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「有理亜、そろそろ行くってさ。
準備と体調は大丈夫?」
あの日から1年経ち、私と架音は初等部の1年になります。
二度目とはいえ内心楽しみです‥‥‥‥‥!
「はい」
「‥‥‥‥楽しみなのはわかるけど、体調を崩さないようにね」
どうやらずっと一緒にいた架音にはバレバレだったようで
苦笑気味でそう言いました。
確かに身体の弱さは変わりません‥‥‥‥‥気をつけましょう。
そう思いながら車の中に乗りました。
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「架音‥‥‥‥」
「どうかしたの?」
「朝日奈さん‥‥‥ってどうなったんですか?」
気になっていた人物‥‥‥‥その恋愛シュミレーションゲームの主人公‥‥‥‥
同じ九城学園での話だと聞きましたからどうしても不安になってしまいます
「大丈夫だよ、九城学園に来るのは中等部からだし、
物語が始まるのは高等部からだからね」
確か今は華海女学園の生徒だっけなという架音。
少なくとも初等部の間は関わることはなさそうです‥‥‥‥一安心できます。
「と言うと、朝日奈さんも資産家の生まれなんですね」
「そうだね、そこそこの病院を経営してるよ」
「そうですか‥‥‥‥‥」
その後色々話をしていると学園につきました。
校門の前に行くと見慣れた人が居ます‥‥‥‥。
「伊織、お早う」
「お早う、架音に有理亜」
「お早う御座います、伊織さん」
パーティーの日からかなり仲良くなった伊織さんです。
お父様と伊織さんのご両親が仲の良いのを見て婚約者にされましたが、
そこはゲームでも同じだった、という訳で取り敢えず婚約をしました。
「2人とも、満点で内部進学テストを合格だな
当たり前と言えばそうかもしれないが‥‥‥‥‥流石だな」
当たり前です。
初等部の進学ですから‥‥‥‥いくら名門で難関とは言えどうにかなるものです。
因みに私は幼稚部には在籍はしておりました。
‥‥‥‥‥一度も通ったことは有りませんでしたが‥‥‥‥。
「それにしても‥‥‥意外だったな。
有理亜は‥‥‥‥体調を崩して来れないと思っていたが‥‥‥‥」
「そうだね、浮かれすぎてまた崩さないといいけどね。」
「違いない。」
「架音に伊織さん‥‥‥本人の前でそれを言わないで下さい‥‥‥‥」
苦笑いをしながら言う兄達にちょっと怒りながら言えば
またもや苦笑しながら謝られました。
子供扱いな気がしてなりません。
‥‥‥‥確かに前世も合わせたら、私が17歳、架音が23歳、伊織さんが24歳ですけど‥‥‥‥
「‥‥‥‥子供扱いしないでください。」
「子どもだろ。」
「うん、妹だし‥‥‥‥ね。」
裏で隠された意味がわかる私としては少し仲間はずれの気分です‥‥‥‥‥。
確かに精神年齢上まだ未成年ですけど‥‥‥‥!
そんなことを考えているとため息が聞こえた。
「何時もに増して凄くなったな」
「だね‥‥‥」
「どうかしたんですか?」
「周りの目線」
よくわからないで悩んでいると架音は耳元でつぶやきました。
‥‥‥‥くすぐったいです。
「架音と伊織さん、人気者ですね」
「お前もだろう」
「え?」
「‥‥‥‥男子生徒まで僕達に目線をくれるならちょっと、ね‥‥‥‥」
私、ですか‥‥‥‥‥。
欧州人のお母様譲りの金髪にヘーゼルの瞳‥‥‥‥日本では目立ちますね。
‥‥‥‥‥確かに目鼻立ちは整っていますが、
前世の友人たちほどでは有りません。
「違いますよ‥‥‥‥多分」
「そうでしょ‥‥‥‥その容姿は」
「(前世での)友人の方が美人だったり可愛かったりしましたよ」
卑下しているというわけでは有りません。
前世の私は十色以上と言われてましたが‥‥‥‥‥友人達は最早人形や作り物の粋です。
それを伝えると、微妙な顔をされました。
「でも、もう少し自覚をしてほしいな?」
「そうだな‥‥‥‥色々面倒だ」
「え?」
「気にしなくていいよ。
じゃあ、そろそろ教室へ行こうか」
架音と私は同じA組です。
初等部は平均が同じようになるようクラス編成が組まれています。
中等部に入ると成績が良い順にA組ですが‥‥‥‥‥。
本来なら双子で成績トップが同じクラスなのは無いのですが、
通えなかった分心配だからという理由で同じクラスです。
「入学式、僕は新入生代表で居ないけど大丈夫?」
「‥‥‥‥‥大丈夫、だと思いたいです」
前世でもそうでしたが、人見知りです。
‥‥‥頑張ってみますけど‥‥‥‥‥テンパらないといいですね‥‥‥‥‥
この時私は遠い目をしていたらしいです。