死なない女
「いえわが夫ルシファー様。」
玄関で大げさな礼をしている女、理解不能なことを言っている。
俺はそんなことを考えるより先にドアを閉めた。そして、
「地獄の冷気よ、我が手の触れるすべてのものの時をとめよ。」
おもわず力、魔法を使っていた、その瞬間。
パキンッ、俺の手が触れていたドアが凍りついた。否、凍りついたのはドアだけではない。家そのものが凍りついていた。
「やっちまった。」
俺はおもわず呟いていた。
「にしても何だったんだ、あの女。」
既に過去形となっている女のことを今更考えてみる。見た瞬間の寒気はいつものことだが、殺すという選択肢が出てくるのはおかしい。普通ならとりあえず自分が逃げるか、女をどこかに飛ばすかするのに。
「まあいっか、もう死んだんだし。」
俺は終わったことは忘れることにした。
「さて、さっさと家にはいるか。」
俺は愚かだった、本能で殺すのが最善と判断したのほどの状況がこの程度で解決するはずがなかったのだ。
ジュー、凍った家が元に戻っていく。元に戻った家に入ろうとする。
「そういえばドア壊されてたんだな。」
俺は嘆息しドアに手を当てた。
「世界を形形創る光よ、支配者の声を聞け。」
手に光が集まってくる、光が徐々に強くなり目を開けられないほどになっていく。そして、不意に光が消えた。ドアは元どおりになっていた。
「まっ、その場しのぎとしては十分だろ。」
よく考えてみれば分かることだが普段仁は魔法を使わない。必要ないというのもあるがなによりも、今の日常を壊したくないからだ。
なのにあっさりと魔法を使った。いくら本能での判断だとはいえ、普通なら有り得ない。普通だったならばだ。
「さてと、さっさと飯食って寝ちまうか。」
本能では分かっていたのだ。この状況が日常が壊れる程度の問題ではないということお。自分の命に人生に関わるほどの問題だと。
「まさかいきなり氷づけにされるとは思わなかったはルシファー。」
女は先ほど変わらない姿で玄関に立っていた。何事も無かったかのように。
「何で生きてんだお前。」
さすがの俺も驚いてしまった。氷づけなって生きてるとは思わないだろう。
「あら、そんなに不思議ですか。」
ふふっ。不敵に微笑みながら俺を見てきた。
「私の力もってすれば、このくらい当然ですわ。」
スッ、いきなり距離をつめ顔を近づけてきた。そして。
「我が夫ルシファーよ、古の記憶わ取り戻しなさい。」
キスしてきた。