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New World New LIfe  作者: 金沢優一
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新しい世界

うつ伏せの状態で俺は目が覚めた。まだ頭が朦朧としている。

いつの間に眠ってしまったのだろうか。体も気だるさがあり、まだ体を起こしたくない気分だ。

もう少しこのうつ伏せのままでいたい。


頬に風を感じる。涼しい心地よい風だ。

肌に太陽の熱を感じる。暑すぎないちょうどよいほどの暑さだ。

風に草木がゆらめく音と鳥の鳴き声が遠くからわずかに聞こえる。



頭が冴えてきた俺は体を起こすことにした。


目の前には腰丈ほどの草木が広がっており、先には林のようなものが見え、

さらに奥にはそこまで高くはなさそうだが山々が左右に長く伸びている。

空は澄み通った青い空と薄い雲が所々に浮かんでいる。


綺麗な景色だ。

しかし、ここはどこだろう。俺の記憶にはない景色だ。だからこそ見とれてしまったのだろう。


そして、


俺は誰だ?




何も思い出せない。これは記憶喪失というものだろうか。


記憶喪失という言葉は覚えている。どうやら言葉は覚えているようだ。

手、足、体、服、ズボン、シャツ、草、木、山、鳥、風・・・

物の名前などの言葉は覚えているようだ。


俺は?

俺はカイトだ。うん、覚えている。俺はカイト。自分の名前は覚えている。


体をあちこち触ってみるが、特に怪我や不調は感じない。

動くことは問題なくできそうだ。


身につけているのは、紐履に濃い緑色のズボン、白いシャツ

持ち物は何もない。


さてどうしたものか。不思議と冷静に考えられている。

俺はどうやら冷静な人間らしい。それか記憶がなくなったことの影響だろうか。


俺の名前がカイトであること以外は思い出せない。


知り合いや親の名前や顔も思い浮かばないし、自分のことも名前以外の年齢もわからない。

男であることはわかる。


物の名前や、言葉まで忘れていたらこんなに物事も考えられていなかったかもしれないな。

とにかくここにいても仕方がない。


ここがどこかは分からないがここまでこれたのなら、どこかにたどり着けるだろう。

俺は腰を上げて、周りを見渡した。


家のようなものは見当たらないが、ここはどうやら少し低い場所にあるようだ。

足踏みをしてみる、靴はしっかりしていて歩くには問題なさそうだ。


どうすればいいか分からないが、とにかく人を探そう。

自分のことを思い出すにも、俺のことを知っている人に会うにも、とにかく人を探さないとどうしようもない。今はまだ大丈夫だが、空腹で野垂れ死ぬは簡便だ。


丘のようなものが見えるからとにかくそこに行ってみよう。

そこから周りを見渡せば人の住んでいる場所を見つけることができるかもしれない。


なぜか俺はすこしワクワクしている。記憶を失ったことや一人であることに不安はない。

記憶がないからこそ、これからのことはすべて新しいものだ。


俺は記憶をなくす前は退屈でもしていたのだろうか。

とにかく俺は背中の太陽の後押しも受け、この新しい世界で前へ進み始めた。


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