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福永真奈は視る。

異世界冒険のその後の話。

「ひまそうだねぇ桜咲」

ん？と顔を上げるとそこには福永真奈がいた。

福永真奈も共に魔界へと行き、冒険し、戦った。

福永真奈は幼い頃から実家の剣道場で鍛錬しており、華奢な体ながらその速さと技巧で学生剣道界でも一目置かれていた。

そして魔界のパワーアップにより剣士としての資質は向上し、何より福永に発現した特殊能力が福永を助け、最強の剣士となった。

「そりゃあ暇だよ福永さん。あんな冒険がなかったかのようにまた入学式。俺と福永さんも出会ったばかり、みたいになってんだよ？」

翔は少し笑いながら答えた。

「出会ったばかりってなんかいかがわしい表現だね」と福永は返す。

そんなつもりではなかったのだが。

「あ、っていうか目は大丈夫なの？福永さん」

「え？ああ、うん、まぁ。大丈夫」

そう言って福永は自分の右目のあたりをさする。

福永に発現した能力は〈神の右目〉と呼ばれる。

全てを見通すその目は広範囲を見下ろすいわゆる千里眼のような使い方と先を読んでイメージとして見るいわゆる予見のような使い方ができる。

相手がどのように動くのかを予見し、戦える。それは達人クラスの剣士にとって大きなアドバンテージだ。その能力を使い福永は最強となった。

元々魔界最強と呼ばれていたのは。Ｎｏ．零という悪魔であったが、福永との幾度にも渡るた高いの中で最強の座を譲った。

「入学式もうはじまる？ちょっと見てみてよ」

「見なくても時間がくればはじまるでしょ。それよりもほら、もうすぐ入ってくるよ委員長が」

「え？」

桜咲が教室の入口の方を見るとちょうど吉野夏美が入ってきた。

クラストップの成績で小学校中学校と桜咲と同じ学校だった吉野夏美。ずっと委員長だったため委員長というアダ名で呼ばれている。その、吉野夏美。