2 架音
「という訳で頼むぞ。」
初めまして、神宮路架音です。
父から頼まれ事をしました‥‥‥‥
で、父さん、自分が言いにくからって人に言わせないでくれません?
‥‥‥‥前世があっても肉体上5歳だから何も言わないけどさ……
「父さん、いいけど・・・父さんが言えばいいこと何じゃないの?」
「お前は子どもっぽくないな。
質問の答えはNoだ。有理亜に嫌われたくないし、お前に一番なついてるだろ。」
それは父が仕事の忙しさで家に帰ってこなかっただけだろ!
そう言うのを我慢して、部屋で寝ているであろう妹《アリア》の部屋に向かった。
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「有理亜、体調は大丈夫?」
寝ていると思い、起こさないようにノックをしないで入ったのだが起きていたようだ。
青白い顔色のまま、何か悩んでいるようだった。
その顔色でベッドの上とは言え起き上がってるのは危ないだろ!
少し叱りつける意も込め、何で起きているのか聞いた。
「目が覚めて暇だったので‥‥‥‥」
そうだった‥‥‥‥この子は昔から倒れた直後でも目を離すと読書をし始めたりする。
いや、何時もそうだから暇だっていうのもわかるよ?
でもさすがにね‥‥‥‥心配になる。
そう思うとため息を付いてしまった。
「何かあった?」
ため息をついて不安そうな顔にさせてしまったけど、
それよりさっき何であんなに悩んでいたか気になる。
「いえ、ただ眠れなくて‥‥‥‥」
何か隠している気もするけど、
聞き出しても言い出さなそうだから問い詰めないにしよう。
「じゃあ、眠くなるまで話でもしよっか」
「良いんですか‥‥‥‥?」
不安気に聞いてくる妹‥‥‥超可愛い。
ふわふわのブロンドの髪にヘーゼルの瞳‥‥‥‥劣性遺伝どうしたと聞きたくなるが
元々恋愛ゲームの世界のようだし‥‥‥気にしないでおこう。
そう‥‥‥‥こんなに可愛らしい容姿をしている妹は悪役令嬢にあたる‥‥‥‥。
いや‥‥‥悪役令嬢(仮)だな。
恋愛シュミレーションゲームと言いながら、あれはギャクだろと批判があった。
いや、面白かったから前世でも男だった俺もしてたんだよ。
内容はヒロインが悪女で、攻略キャラを攻略していく‥‥‥‥という話。
バッドエンドは悪事がばれてヒロインの家が破産したり、色々な不孝が訪れる。
まぁ、一応僕も攻略キャラだけど‥‥‥‥多分ヒロイン(仮)には落ちないだろう。
「そう言えば、父さんがパーティーに出てほしいって言っていたよ」
「お父さまが‥‥‥‥?」
普段は有理亜の体調に気を使って僕も父親も出さないようにしていた。
でも‥‥‥‥今回は違うんだよね‥‥‥‥。
その気持ちからかつい口篭ってしまった。
「有理亜が社交界で余り知られていなかったの知ってる?」
「ええ・・・まぁ知っています。」
有理亜は学園にも通っていないから存在を知らない人物も多かった。
だからこそ‥‥‥‥
「それで‥‥‥めんどくせー。」
あ、やば‥‥‥‥つい素が出てしまった。
鈍感な有理亜でもいくらなんでも気づくだろう‥‥‥‥。
「架音‥‥‥‥?」
「ん?何かな?」
しらけることにした。
「まぁ、どこからか情報が漏れたらしくてね。
色々話題に出てるみたいだから‥‥‥‥」
「成る程‥‥‥‥分かりました」
そういうと思った。
あのゲームの悪役(仮)は優しい子ばかりだ。
だからこそ本物の悪女が陥れようとするゲームなのだ。
「でも、体調とか大丈夫?」
「最近は調子もいいですし‥‥‥‥」
ちょっとまて、さっき倒れたばっかだよね?
そう言おうと思ったけれど、
気を使っているのがわかったから気をつけるように言うだけにしておこう。
「‥‥‥‥なら、来週にあるからそれまでに整えてね。
あと、絶対に無茶しないように」
「はい」
そう言えば‥‥‥‥何に悩んでいたんだろうか‥‥‥‥。
一番最初部屋に行った時の有理亜の様子を思い出してそう思った。