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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

変な能力持ち女子

天は人の上に人を作らずフラグを立てた 番外2

作者: 色輝

フラグシリーズで一二を争う不憫キャラ。でも不憫っぷりがあまり出てない。

やっぱり変態ちゅうい。気を付けてください。


 世の中ってのは上手く出来ている。天は二物を与えないと言うが、本当に完璧な人間はいないのだ。


「はあ……おいヨータ。俺の桜は?」


 大量の仕事を、その半量しかないはずの俺より先に終わらせ、その憐れな子羊、藤峰ふじみねさくらちゃんのリアルタイムの行動を監視……基、見守りながら、俺の親友であり唯一絶対の偉大なる主、神永へんたい蕾和ばか……ではなく、神永かみなが蕾和らいかは俺にそう問うた。

 取り敢えず、彼女はまだお前のじゃない。


「彼女なら、今見てるだろ」

「違う。桜が俺を避ける理由だ。何故桜は俺を避けるのだ?」


 それは本気で言って――るんだろうな。頭良いくせに天然のばかだもんな。

 あのな、そんなの考えなくても普通分かるからな? お前の暴走を防ぐため訊ねるって言ったが、あれはお前が知らないはずの彼女の好みや行動を口走ったからだろうよ。自重しろばか。 桜ちゃんだって、接触するにしても時間置いた方がいいだろ。


「桜……ああ、こんなに怯えて……なんて可愛いんだ。その憂いを晴らしてやりたい…」


 お前のせいだけどね! あの子が怯えてんの、お前が原因だからね!?


「……言っておくが、ライカが原因だぞ? だからお前が避けられてるんだからな?」

「ああ……あんな顔に、俺がさせてるんだな。…ふふ」


 ほの暗い笑みでうっとり恍惚とするライカ。うわあ目がヤバい。どうヤバいかと言うと、あれ見たらどんな美女もそれだけで昇天するんじゃないだろうかって感じだ。

 ……アレに狙われる桜ちゃん。ごめん、そろそろこいつを押し止めるのも限界かも…。

 恋い焦がれて約十年。漸く出逢って目の前にいても全く関われなくて約一年。つい最近やっと話すようになって、触れ合いを経験したがが外れたのだろう。これまでの約十一年もした我慢が出来なくなっているらしい。


「桜……恋しい」


 ライカの呟きは、聞いてるこっちが悲しくなる切なさを孕んでいる。





 世の中ってのは、上手く出来ている。天は二物を与えないと言うが、本当に完璧な人間はいない。

 他の追随を許さぬ美貌、能力、家柄――…生まれついての勝ち組。それが神永蕾和だ。

 だがしかし、こいつには全てを覆し余りある最大にして最悪の欠点がある。それは――…


「桜……そろそろ限界だ。俺の心と下半身が爆発しそうだ」

「止めろ!」


 ……世の中ってのは、本当に上手く出来ている。

 誰もが憧れ心酔しているこの男は、幼少期に出逢った少女に、気持ち悪い愛と執着を向ける、ただの変態ストーカー野郎なんだ…。


 俺、牧野まきの陽太ようたはこれまでの苦労と心労の原因であるライカの行動を、思い出していた。決して現実逃避からの行動ではない。




 ***

 俺とライカは所謂幼馴染みだ。俺の母親が奥様、ライカの母親のお乳の出が悪いとかでライカの乳母となり仲良くなった。多分。

 あいつは昔から天才だし、恵まれていた。ただ、だからか感情が薄く、子供ながらに儚いあいつを護らねばと思った。…黒歴史を暴露するならば、あいつは俺の初恋である。女の子にしか見えなかったしな…。

 表情に乏しく口数も少ない、まさに必要最低限にしか他人に関わらない奴だった。母さんによれば、赤ちゃんの時から殆ど泣かなかったらしい。

 当然、みんな心配していた。何事も簡単にこなし、物欲もなくわがままも言わない。天才、いや鬼才故に年の離れた兄君である哉芽かなめ様にも疎まれていたライカを、それはもうみんな構い倒した。

 旦那様(ライカ父)の故郷である日本にある屋敷で暮らすライカは、ほぼ毎日様々な娯楽品を献上され、車で外に連れ出された。俺も着いていくが、認識されていたのかは不明だ。あいつは他人に興味が無さすぎる。


 だがある日、あいつは初めて車を停めるように言い、初めて車を降りた。いつもは流れる景色をただ眺めているだけなのに。俺達は驚いたが、同時に喜んだ。…それが、俺の常識と胃痛との戦いの日々の幕開けになるとは、露とも知らずに。


 車を降りたライカは、まるで引き寄せられるように近くの公園に向かった。そこで、一人の女の子に近付き、自分から話し掛けた。俺達は目ん玉飛び出すくらい驚いた。あいつが能動的に何かに関わるのは初めてだったから。

 女の子は普通の子で、突然話し掛けたライカに驚いたのか逃げた女の子に飛び付き(!)俺達をすっかり忘れたように、その子と遊びだした。俺は着いてきていた母さんに止められ、物陰から顎が外れそうなくらい口を開き眺めていた。母さんや黒服達は涙ぐんでいた。

 それから毎日、ライカはあの女の子と遊ぶために自分から外に出て、日に日に人間味を増す姿に、みんな涙を流した。ただ、俺も一緒に遊びたいと言うと必ず拒否するので悲しかった。母さん達には、そんな明確な意思表示も嬉しかったみたいだが……幼い俺にももっと配慮して欲しかった。


 大体二週間くらいか。黒服が生き生きと表情を変え感情を露にするライカを毎日ビデオを回し、ライカの指示によりライカに小型録音マイクを着け会話も記録した。物事のアレコレを判断出来るほど常識を知っている訳でもなかった、小さい俺ですらあれ? と思ったのに、周りは表情豊かなライカに感動し気にしていなかった。

 そして、女の子が引っ越すとかでもう遊べないと泣きじゃくるのを慰めながら、ライカは黒服にこっそり指示を飛ばし、なんやかんやで女の子をキスで気絶させた。その時初めて、ライカの満面の笑みを見た。疑問は吹き飛んだ。


 でも……その後が怖かった。女の子とはその後だって普通に遊べるはずだった。だって車で行けばいいんだから。だがライカは、黒服を言葉巧みに丸め込み、女の子をストーカーさせ、本人は旦那様がいるスイスに飛んだ。

 因みに、ライカはあまり重要視していないが、あいつに丸め込まれた黒服達は、旦那様よりライカに心酔してしまった。あいつは、生まれた時から凄まじい魅力とカリスマを持っていて、もうあれは能力と言っていいのではないだろうか。


 スイスに行ったライカだが、あいつは何と旦那様にあの女の子――そこで初めて名前を知った――藤峰桜ちゃんとの結婚の承諾を貰いに行ったのだ。かなり先走っているが、あのライカの様子を見ていた俺達よりも、話に聞いていただけの旦那様の方が驚いていた。当然、許さなかったさ。…最初はな。


 ここからはライカは知らないが、あいつが五歳とは思えない表情と熱の篭った瞳で桜ちゃんについてひたすら語り完徹し。旦那様は危惧したのだ。ライカは愛が伝わらなかっただの何だの言っているが、寧ろ逆で伝わりすぎてしまい、旦那様は厳しく強くダメだと告げた。

 旦那様は、桜ちゃんをライカが神永財閥の次男坊だと知って近付いたんだと考えたらしい。ライカは何だかんだと自分のもとに引き留め、極秘に調査した。


 結果、桜ちゃんは両親親族含め白。どう見ても平凡な一般人だった。寧ろ、ライカのストーカーの被害者で、旦那様は大層混乱したらしい。心配していた息子が、久しぶりに会ったらストーカーになってたら仕方ないよな。


 桜ちゃんに対する評価、と言うか感情が変わったのは、三年後。ライカは桜ちゃんに見合う男になるだとかで凄まじい努力をし、ストーカー行為も更にエスカレートし、今度は三日三晩愛を語り尽くし……旦那様と、三年間で常識を学んだ俺は桜ちゃんに深く酷く同情した。申し訳なく思った。

 旦那様は、このまま結婚を認めずいたら、強行手段を取るのではないかと危惧した。具体的には、拐って監禁して既成事実作って籍入れてから、事後報告にやって来そうだと思ったらしい。俺も同意した。

 実際さ、あいつに中学時代に聞いたんだ。お前は彼女を監禁でもするつもりか? って。そしたら、何て言ったと思う?


『監禁? …それはつまり、桜が首輪と足枷を付けていやらしい下着姿で、俺の家にいるって事か? ふむ…涙目で睨む桜もイイ……いや、×××でヨガりながら俺の帰りを待つってのも……。…監禁、素晴らしいな…』


 ……知らねーよおおおぉっ! 何で下着なんだ! マニアックだな! つか変態かッ! 止めろよ桜ちゃんが可哀想だろおおおっ!?

 言わなきゃ良かった。うっとりするライカからは凶悪な色気が漏れているが、内容は酷い。酷すぎる。言わなきゃ良かった! 桜ちゃんごめん!

 ……その後、『嫌われたくはないからそれは最終手段だ』と言ったライカに、俺は安心すればいいのか戦慄すればいいのか分からなかった。


 閑話休題。


 旦那様は、ライカに条件を突き付けた。旦那様が通うよう言った学校は、金持ちの子供の謂わば社交場で、コネ作りが主な交流の嫌な学校だ。旦那様はここにライカを閉じ込め、桜ちゃんを忘れるか別の女にその気持ち悪い愛情を向けるよう仕向けた。

 旦那様は、家柄に拘っている訳ではない。だが、あまりに差がありすぎては、桜ちゃんの逃げ道もなくなってしまう。まだ、同じ財閥系ならば向こうは神永と繋がりが持てる訳だし喜ぶだろう。だが桜ちゃんは一般人で、あまりに違いすぎる世界に、後ろ楯もなく連れ込まれてしまえば、苦労が絶えないだろう。もし断っても強制拉致監禁か、ライカのストーカー行為で出会いの場をなくしずっと独り身のどちらかしかないだろう。それはあまりにも憐れすぎる。

 旦那様の課題だって、ぶっちゃけ無理難題だ。寧ろ認めるつもりはないのだろう。そう分かるくらいの無茶ぶりだった。

 それと、ライカが暴走しないようにストーカー行為は仕方なく認め、俺は旦那様直々にお目付け役の任を言い渡された。ストッパーになれるかは不安だが、ライカが桜ちゃんを監禁しないよう、間違い(犯罪)を起こさないように。


 それが俺の受難の本格的な始まりだった。



 ライカは、それはもう精力的に活動した。そして毎日俺を引かせた。ここはさらっと行こう。


 ライカは桜ちゃんの自宅や学校、よく行く場所まで余すところなくカメラや盗聴機を設置し、黒服をつかせ様々な角度から写真を撮り、桜ちゃんの記録を保存するために屋敷の地下を桜ちゃんのコレクション部屋にした。

 ライカは、桜ちゃんが使った物を集めた。着られなくなった服や下着類は勿論、おもちゃ、教科書、小さくなった消ゴムや鉛筆、割り箸、鼻をかんだティッシュ……その他諸々。中にはまだ使ってるのを新品と取り換えた時もあった。

 桜ちゃんの下着と服に埋もれた時は引いた。割り箸をくわえた時は泣いた。交換したリコーダーをしゃぶった時は恐怖した。


 中でも一番引いたのは、アレだな…。その前に、ちょっとだけフォローしておくか。

 ライカは、頭がおかしいとかイカれてるとか、そういう事はない。ただ、愛情表現が気持ち悪くて常識の中に生きていなくて感覚感性がズレてるだけなんだ。実際、桜ちゃん関連以外ではまともだし、本人にとってはあの愛情表現も当たり前らしい。情熱の現れと言うが、典型的なストーカーの言い訳とは言わないでください。

 で、俺は顔が良いからって何をしても良いとは断じて思っていない。だが、ライカは別だ。周りにとっては。

 俺がやったら逮捕だが、美の女神が性転換して人間に生まれ変わったんじゃないかって割と本気で言われている奇跡の美貌は、そこにいるだけで周りを骨抜きにする。それどころか、信仰を集め崇拝されている。

 笑顔一つで有罪を無罪に変えるのも容易いだろう。俺は、ライカは人間ではないと思う事にしているので、もう引いたり反応するのも疲れたから止めた。完全に毒されてるし耐性も付いていた。

 付いていたが、これは無理だった。


 あれは十二歳の秋だった。桜ちゃんが初潮を迎えたのだ。そしてあいつは、それを知り一週間くらい満面の笑みで上機嫌で過ごしていた。

 まあ、それはいいんだ。精通も桜ちゃんの夢を見てだったし、「これで桜は俺の子を孕めるな」と呟いていたのは聞かなかった事にしたし。

 だが、桜ちゃんの、まあ、アレを回収し、それを蕩けるような笑みで抱き締め、鼻を付けて人目も憚らず思い切り臭いを吸い込んだ時には、耐性も呆気なく崩壊し、ドン引きした。


 止めろよ! 臭いを嗅ぐな頬擦りするなキスするな!! お前それはダメだよアウトだってええぇ〜〜ッ!


 俺は引いた。当然他の人達も引いただろうと、俺はハッとした。屋敷にいるのはライカに心酔してるライカ至上主義者だが、これは流石に許容出来ないだろうと、見てみると。


『ああ、あんなに嬉しそうに…』

『役に立ったみたいで良かった』

『坊っちゃん……ようございましたな』


 おおおいいいいっ!!  何微笑ましそうにしてんだおかしいだろ! 何朗らかな空気醸し出してんだ! 頭沸いてんじゃねえの!? もうこれあのばかに完全に毒されてるよ!


『坊っちゃま! 何という事を!』


 そこに現れたのは、母さんだった。良かった! 母さんはちゃんと注意してくれる!

 そう思ったのは、一瞬でした。


『坊っちゃま! 女性のデリケートな物を、むやみやたらに他の男に晒すとは何事ですか! おいたわしい……桜様に幻滅されますよ!?』


 ――…どどど毒されてるううううううっっ!!

 違うだろ! 突っ込むとこ違うだろ! そういう問題じゃない! 人前以前にやるなよ! 今までやってる事の一片でも知られたら確実に幻滅されるよ今更だからなッ!?


『…ッ! そ、そうか……桜、ごめんな…!』

『坊っちゃま、舐めたりしゃぶったりはダメですよ。それは血ですからね』


 ………げふっ。(吐血)




 ……もうね、疲れたよ、俺。小学生で相棒が胃薬だぜ? 俺、可哀想すぎる。ストレス性胃潰瘍で吐血したし。つーか、効能の良い胃薬をライカに贈られたのだが、これはあれか? これからもバンバン胃に穴開けてやるぜって言う意思表示か?


 完全に屋敷の人間は毒されていた。俺にあれを食い止めるのは不可能だ。ごめん桜ちゃん…。

 でもな、一応フォローすると、あの変態もまあ良いところはあるんだ。あいつは、桜ちゃんに操を立てている。

 旦那様が送り込んでくる刺客……基、ライカを全うな道に戻すべく度々婚約者候補候補(婚約者候補の候補。美少女美女揃い)を屋敷に暫く滞在させるよう言ってくる。大体中学生になってからな。

 で、中一のライカを、夜這いした年上の美女がいた。夜中に悲鳴が聞こえライカの部屋に駆け込むと、ライカが全裸の美女を組み敷いていた。

 組み敷いていた、と言っても色めいたものではない。俯せに床に引き倒し背中で腕を捩り上げていた。


 ……あいつさ、男としてどっかおかしいんだ。桜ちゃん以外には反応しない。どんな凄いプロポーションの美女が全裸で迫ろうと、一切感情が浮かばず全くダメらしい。そのくせ、桜ちゃんの声を聞くだけで引くほど興奮して……うん、やっぱおかしいな。いや、桜ちゃんのあのまあるい胸はなかなか……うっ、寒気が…ッ!!

 今だって、あいつはあのハーレムメンバーを認識してすらいない。向かいに住む幼馴染みも、十三歳の時に出来た新しい姉妹もだ。ただ、桜ちゃんに操を立てているし、誠実でありたいとかで、女が自分の身体に触れるのは良しとしないから、認識してない故に無意識に払ってしまい、俺がフォローしている。ライカは接触するのが嫌いだと周りに思わせた。まあ、桜ちゃんの手をべたべた触っていたから、それがただの拒絶だとはすでに周知の事実である。

 ライカは他人に興味がない。興味がないからみんなに公平な分け隔てない、誰だろうと態度も何も変わらない。唯一興味を示すのは、態度が変わるのは、感情を露にするのは藤峰桜――彼女にだけ。あいつは、家族にも……俺にも、興味がない。




 ここだけでは語れないが、そろそろ逃避は止めて働かねば。

 ライカに、意を決して頼む。俺が桜ちゃんと話す時は、カメラと盗聴機を切って欲しいと。


「そうか、分かった」


 冷たい目を予想して告げたが、それは思いの外簡単に許可された。拍子抜けだ。ライカが桜ちゃんが男と二人きりになるのを許可するなんて……。


「何を言っている? お前以外の男だったら許すはずがないだろう」


「ヨータ、俺は桜に何かする男を一番近くに置くほど節穴ではないぞ」


 ………。…正直に言おう、俺もライカに心酔してるんだ。

 他の連中と同じく、ともすればライカを崇拝していると言ってもいいくらい、ライカに一生着いていくと決めている。でなければ、さっさと離れている。でなければ、一生独身でライカに忠誠を尽くすと誓ったりしない。

 ライカからの、さらりと告げられた信頼が俺を高揚させる。ライカの信頼を、裏切る訳にはいかない。

 ――…何だかんだ言って、俺も十分、ライカに毒されてるんだよな。ははっ。



 俺は学校で、桜ちゃんを呼び出した。窓の外で、赤と金の頭の男子が何やら話している。会話は途切れ途切れだが、どうやら仲直りのシーンらしく、抱き合っていた。

 ライカにも、桜ちゃんにも、幸せになって欲しい。ああやって、何のてらいもなく抱き合える、信頼し合った関係を築ければ良いのに。 桜ちゃんは他人とは思えない。あの不憫っぷりと苦労人気質は、ほんと、俺と通ずる気がする。恋愛ではないが、彼女には情がある。まるで妹のような感じかな。妹いないけど。



 ねえ桜ちゃん。あいつは、ライカはね、分かってるとは思うけど君のストーカーなんだ。筋金入りのね。

 確かにあいつはストーカーで、変態で、粘着質で、変なとこでヘタレな純情で、頭は良いのにばかで、天然で……気持ち悪い愛情を君に注いでいる、どうしようもない男だよ。色々と間違って突き詰めちゃったばか野郎だよ。

 ……でもね? それでもライカは、君をただ一途に愛してるんだ。

 うん、だからってストーカーはどうかとは思うけど、さっき言った通り筋金入りでさ。今のあいつがいるのは、君のお陰なんだ。愛情表現が間違っただけで、あいつは、ライカは君だけを愛してきたし、今もこれからもきっと愛するよ。断言する。

 ……だからさ。少しで良い、向き合ってやって。互いに知り合ってみて。ライカに君の言葉で君の事を教えて、君もライカを知って。それでも断るならそれでいいよ。その時は俺が出来うる限り協力して、ライカを説得するから。

 ライカの味方の俺が言う事じゃないし、開き直んなって思ってるだろうけど。でも、頼む。―――あいつを、ライカを避けないでやって。嫌なら嫌と直接言えばあいつは分かってくれるから。君に危害が及ぶ事は絶対にないから。俺が保証する。


 だから、さ。あいつを見てやって。愛せなんて言わない。都合が良い事を言ってるのは重々承知してるけどさ。ライカをストーカーじゃなくて、ただ君に想いを寄せる一人の男として、接してやって。

 ―――…あいつが、どれだけ君を想っているか、知ってやって。――お願いします。


 あいつは、君がこの世界にいるだけで幸せな、どうしようもないばかなんだ。




桜は陽太とくっつくのが一番な気がうわなにするやめろ


陽太は自分が思ってる以上にライカに大事にされてるのを知らないようです。

結局まともな人はいないが、常識人キャラなつもり。常識が邪魔して胃に穴開けてる人。

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