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あふすと。  作者: 京都ノ舞鶴
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長原美雪は創る。

「で?俺がなんだって?」


長原が桜咲に詰め寄った。


「なんでもないよ、ね?福永さん」

「さぁ?」と微笑む福永。


ふんっ、と両手を腰に当てる長原。

「だいたいデリカシーだかデリバリーだかローションだか知らんけど」


「いやそれなんのデリバリーなんだよ」

吉野がつっこむ。


「俺は俺。自分のことをなんと呼ぼうが俺がなにをしようが俺の勝手だろ」

仁王立ちで長原は言い切った。



長原の座右の銘は我が道をゆく。ゴーイングマイウェイ。そのものである。

我が道をゆく、というよりも我が道をつくる、というか自分がルール。


まさに傍若無人。


魔界での戦いにおいてもひたすら自分本位で周りを見ないスタイルだった。そこは周りを見ることができる福永と場を支配するリーダー吉野のフォローで何とかしていた。

本人としてはNo.零を敵視しているが、No.零自身は長原に絡まれて煩わしいと桜咲にもらしていた。


「そういうとこがデリカシーないんだよ」と桜咲がぼそっと呟いた。


「なんだよ、俺がうんこしてよーがなんだろーがお前には関係ねーっつーの」


吉野の見えない手が長原の頭頂部を小突く。

「朝からそんなこと大声でいうな、恥ずかしい」



冒険を経て談笑する仲にはなっているが元々桜咲と吉野は顔見知り。福永はまた違う中学校から進学してきており、長原ともう1人森谷はそれまた違う中学校から来ていた。長原と森谷は元々友人である。


つまりは、ほぼ初対面からはじまっている。

冒険を経て本人同士は絆を作り上げているが傍から見れば、あれ?あいつら仲良かった?状態である。



「あ、そういえば筆記用具持ってきた?」唐突に吉野が聞いた。


慌てて桜咲は自分のリュックを開ける。

「え!?今日って入学式だけじゃないの?」


呆れた顔で吉野は言う。

「入学式がメインだけど、書くものとかはあるでしょうよ。なにしに学校に来てるの?」

「いや、だって」と桜咲は口を尖らせる。


その様子を見て長原は「しょうがないなぁ」とノートを開いた。

桜咲も吉野も福永も見ている中、長原はノートに絵を描き始めた。

消しゴムとシャープペンシルのようだ。


長原美雪の父はイラストレーターをしており、長原もその血を継いで絵の才能を持っていた。

その才能を活かした長原の能力。


長原が絵を書き上げるとその絵が実体化した。

つまり絵のシャープペンシルと消しゴムがノートから現れたのである。


「おー、ありがとう長原さん」


〈神の右手〉

それが長原の能力である。

全てを創る手。ノートに描いた絵が自分の思い通りに実体化する。

それが長原美雪。

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