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Dragon World Tripper ~初まりの朝~  作者: エントラル
第0章 物語の種は芽を出す
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プロローグ(空間論解説を含む)

第一話はこの世界観の説明です。少し難しい話になりますがこの物語の根幹をなす設定です。また、この定義はもう1つの小説“前科 交通事故の死神”にも適用されます。というより設定の全てはここが原初です。

空間。


それは終端のない果てしなく広がる場所であり、全ての事象世界が集まる場所。すなわち無限の可能性を秘めていた。別の言い方をすれば“異世界との境界”とも言えるこの境は欲深き人間の手を拒絶し、行くことの出来ない神聖な場所である。足場など存在せず東西南北、まして上下でさえ定義することも出来ずただ、光と闇の純粋な二つのみがそこを支配していた。


事象世界とは全ての可能性の分岐して出来た世界である。例えばサイコロを振るとする。出方は6通りである。しかし空間事象はそこから増える。そのサイコロを振った場所(無限単位の尺度つまり1センチのズレも事象分岐)、振った時間、振った個数、周囲の条件(天候や海、陸など)、誰が振ったのか、その振った人物の出自、その世界の生き物のその数、振った時にどこにいたのか、その世界の世界観……と考えを広げて行けば無限事象となる。そして空間はその無限事象世界が全て集約された場所である。


もちろん、その空間を行く存在がなけれは物語は語れない。もちろん、この境の中を生きて飛翔する者がいる。彼らもまた、無限種類あり特定は出来ないが、その中に空間竜と呼ばれる枠組みの種族がある。


空間竜達は異世界間を自由に行き来出来る能力を持っていることは当たり前のこと、同時に(空間を名乗る生き物に共通しているが)本当の自由も手にしていた。人間の手から、あるいはいかなる事象から逃れられるいわば無拘束無干渉が成立する者達でもある。


1つの世界が住みにくくなれば世界を変えて人間の支配から、滅亡の運命から逃れ続けてきたので数を減らすことなく平和に暮らしていた。


でもそれは当然のことで簡単に言ってしまえば種族は永久に消え失せないのだ。定義が空間またはそれに似たものである限り。何故ならば空間は無限の可能性を引き起こすのだから……。


そして物語はその中の1つ、空間エバンヌから始まる。


空間エバンヌは元々人間が住み繁栄を極めていた世界だったが、ある時に、空間竜のある種族がそこを住処として移り住んだ。人間はこの巨大な存在を恐れ、自分らの平和を守る為に彼らを一掃しようと戦いを挑んだ。


しかし、自由と平和を好む竜達は戦いを嫌い、その中からクレンタスが竜代表として、人間代表からはレムクルトがウェルグ大陸手前のガルラス島にて議論した。


最初は一触即発の状態だったが、両者の目的は被害を最小限に留め、森は焼け野原、国の滅亡を回避することでは一致していた為に、最終的には和解が成立した。戦争は始まって僅かに半年という最短終結だった。これを竜人半年戦争とエバンヌ世界白書には記されている。


ガルラス島の和解案の内容はクレンタス、レムクルトによってエバンヌの分割を行われ、人間は南の大陸と海を、竜達は北方の古代大陸ウェルグ大陸とその周辺海域をそれぞれ領地として定め、いざという時には共に戦う異種族同盟を締結した。


明らかに竜達の領分は狭かったが、その和解により、竜達は自由権による行動無干渉を人間から獲得した。そして、両者は本当の平和を手にし、事実上の共存世界が生まれることとなった。


何故空間竜がそうまでして空間エバンヌにこだわったのかは解らない。いや、知るものはいないと言った方が正しいか。


最初は竜も人もお互いに共存に抵抗を感じ、人間は竜を“けだもの”と称して大いに嫌うも交流を重ねるうちにつれてそれは廃れていき、偏見は時代の流れの中に消えていった。


そして、和解から五千年の歳月が過ぎると人々はエバンヌ大陸(旧ウェルグ大陸二百年前に改名された)に住み着いた空間竜達を恐れることをしなくなり、逆に天空の使者として憧れを抱いた。一方竜達も同じように避けていたものの、彼らの存在を受け入れて人間の領地に足を踏み入れる者は段々と増えていった。


結果として平和な時代が続いたが、生来欲深な人間は権力争いが絶えず起こり、戦争へと発展させた。また千年後の話である。


南大陸を中心にエバンヌ大陸周辺以外の人間の領地では大地が戦火で傷つき、大勢の命が消えていき数々の悲劇を生み出した。


しかし、分裂した国々の王らは暴君であろうと決して竜の棲む北方大陸にはたとえ貴重な金銀宝石が採れるとしても手を出そうとしなかった。竜達の怒りを買ってはならない和解の忠告は六千年間守ってきたのである。


そしてこの時、和解を作ったとされる現在名公国カムルデス王家は唯一戦乱を避けて平凡な生活と文化を営んでいた。


この物語はそんな時代のある空間竜の物語である。


座標:空間エバンヌ 空間暦(上12桁省略)79年

第2話からはちゃんとした物語になります。しかしすぐに冒険とは言えず、幼少期から展開されます。徐々に成長していき、それに伴い異世界の範囲が広がるストーリーです。

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