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LUNASEA同タイトル小説

THE SLAIN

作者: 皐月 沙羅

 男はいつしかスレインと呼ばれるようになった。

その男の本当の名前を知るものはいない。

 彼は殺した。生まれた時から殺した。何もわからずに、けれどとても上手く。

 物心がつくと、彼はもっと上手く殺した。まさに生まれながらのスレイヤー。彼は迷うことなく殺し続けた。

 彼はマントを翻し、町から町へとさすらった。

 彼の後には、必ず死があった。 

 人々は彼を怖れはしなかった。むしろ、待ちわびていた。

 彼が殺すのは悲しみだった。ただひとつ、悲しみの感情だけを殺す、取り去るのだ。

 彼と視線を合わせるだけで、悲しみは消えた。もう生涯悲しみにくれることはないのだ。

 彼は悲しみをすべて取り込んでいるようだった。その表情は悲しみに満ちているようにも見え、冷たく無表情にも見えた。

悲しみのない人生など知らない。悲しみを殺された者の人生など知らない。望む者に、スレインは悲しみの死を与える。

それが彼の人生だから。悲しみだけで生きて行くのが彼の人生だから。

 今日も彼は街を歩いて行く。黒いマントを翻して。


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