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New World New LIfe  作者: 金沢優一
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街道

 ダインたちと別れて、草原をひたすらまっすぐ進んでいた。


 程なくすると川に沿って長く続く街道が目に入った。

街道といっても人が歩くことで地面が踏み固められて、その道沿いだけ草が生えておらず地面がむき出しになっているだけのものだった。

 しかし、俺が目を覚まして記憶を失ってから見た数少ない人の痕跡だ。そしてその先は街があると思うと心が軽やからになる。森の中を浸すたら歩いていた先のない不安ではなく、先があると信じれるこの街道は俺には心からありがたく感じられた。


 街道に出ると、俺の場所からはまだ距離はあるが、小高い丘が見えた。街道は丘の周りをめぐるように川に沿っておかの向こうに繋がっているようだ。

 ダインの言っていた丘はこれか。この丘の上から街が見えるらしいので、俺は少し街道をそれてその丘を登ってみようと思った。その丘の道も、街道ほどではないが、少し背の高い草が押しのけられ踏みしめられて固められた地面がうっすらと道のように丘の上まで続いていた。


ただこの道を登る前に少し休憩を挟みたくなった。ちょうど街道沿いに生えていた木があったので、木陰を少し借りることにしょう。

朝方からずっと歩いて今は太陽が真上にまで来ている。雨が降っていないのは幸いではあるが、照りつける日差しが俺を熱してからだから水分を奪っていく。


ナオに選別にともらった水袋で喉の渇きを潤す。


透明な袋に水を入れて、そこに植物の管をつけて飲み口をつけた簡素なものだが、皮は意外と丈夫で水が漏れる様子もない。泉の水を入れてきたがまだ十分に冷たいままだった。


この透明な袋は、思い出したくないが俺を殺しかけたスライムの皮だと言う。

スライムは死ぬと表面が膜が皮の様に固まるらしい。その皮で袋を作ると丈夫な水袋になり、しばらくの間、乾燥から水を守り、さらに綺麗な状態で保ってくれるのだと言う。


スライムは生き物なら何でも襲う危険な生き物ではあるが、動きは遅く、近づかなければ逃げるのは容易らしい。

だが水袋は消耗品で、常に人々が使うものなので安全な倒し方を知っていれば、倒して水袋を売れば、小金にはなるかもしれないとも教えてくれた。


スライムの倒し方は、単純ではある。体の中にある赤い球体の部分を破壊すればいいのである。スライムが嫌がる乾燥材を投げつけて怯んでいるうちに剣やナイフで一気に赤い球体を部分を攻撃するのが一般的だそうだ。


剣もナイフも乾燥材も持っていない俺は、まぁ逃げるしかない。


しかしナオも盗賊と言っていたが、色々と教えてくれて性根は悪い奴ではないだろう。あのダイン一家も、虫ではあったが食事まで取らせてくれた。


また、俺は彼らの笑顔にも、初めて出会えた人としても嬉しかったのだ。

もう一度会いたい様な気持ちと、次あったら本当に殺されるかもしれないと複雑な感情を覚えてしまっていた。


そうこう考えている間に丘の上までたどり着いた。

少し高い丘だったのもあって、丘からはさっき歩いていた街道が細く続いているのが見える。

その街道を目に追っていくと、

ところに小さく家の様なものがたくさん密集して見える。


街だ。建物の集まりをぐるっと塀のようなものが覆っている。街の中心部には丘のようなところがあり、そこには一際大きな建物がいくつか見えた。


塀の外側にもぽつぽつと家が点在しており、周りで農業でもしているのだろうか。広く黄金色に輝く作物が、栽培されている様子が見て取れた。川に沿って何かを農業をしているようにも見えた。


街を見つけた俺の心は踊った。思わず顔がほころんでしまう。まだ歩けば距離はあるだろうが、記憶がなくなって初めてみる人の作った建物と街だ。あそこに行けば俺のことが分かるかもしれない、俺のことを知っている人がいるかもしれない。それがいなくても俺が何を知って何を知らないのか、少しでも明らかになるだろう。前向きな気持ちが足取りをも軽くしている。


俺は街に向かって走り出した。

次話 7月20日22時

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