日本にいた時、お母さんに言われたことをふと思い出した。なんか、まずどちら様か聞いてからドアを開けるんだって。そうすると、セールスとかだった時にドアを開けずに回避できるから、とか。


 俺はそれに倣う。


「どちら様ですかー?」


「キャルロットでーす!」


 なんだ、キャルロットか。


「おー、どうし……どうした?」


 キャルロットの後ろには男子と女子が二人ずついた。


「私、この子達と一緒に試合見てたんだけど、玄人がすごいねーって話になって、『私、玄人と友達よー』って言ったら、みんなが玄人のこと知りたいって。それでいきなり来ちゃったけど、大丈夫?」


「あ、えっと、大丈夫だけど……とりあえず上がって?」


「「「「「おじゃましまーす」」」」」




「えっと……藤野 玄人です、よろしく」


 こういう時に、最初に何をしたらいいか分からなかったので、自己紹介をしておく。


 でも、四人は黙ったままだった。


 ……俺、なんか間違えたか?


「どーしたの?自己紹介したら?」


 キャルロットがとなりの女の子を促す。


「は、はい!えっと……シュナ=メイクンです。よ、よろしくお願いします!」


 ショートカットで、少し、背は小さい感じかな?座ってるから、あんまりわかんないけど。


「次は僕から。ゲイン=シャルクです。よろしく」


 あ、メガネクイッだ。それも、中指で!本場のは違う……


「つつ、次は俺だな?く、クルガ=アルトです!よろしくお願いしますっ、兄貴!」


「え、まって?兄貴?」


「はい!兄貴!」


「……兄貴は、やめてもらえると嬉しいかなーって」


「じゃあ、なんて呼びましょう!?」


「うん、ふつうに玄人で。後、敬語もいらない」


「……よ、よろしくな!玄人」


「よろしく」


 勢いのあるやつだ。


「最後、あたし?ミル=エンズだよ!よろしく!」


「よろしく。で、四人はどうしたの?」


「あ、それは私から説明するわね。えっと、男子二人は玄人の強さに興味もったみたい。シュナは、玄人のスキルを見てみたいって。ミルは、友達になりたいって」


「じゃあ、順番でいいかな?スキル見せるのが一番簡単そうだし、シュナさん最初でいい?」


「は、はい!よろしくお願いします!藤野君!」


 なんか女子に藤野君って呼ばれるの久しぶりだなー。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ