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今
「おかあさーん、今日友達の家に遊びに行って来る〜」
リビングのソファに座ってテレビを眺める母に言う。
「カナ、最近楽しそうね。」
ドキッとする。
母にそんなこと言われるのははじめてだ。
「うん、楽しいよ!」
友達がたくさんできて、好きな人ができて楽しい。
「好きな人でもできたの?」
母はいつもよりもニヤニヤとしている。
どうやって誤魔化すか私の脳はフル回転し始めた。
「で、できてなんかないっ!」
嘘をつくのが苦手な私には誤魔化すことなど無理なようだ。
「ねぇ、どんな人なの?カナの好きになった人だからきっと優しい人なんだろうなぁ。」
ふと、ハルトさんを思い浮かべる。
優しくないしサボるし、カッコ良いけど私のことなど空気同然なのではないだろうか。
母の願いを見事に私は裏切ってしまったようだ。
「あぁ…う〜ん…」
反応に迷っていると母はまたふふ、と笑った。
「カナはお母さん似ね…どんな人であれ、カナが好きになった人だもの、お母さん反対しないから。」
母はそう言って、私の頭を撫でた。
とても、温もりを感じた。