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「流石、といえばいいのでしょうか?」
「そうだね。流石、桜宮家の分家のお嬢様が経営しているところだよ。」
社交ダンスの教室は伊織さんの家のご親戚が経営なさっている所だそうです。
「あ……‥貴女が有理亜ちゃんね?」
「お初にお目にかかります、神宮路有理亜です。」
「堅苦しくしないでいいのよ、ね。
そうでしょ、架音君」
架音は苦笑いをしています。
話を聞くと自由人らしいです
「伊織も一応無理矢理習わせてるんだけど、
今日は珍しく用事があるらしくて居ないの。」
「そうなんですか。」
流石伊織さんの従姉さんといったところか、
顔立ちが整っています。
「あ、自己紹介がまだだったわね。
柴咲叶果です。宜しくね。」
「よろしくお願いします。」
「ええっと‥‥‥‥週に1回で金曜日でいいの?」
「はい。」
週に1回で金曜日と決めたのは、
わたしが金曜日にやって体調を崩しても休日がすぐあるからという意味で決めたんです。
少し身体を動かすので心配されましたが‥‥‥‥
「じゃあ今日はどうするの?
見学していく? それとも体調崩したらあれだし‥‥‥‥帰る?」
「あー、今日他にも用事があるんで、
来週から教えて頂けますか?」
「ええ!勿論!
じゃあ来週ね。」
そう言って、出て行った。
「次は・・・彼処だね。」
「まさか1日ですべて回るとは思いませんでした。」
習い事をするので、挨拶回り? らしきものをしています。
とは言え、車での移動なので疲れは余り出ません。
「着きましたよ。」
* * * * *
「久しぶりね、架音。有理亜。」
音楽教室の先生‥‥‥‥元いいお父さまの姪である従姉の人が経営しております。
「お久しぶりです、優里菜姉さま。」
昔は仕事をなさっていなかった時ですが、
伯父さまが亡くなって‥‥‥‥伯母さまも病気になってしまった時に家で暮らしていたので、
姉のように慕っております。
「ふふ 相変わらず、有理亜は可愛いわ。
あ、架音も可愛いわよ。」
ついでのように言っていますが、姉様‥‥‥‥流石に男の子の架音にそれは酷いです
「可愛いはやめて、優里菜姉さん。」
「ふふ だったらもう少し背とか伸びてからになさい。」
肉体上6歳児にそれを言うのは‥‥‥‥無理有りませんか?
「そうねぇ・・・2人共楽器、何やりたいのかしら?
先に架音から決めましょうか。」
姉さまは楽器関係に関してとてもすごいんです。
弦楽器、金管楽器、木管楽器をそれぞれ出来ますし、ピアノも出来ます。
聞いた話では幼少期からそうだったらしく、勉強をしないで、音楽ばかりやっていたそうです。
その御蔭か‥‥‥‥‥凄いです。
「んー‥‥‥‥チェロでもやろうかな。」
「チェロね‥‥‥‥あの音もステキよね‥‥‥‥
安心しなさい!わたしが一から完璧にさせるわ。
後一応ピアノをやりましょうか。あ、声楽もいいわね‥‥‥‥」
「あ…それより有理亜の方も決めよう。」
架音……逃げ道にわたしをつかったんですか‥‥‥。
「そうねぇ、有理亜は何がいい?」
どうしましょう……前世からやっていたヴァイオリン、ピアノにするか‥‥‥‥‥
他に手を出してみましょうか‥‥‥‥
「悩み中です‥‥‥‥」
「そうねぇ‥‥‥‥体力もないし‥‥‥‥やりたいなら弦楽器だったらヴァイオリンとかね。
大きな楽器だと肺活量や体力もいるし‥‥‥‥‥」
やっぱりそうですよね‥‥‥‥
「ヴァイオリンとピアノもやりたいです。」
「ふふっ いいわよ。勿論ね。
楽器はどうする?わたしの所のやつにする?
それとも自分にあったやつを買う?」
それは流石に個人では決められませんね。
「お父さまとご相談しないと‥‥‥‥‥」
「叔父様はいいのよ。あの人お金持ってるんだから。」
姉さま‥‥‥‥何気に酷いきがするんですが・・・。
「ちょっと待ってね、楽器持ってくるから!」
そう言って奥へ行ってしまいました。
「姉さま、相変わらずですね。」
「ほんと優里菜姉さんはそうだよ。」
「にしても‥‥‥‥昔は姉さんと呼ぶの拒否っていたのに
‥‥‥‥‥随分とあっさりいいますね。」
昔は露骨に嫌な顔をしていました。
とは言え、可愛らしい顔でしたけど‥‥‥‥3歳でしたから。
「精神年齢上年下に姉は‥‥‥‥ちょっとね。」
「プライドが傷つきますか?」
「有理亜は物事をはっきり言うようになったね。」
「同じ(転生者)だと分かりましたから。」
よく考えればわたしは精神年齢を考えても優里菜姉様の方が年上でしたから、
大丈夫でしたけど、架音は年下でしたね。
「それより、どうする? 姉さんの事だから‥‥‥‥
いきなり数百万か悪ければ数千万級の奴出してくるよ。」
「姉さま、楽器を愛していますしね。
と言うか、世界有数の家の嫡男がおっしゃる台詞ですか?」
「そうだけど‥‥‥‥前(前世)が普通だったんだから。」
「そうですね‥‥‥‥」
「前(前世)何の位のやつ使っていたの?」
「‥‥‥‥何千万だった気がしますね。」
「‥‥‥‥」
初めて開いた口が塞がらないと言った人を見た気がします。
「ちょっ‥‥‥‥お前…」
「前世での父の職業は音楽大学附属の学校の理事長で
父の祖父。曽祖父が創業者です。」
「有理亜……‥やっぱりそれなりの家じゃなくてかなり金持ちだと思うんだけど?」
「周りにはもっとすごい家の子が居たので……つい。」
「前の友達が気になってきたよ。」
「有理亜ー!架音ー!」
笑顔で高級な楽器を持ってきました。
あ、あのヴァイオリンは数千万はしますね
「多分これぐらいのレベルだったら十分だと思う。」
そう言ってチェロの製作者は知りませんが、
ヴァイオリンは前世で使っていた何千万級のものでした。
使いやすそうですね……
「チェロ何だけど、私がどっちも好きなやつ持ってきたの。
こっちは2千万ぐらいだったんだけど、まぁ・・・大丈夫でしょ。
で、もうひとつは一桁違うけど、150万ちょっとなんだけど好きな音なのよねー。」
姉様、気が小さい架音だったら150万ちょっとの方を選ぶと思います。
と言うか、他にお金を2千万じゃ済まないほどかけているのに何故か怖がっています。
「じゃあ、そっちで。」
ですよね。
これで名家の嫡男なのかというのは放置しましょう。
「その音本当にいい音なのよね~。と言うか、わたしが買ったのが有名になる前で
今オークションで買えば1、2千万ぐらいのやつだから得したわ~」
最近の製作者らしいですね。
架音、残念でした……価値はどちらも変わらないみたいです。
「有理亜のは……アマティかー、プレッセンダかヴィヨームなら余ってるのよ。
後はグアルネリもあるわ。他にもあるけどオススメがこれかしら。」
何気に数千万レベルのものが出てきましたね。
グアルネリとアマティ、ヴィヨームは前世で使っていたもので、
プレッセンダは次世代のストラディバリウスとまで呼ばれていますし……どれも変わりませんよ……‥。
「すみません……どれがいいかわからないので……」
流石にわからないふりをしないと怪しまれます。
架音!笑いをこらえないでください……!
「そうね、有理亜ならアマティかヴィヨームでもグアルネリもいいわね・・」
1人で考え始めてしまいました。
取り敢えずプレッセンダは弾いたことがないので他のものがいいですね。
「ヴィヨームにしましょう!」
「姉さま、代金は・・・」
「大丈夫よ、叔父様に言ったら2人で1億までって最初からいってたから。
それに・・・これでも言われた値段の半分取るつもりだし。」
「え……」
「でもなぁ……150万で買ったし……‥1千万で売るのもねぇ」
いやいや……希少価値がありますから!
「そうね、希少価値もあるし、300万で売るわ!
だから……5000万もかからないわね。」
「姉様……」
「姉さん」
それはないですよ。
「子どもは値段なんて気にしないの。
私がどれだけ稼いでると思っているの?」
「え……?」
知りませんよ。
「偶にコンクールに出て賞金とって、後は楽器店の経営者と指導者で
ヴァイオリンなんてすぐに買えるわ?
それに・叔父様のほうが、稼いでるし‥‥‥むしろ安物はやめなさい。」
確かに、そう言えばそうですね……。
「さ、迎えは後1時間で来るんでしょ、
教えるわ。」
前世の記憶があるため、すぐにできて驚かれたのはこの後の話。
因みにプロ勧誘もされました。